買うなら今しかない!? ヴィンテージ化するブラックデニムの未来。

  • 2023.05.04

古着市場におけるブラックデニムの人気は、ここ10年上昇の一途を辿っている。 リーバイスの米国製ジーンズ自体の人気が世界中で高まっていて、買い付けすら困難になりつつあるという。今後は本格的にヴィンテージとして認められるのか。ヴィンテージバイヤー・栗原道彦さんに現状と予測を聞くとともに、今!押さえておくべき名品番もご紹介。ブラックデニム、その可能性に迫りたい。

ヴィンテージバイヤー・栗原道彦さん|古着好きなら誰もが知る名バイヤー。1996年から2010年まで東京の超人気古着店に在籍し、2011年フリーのバイヤーに。現在は渋谷区富ヶ谷で、通も足繁く通う人気店「ミスタークリーン」を構える

ヴィンテージに対する意識変化で米国製リーバイスの需要増加!?

ここ数年古着市場ではリーバイスのブラックデニムの価格が上昇し続けている。予兆はあった。まず10年近く前からファッション界全体で90年代テイストが再注目され、それにリンクする形で、古着市場でそれまでセルビッジがないレギュラーとしてさほど脚光を浴びていなかった、リーバイスのワイドシルエットのブラックデニムが、一躍人気の的となった。

手を伸ばしていたのは古い物こそ正義!と、ジーンズに骨董品的価値を見出していた、古くからの古着愛好家とは価値観を異にする、若い世代の服好きたち。やれ内股のステッチがシングルだと古い年代で……”とか、やれ緯糸が白の年代は色落ちが……”とか、小難しい古着ウンチクから解き放たれて、純粋にかっこいいという理由でブラックデニムに手を伸ばす若者を見ると、完全に旧世代の古着好きだった筆者としては、羨望の念さえ抱いた。

それから少し時が経ち、今や世は空前の古着ブームに突入。すでに古着市場で注目度が増しつつあったブラックデニムは、ブームそのものに後押しされる形となって年々高騰の一途を辿っている。栗原さんは言う。

「まず基本的に色も年代も問わず、昨今リーバイスの米国製ジーンズ自体の人気が世界中で高まっています。ひと昔前までは日本人ばかり探し求めていましたが、今ではアメリカ国内での需要も増え、仕入れ相場も急騰。これまでは大体12030ドルで仕入れられていたので、日本でも90年代なら5800円くらい、2000年代でも7800円くらいで米国製リーバイスを販売できた。

しかし今では現地での相場がかなり上がっているため、日本では1万数千円、お店によっては2万円以上で販売するところも。しかも買い付けられる本数自体も減ってきていて、コロナ前なら一度買い付けに行くとスリフトだけでも大体5060本は入手できたのに、今ではもう56本程度、つまり10分の1くらいしか入手できなくなってきています」

この米国製リーバイスの需要増加に関して、栗原さんはヴィンテージに対する意識に変化が起こったのでは? と推察する。

90年代の頃、僕らがすでに70年代の物をヴィンテージとして捉えていたように、今の若い世代は90年代以降の、僕らがレギュラーとして捉えているような物もヴィンテージとして捉えているのではないかと。しかもそれほど古着に明るくなくても米国製かどうは判別しやすい。

アメリカでは個人間で売買するアプリなども日本より遥かに発展していますし、SNSを活用する若い個人ディーラーも増えてきて、ますます米国内で売買が完結することが多くなり、買い付けられる機会が激減してしまいました。

ただブラックデニムに関して言うと、現時点ではまだ日本独自のムーブメントで、アメリカではまだそれほど人気が加熱していないように思います。ただそれも時間の問題かもしれません。もしアメリカでも80年代以降のブラックデニムが正真正銘のヴィンテージとして渇望されはじめたら、今とは比較にならないほど高値になってしまうことも十分に想像されます」

争奪戦が激化する前に、思案中の人には早めの入手を奨めたい。

押さえておくべきブラックデニムの名品番6選。

古着界で人気著しいリーバイスのブラックデニムにおいて、特に著名な名品を紹介。どれも今後本格的にヴィンテージ化する可能性を秘めているので、買うなら今!

1.リーバイス 501|不動の定番も黒には独自の価値基準が。

説明不要の名番だが、実はブラックデニム版は2種に大別されている。こちらの緯糸に白糸が使われているグレーがかったタイプと、真っ黒で緯糸まで黒糸が使われているタイプ。前者の方が古く高値で売買されることが多い。8800(ミスタークリーンTEL090-2206-1755)

2.リーバイス 5172000年代を象徴するブラックデニムのド定番。

2000年頃にも一度古着界でブラックデニムが人気に。当時最も人気だったのがこの517だ。ちなみに左は綿65%×ポリエステル35%の、超稀少なストレッチ版。W40ゆえにU-1万円だが、サイズが合う人は相当お得。8800(ミスタークリーンTEL090-2206-1755)

3.リーバイス シルバータブ バギー|ビッグシルエット流行りの波にのってブレイク。

78年前から続くワイドシルエット人気に後押しされ、一躍人気銘柄となった のが、このシルバータブ。なかでもこのバギーのブラック版は、今なお争奪 戦が激化。米国製ともなると数万円で取引されることもザラだ。18920( 着屋 JAM TEL06-6643-9445)

4.リーバイス 550|ワイドテーパードシルエットの隠れ名品。

シルバータブによって、ワイドな黒デニムが注目されはじめ、まず人気が飛び火したのがこの550。流通している個体の多くは90年代製ながら、“RELAXED FIT” × “TAPERED LEG”と記される通り、今の気分にも合致。8800(ミスタークリーンTEL090-2206-1755)

5.リーバイス 560|ユルく、美しくを極めた秀作。

550」の影に隠れながら、実は根強いファンの多い隠れ名作。こちらは “LOOSE FIT” × “TA- PERED LEG”で、より昨今主流となっているワイドテーパードシルエットに近く、汎用性も高い。ネクストヴィンテージの筆頭株。7700(ミスタークリーンTEL090-2206-1755)

6.リーバイス 70507|黒のGジャン選びに悩んだら迷わずコレ!

ブラックデニム界には、インディゴとはまた異なる人気Gジャンが多数存在している。なかでもこのビッグシルエットの「70507」は、昨今のトレンドとも合致し価格が急騰。色の濃い個体はかなり稀少だ。28490(ドラセナTEL0422-24-9456)

※情報は取材当時のものです。現在取り扱っていない場合があります。

(出典/「2nd 20234月号 Vol.193」)

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