「バトナー」が糸から研究して、日本でも着やすいシーアイランドコットンを開発しました。【ジャパントラッドを担う、注目の10人】

英国や北欧が主流となるニットウエア産業において、ジャパンメイドにこだわり続けるファクトリーブランドがバトナー。日本が誇る伝統的な技術のバトンを受け継ぐなか、独自のシーアイランドコットンを開発するなど、新たな取り組みにも挑戦。次世代のジャパニーズトラッドを生み出している。ジャパントラッドを担う、注目の10人の一人、「バトナー」代表・奥山幸平さんにお話を伺った。

バトナー」代表・奥山幸平さん|奥山メリヤスでニット作りの工程を10年経験したのち、他社で企画などを担当。再び、奥山メリヤスに戻り、国産ニットウエアのファクトリーブランド、バトナーを2013年に設立

高温多湿な気候に合わせドライな着心地を追求。

ニットポロ3万3000円/バトナ—(バトナー TEL03-6434-7007)、カットソー1万5400円/フィルメランジェ (グーニー PR TEL03-6441-2142)、メガネ2万8600円/エナロイド(サラディストリビューション TEL03-6427-7239)

1951年創業の国産ニットファクトリー、奥山メリヤス。その伝統と技術を継承することを目的としたブランド、バトナーは、日本が世界に誇れる高品質なニットウエアを提案している。そんななか、今季は独自のシーアイランドコットンのウエアを糸から開発。新しいジャパニーズスタンダードを確立した。

「ブランド10周年を迎え、改めてニットの定番素材と向き合ってみようと思い、世界最高峰の綿として知られる〝シーアイランドコットン〟に注目しました」

そう話すのは、代表の奥山幸平さん。シーアイランドコットンの特徴でもあるヌメリを、シンカー編機で度詰めしながらも繊細に編み上げることで、さらりとした肌触りに仕上げることに成功。高温多湿の日本の気候に合わせた、今までにないドライな着心地のニットアイテムを生み出した。

「ファーストシーズンは、クルーネックやポロシャツなど6型のウエアを展開しました。シーアイランドコットンは油分があるため独自の光沢感が魅力ですが、私たちのウエアは汗をかいても肌離れがよくて快適。高級感のある質感はそのままに、日常着として愛用していただけると思います」

技術を継承しつつブラッシュアップさせていく。

今後は、世界に向けても発信していく予定だが、20年以上も国産ニットに携わってきた奥山さんが考える、ジャパンメイドならではの強みや魅力とは?

「現在流通しているニット製品の99%は輸入品ですが、国産のニット技術は世界的に見ても繊細で高水準なんです。しかも職人さんと蜜にコミュニケーションが取れるから細部までこだわれるし、クオリティもしっかりコントロールできます。そうした生産背景があるからこそ、世界に負けない高品質なニットウエアを作れると確信しています」

バトナーは、そうした技術を妥協しないスタンスで、次世代に伝えていくブランド。新たな職人の育成にも力を入れている。

「職人さんの高齢化は、ニット産業に限らず日本全体の問題。だからこそ技術の継承は重要な課題だけど、もちろんブラッシュアップさせていく部分も必要ですよね。そのあたりのバランスを上手く取りながら、国産ニットアイテムを、 より洗練させていきたいです」

油分が多いシーアイランドコットンは、独自の光沢感と共に発色のよさも魅力のひとつ。爽やかなブルーカラーが映えるポロシャツは、春先や初夏に着こなしたい。もちろん汗をかいても肌離れがよく快適。3万3000円
ブランドを代表するシグネチャークルーネックも、シーアイランドコットン素材にアップデート。スタイルを選ばない万能アイテムがさらに進化している。シーアイランド協会認定のネームタグも付く。3万800円

【問い合わせ】
バトナー
TEL03-6434-7007

※情報は取材当時のものです。現在取り扱っていない場合があります。

(出典/「2nd 20235月号 Vol.194」)

この記事を書いた人
2nd 編集部
この記事を書いた人

2nd 編集部

休日服を楽しむためのマガジン

もっと休日服を楽しみたい! そんなコンセプトをもとに身近でリアルなオトナのファッションを提案しています。トラッド、アイビー、アメカジ、ミリタリー、古着にアウトドア、カジュアルスタイルの楽しみ方をウンチクたっぷりにお届けします。
SHARE:

Pick Up おすすめ記事

スペイン発のレザーブランドが日本初上陸! 機能性、コスパ、見た目のすべてを兼ね備えた品格漂うレザーバッグに注目だ

  • 2025.11.14

2018年にスペイン南部に位置する自然豊かな都市・ムルシアにて創業した気鋭のレザーブランド「ゾイ エスパーニャ」。彼らの創る上質なレザープロダクトは、スペインらしい軽快さとファクトリーブランドらしい質実剛健を兼ね備えている。 日々の生活に寄り添う確かなる存在感 服好きがバッグに求めるものとは何か。機...

