アメリカで流行る“ジャパニーズアメリカーナ”とは? 現在進行形アイビーの今。

「日本のアイビー」がいま世界から、特にアメリカから注目されている。

そもそも「日本のアイビー」って一体なに? という話だが、そのいきさつの全貌は、およそ70年にもわたる壮大な物語。ここでは到底語りきることができないので、その詳細は915日発売の『2nd 11月号』に譲るとして、ここではかいつまんで少しだけ紹介しよう。

VANがつくった日本のアイビー。

VAN創業時の写真。左の人物が創業者である石津謙介。

1951年に創業した石津商店。54年にVAN(ヴァン)という名に改組し、同名のブランドをスタートさせる。当初はあくまで紳士服ブランドだったVANも、1950年代後半に「アイビー」をテーマに路線変更。もちろんベースとなっているのは、アメリカの8大学「アイビーリーグ」に通っていた大学生たちのファッションだが、いまほど情報が充実しているわけでもないため、「アイビーリーグ」というカルチャーに対する模範解答はかなり少なかった。そこで、VANや『MEN’S CLUB』は半ば強引にその解答を作り上げていったのだ。正直その中には、アメリカの本家アイビーとは異なる部分もあった(当時のアメリカ人からすれば、なぜそんなに細かいことにこだわるのか不思議だったに違いない)。「日本のアイビー」という言葉を使った真意はそういうことだ。

その後、ヒッピーカルチャー(60年代後半〜70年代)や裏原カルチャー(90年代)に脅かされながらも、プレッピー、フレンチアイビーと姿を変えて、現代に至るまでメンズファッションの根底であり続けている。それが日本におけるアイビーである。

2000年代のアイビーとは?

1990年代から2000年代初頭にかけては、裏原とアメカジブームの全盛期で、アイビーはその影に身を潜めていた。しかし2005年、トム ブラウンがNYのファッションウィークで、メンズ向け既製服の初のコレクションを発表。同ブランドは、シルエットやディテールなどでモードの要素を取り入れた新たなアイビーの形を提案した。この出来事により、アイビーへの見直しがされた時流もあってか、ファンのなかでは長らくアイビーの経典とされていた『TAKE IVY』(2010年、powerHouse Books)の英語版が2010年に発売される。それに追随するように穂積和夫氏、林田昭慶氏と言ったアイビーレジェンドたちが『絵本アイビー図鑑』(2014年、万来舎)や『TAKE 8 IVY』(2011年、万来舎)など、新たな書籍を発表。そして2015年にアメリカで発売された『AMETORA』(2015年、Basic Books)という雑誌が、また世界のアイビームーブメントの動きを変えることになる。

 1950年代のVANが仕掛けた、アメリカへの憧れに端を発するアイビームーブメントの一連の流れや、それをきっかけに発展していったクオリティの高い日本のものづくりは、いまや本家アメリカを超えるまでに進化している。その様を分かりやすく一冊にまとめた名著『AMETORA』は、アメリカ人の関心を惹きつける格好の資料となったのである。

2015年の同書の発売以来、日本のブランドは関心を集め、老舗アメリカブランドとのコラボレーションやセレブリティからの愛用などによって、より一層存在感を強めていく。また、2020年代以降になると、ポッドキャストで日本のアイビーカルチャーが紹介されたり、アメリカ人のYouTuberが日本のものづくりの精巧さを熱心にアピールしたり、その勢いはもはや我々が想像している以上だ。留まるところを知らない日本発祥のアイビー・アメトラカルチャーは、これからどこへ向かうのか。その理解や考えを深める一助となる一冊が『2nd 11月号』。「TAKE IVY, AGAIN いままた、アイビーの洗礼を」と題して、アイビーのヒストリーや基礎知識を改めて学び直す企画や、くろすとしゆき氏や石津祥介(いしづしょうすけ)氏の証言も収録。アイビー好きな人も、これから勉強したい、という人にも永久保存版の内容となっている。

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この記事を書いた人
パピー高野
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パピー高野

断然革靴派

長崎県出身、シティーボーイに憧れ上京。編集部に入ってから服好き精神に火がつき、たまの散財が生きがいに。いろんなスタイルに挑戦したい雑食タイプで、ヨーロッパからアメリカものまで幅広く好む。家の近所にある大盛カレーショップの名を、あだ名として拝借。
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