1.背広を、カジュアルに合わせた時の違和感が好き。|「ファイブワン 銀座本店」店長・泉敬人さん
「どうやって背広をカジュアルに着るかが最近のテーマ。そうは言っても、背広自体をカジュアルにオーダーすることはしないので、あくまで着こなしでのドレスダウンを心がけます。なんなら今日のコーディネイトは、ポロシャツやデニムパンツなど、ジャケット以外はすべてカジュアルなアイテム。逆に言えば、背広だけは正統派のものを選んでいます。
クラシコイタリアの雰囲気を取り入れた、いわゆる“コテコテ”のジャケットで、本来スーツとして作ったものですが、今日はジャケットだけを取り入れてみました。こういったジャケットをカジュアルスタイルに合わせて、その違和感を楽しむことが多いですかね」
着用ジャケット:FIVEONE
アイリッシュリネンの世界的なメーカー、スペンスブライソン社の生地を使用したジャケット。リネン100%の夏仕様で、大きなラペルやシルエットなど、クラシコイタリアを意識したつくりとなっている。「ベージュと白の中間的な生成りカラーもお気に入りです」
2.パンツはシビアにジャケットは自由に着たいです。|「ビームスF」スタッフ・阿由葉銀河さん
「今日着ているジャケットは、ご覧のとおり上下同じ生地で仕立てたものですが、それぞれ別のテーラーでオーダー。企画意図には反しますが、『ドレスクロージングにおいては、サイジングでもっとも重要なのはパンツ』というのが僕の持論です。
パンツの仕立てが合ってないとすぐにバレてしまうんですよね。逆に言えば、パンツさえフィッティングがちゃんとしていれば、ジャケットはゆったり着るもよし。ジャストに着るもよし。もっと自由なシルエットで着こなしを楽しむことができます。僕の場合はルールがあって、ジャケットの肩からパンツまでストンと繋がるようなシルエットが理想です」
着用ジャケット:LECTEUR
イタリアの老舗毛織物メーカー「カノニコ」製ウール100%のシアサッカージャケット。ゆとりあるシェイプと太めの襟幅が特徴だ。「シアサッカーというクラシックな夏素材なので、ディテールでは遊びすぎず比較的ベーシックに仕立ててもらいました」
3.英国トラッドを着崩して現代的に落とし込みたい。|「シップス」プレス・蒲生龍之介さん
「もともと英国スタイルが好きでファッションの世界に足を踏み入れたので、僕のベースにあるのはトラディショナルです。しかし、その伝統的な部分とTPOを踏まえたうえで、モダンに着崩すのが今の気分。
ジャケットはナポリの仕立てをベースにしつつ、スペンスブライソン社のアイリッシュリネンを100%使用したジャケット。シャツジャケットのようなカジュアルな雰囲気もあり、あえて大きめに着て袖を捲ってカジュアルに着ても許されるような、寛容さを持ち合わせた一着です。今回のコーディネイトも、全体の素材感を柔らかくすることで現代のトラッドスタイルを表現しました」
着用ジャケット: ERRICO FORMICOLA × SHIPS
スペンスブライソン社のアイリッシュリネンを使用。「着心地も見た目も夏らしいですが、ブラウン系が好きなこともあって、色味は秋っぽいものをチョイスしました」。8万8000円/エリコ フォルミコラ × シップス(シップス 銀座店TEL03-3564-5547)
4.カジュアルなブレザーをドレッシーに着る。|「フェアファクスコレクティブ」商品企画長・坂井哲也さん
「ネイビーブレザーというアイテムがやはり好きです。そしてブレザーにはブルー系のシャツやパンツなどのアイテムを合わせるのが僕なりのこだわりで、パンツにはデニムを選びました。カジュアルなアイテムですが、ブレザーを含め着こなしはドレッシーにしています。
シャツにはカラーピンを付け、胸ポケットにはチーフを忍ばせる。ブレザーにはパフド挿しをすることが多いのですが、今回はTVフォールドとドレススタイルに挿すチーフの折り方にしています。ネイビーブレザーはカジュアルなアイテムと合わせ、着こなしはドレスに。そのバランスが着こなしのコツですね」
着用ジャケット:CUSTOM-MADE
ブランドのものではなく、友人につくってもらったというブレザー。「スポーティな印象の強いブレザーですが、ラペルが大きめだとブレザーのなかでもドレッシーな部類に入ります。今日締めているような太めのネクタイとも相性が良いんです」
5.個性の強い服は、アンバランスに合わせたい。|「メーカーズシャツ鎌倉 丸の内店」スタッフ・庄子晃功さん
「このようなセットアップを着るうえで気を付けていることは、アイテムにスタイリングが飲み込まれないようにすること。印象の強いアイテムはそれだけでサマになるのですが、裏を返せばアイテムひとつでスタイリングが決まってしまうということなんです。そうならないために定番の着こなしだけではなく、ちょっとアンバランスな着こなしに。
シャツはドレスシャツではなくオックスフォードのBDシャツにして、わざとスポーティなものを合わせる。でもハズしすぎはいけません。自分のスタイルの芯にあるアメリカントラディショナルは崩さないようなアイテム選びを大切にしています」
着用ジャケット:Polo Ralph Lauren Purple Lebel
アイリッシュリネンを使用した夏仕様のジャケット。「純白のホワイトはイタリアンなイメージがありますが、このアイテムはトラッドと相性のいい生成り。サラッとした質感なので、合わせるアイテムも艶のないすこし武骨な質感のものを選びました」
6.クラシックさを残しつつビジネスっぽさはハズします。|イラストレーター・ソリマチアキラさん
「サマードレスをテーマに、クラシカルな見た目ながらきっちりし過ぎないカジュアルさを大切にしました。コットンスーツ自体がハズしであり、レイヤードも古典的なハズしの手法ではありますが、タイドアップではなくニットポロとスカーフで、首元をよりカジュアルにコーディネイトしました。
コットンスーツ自体が好きで、ほかにもビスポークのスーツは複数着所有していますが、個人的にビジネスシーンにおいてスーツの着用シーンは皆無なので、ビジネスっぽさが表現されないように気をつけています。いわゆる1980年代くらいにファッション界隈が賑わっていたフレンチリビエラ風をイメージしました」
着用ジャケット:batak Bespoke Tailor
2019年製作のコットンスーツ。コットンながら、センターベント、段返りなどクラシックさがお気に入り。「やや起毛した柔らかなオールドイングリッシュコットンが好き。旧い生地は打ち込みがしっかりしているものが多く、雰囲気が気に入ってオーダーしました」
(出典/「2nd 2023年7月号 Vol.196」)
Photo/Satoshi Ohmura, Norihito Suzuki, Yuta Okuyama, Yoshika Amino Text/Tamaki Itakura, Shuhei Takano, Yu Namatame
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