「アイヴァン」からニューヨークに実在する通りの名前を冠した新作アイウエアコレクション登場

  • 2025.11.21

ニューヨークに実在する通りの名前を冠した「アイヴァン」の新作コレクション。クラシックな要素をサンプリングしながらも現代の空気感を絶妙に捉え服と同等か、それ以上にスタイルを左右する究極のファッショナブルアイウエア。 Allen 2023年、NYに誕生した「ビースティ・ボーイズ・スクエア」。その付近で出...

上野・アメ横の老舗、中田商店のオリジナル革ジャン「モーガン・メンフィスベル」の凄み。

  • 2025.12.04

ミリタリーの老舗、中田商店が手掛けるオリジナルブランド、「MORGAN MEMPHIS BELLE(モーガン・メンフィスベル)」。その新作の情報が届いたぞ。定番のアメリカ軍のフライトジャケットから、ユーロミリタリーまで、レザーラバー垂涎のモデルをラインナップしているのだ。今回は、そんな新作を見ていこ...

決して真似できない新境地。18金とプラチナが交わる「合わせ金」のリング

  • 2025.11.17

本年で創業から28年を数える「市松」。創業から現在にいたるまでスタイルは変えず、一方で常に新たな手法を用いて進化を続けてきた。そしてたどり着いた新境地、「合わせ金」とは。 硬さの異なる素材を結合させるという、決して真似できない新境地 1997年の創業以来、軸となるスタイルは変えずに、様々な技術を探求...

着用者にさりげなく“スタイル”をもたらす、“機能美”が凝縮された「アイヴァン 7285」のメガネ

  • 2025.11.21

技巧的かつ理にかなった意匠には、自然とデザインとしての美しさが宿る。「アイヴァン 7285」のアイウエアは、そんな“機能美”が小さな1本に凝縮されており着用者にさりげなくも揺るぎのないスタイルをもたらす。 “着るメガネ”の真骨頂はアイヴァン 7285の機能に宿る シンプリシティのなかに宿るディテール...

Pick Up おすすめ記事

今っぽいチノパンとは? レジェンドスタイリスト近藤昌さんの新旧トラッド考。

  • 2025.11.15

スタイリストとしてはもちろん、ブランド「ツゥールズ」を手がけるなど多方面でご活躍の近藤昌さんがゲストを迎えて対談する短期連載。第三回は吉岡レオさんとともに「今のトラッド」とは何かを考えます。 [caption id="" align="alignnone" width="1000"] スタイリスト・...

決して真似できない新境地。18金とプラチナが交わる「合わせ金」のリング

  • 2025.11.17

本年で創業から28年を数える「市松」。創業から現在にいたるまでスタイルは変えず、一方で常に新たな手法を用いて進化を続けてきた。そしてたどり着いた新境地、「合わせ金」とは。 硬さの異なる素材を結合させるという、決して真似できない新境地 1997年の創業以来、軸となるスタイルは変えずに、様々な技術を探求...

【連載】ビートルズのことを考えない日は一日もなかった

  • 2024.02.05

80年代、私的ビートルズ物語。 ビートルズ研究と収集に勤しむビートルデイズを始めて早44年(Since1980)。 なにをするにもビートルズが基準だった『昭和40年男』編集長のビートルズ史を、 当時の出来事とともに振り返ります。

【UNIVERSAL OVERALL × 2nd別注】ワークとトラッドが融合した唯一無二のカバーオール登場

  • 2025.11.25

これまでに、有名ブランドから新進気鋭ブランドまで幅広いコラボレーションアイテムを完全受注生産で世に送り出してきた「2nd別注」。今回もまた、渾身の別注が完成! >>購入はこちらから! 【UNIVERSAL OVERALL × 2nd】パッチワークマドラスカバーオール アメリカ・シカゴ発のリアルワーク...

この冬買うべきは、主役になるピーコートとアウターの影の立役者インナースウェット、この2つ。

  • 2025.11.15

冬の主役と言えばヘビーアウター。クラシックなピーコートがあればそれだけで様になる。そしてどんなアウターをも引き立ててくれるインナースウェット、これは必需品。この2つさえあれば今年の冬は着回しがずっと楽しく、幅広くなるはずだ。この冬をともに過ごす相棒選びの参考になれば、これ幸い。 「Golden Be...