ドレスの背景で作られたカジュアル服の新境地。
シャツとスラックス。男服の核を成すこの2つのアイテムにフォーカスを絞りながら、確固たる個性で差別化を図っているコロン。今春スタートしたばかりの新鋭にもかかわらず、すでに名だたるショップのバイヤー陣から、定番服としての評を得ている。
一見すると、極ベーシック。しかし手に取って、触れて、見て、着て、気がつけばクロゼットの最前列に陣取っている。そんな服好きも増えてきている。この時代になぜ、服を愛でてきた大人ほどコロンに魅せられているのか。舵取りを担う小峰明彦さんに、コロンの誕生背景から製品作りのキモまでお聞きした。
「出発点はやはり“自分が着たい服を作る”ということでした。というのも、数年前にビッグシルエットが主流になってから、単に大きいだけで、こだわりが感じられる服になかなか出会えなかったんです。とはいえ質が高ければいいというわけでもなく、ひと昔前の過剰にピチピチな服は、さすがに今の気分にそぐわない。そこである程度の年齢を重ねて服を楽しんできた大人にも響くクオリティを担保しながら、今っぽくリラックス感のあるシルエットで着られるワードローブを作ろうと思い立ったんです」
ライフスタイルやビジネスにおける装いが変化し、厳格なドレス服よりもカジュアル服が重用されるようになってきた近年。そうした世相も反映して導き出したのが、“ 国内のドレス工場でカジュアル服を仕立てる”というコンセプトだった。
「契機になったのは、私が携わっていたスローンというニットブランドでした。熟練ニッターと物作りを繰り返すうちに、日本の工場の生産背景に改めて感動させられたんです。これまでに海外のブランドとも数多く物作りをしてきましたが、やっぱり同一言語で細かなニュアンスを伝えられる方が、遥かに精度の高い服が作れる。そして何より日本の職人さんたちは実直で、こちらのリクエストに真摯に応えてくれる。コロンを作るためには日本の、それもドレス畑の工場の力が不可欠だったんです」
そうして工場を開拓。ロットや技術、コスト、納期など、すべてのバランスを考慮した。
「シャツは九州、スラックスは東北のドレス工場とタッグを組むことに。ともに国内屈指の実力派。そのノウハウを遺憾なく発揮してもらっています」
細かなステッチワークもさることながら、極めて細い巻き縫いや、装飾性と実用性を兼ねたプリーツワークなど、細部まで技巧を凝らしたシャツ。マーベルトやシック、テングといった基本的な意匠を押さえつつ、尻ポケットの両玉縁を美しく仕上げたスラックス。どちらも、まさにドレスの背景を活かした大人のカジュアル服だ。
「コロンの服は、パターンにも注力していて、シャツは身幅にゆとりを持たせつつ袖廻りは立体的にしていますし、スラックスも闇雲に太くはせず、腰回りはしっかりフィットさせています。そのおかげでユルいけど品よく見えて、体型補正効果も得られるシルエットに。装飾性は控えめですが、着れば仕立てや着心地のよさに気づいてもらえるはず。現代的でも、服好きが求める要素を押さえているからこそ、コロンが僕みたいなカジュアル難民にも受け入れられているのかもしれません」。
肩ひじ張らず、上質な佇まいのシャツ。
ゆとりのあるシルエットは、計算されたパターンや巧みなプリーツ使いでドレスシャツのような美しさを演出する。カジュアルにタックアウトして着用することを想定した大人のためのシャツ。
ドレス由来のピンタックを採用。生地は高い伸縮性とソフトな質感を兼ね備える機能素材「ソロテックス(R)」という意外性も楽しみたい。洗濯機で丸洗いできるイージーケアも嬉しい。3万3000円
ワークシャツにみられる両胸フラップポケットのデザインにあえてドレッシーなコットンポリエステル生地を採用。芯地を抜いたソフトで小振りな襟と十分な身幅のアンバランスを楽しむ。2万6400円
広めの天巾でレイヤードを楽しむことができるシャツジャケット。立体的パターンと背面のボックスプリーツにより動きのあるシルエットに。起毛素材のウールサキソニーが上品さを醸す。3万5200円
経年変化も楽しめるコットン×ポリエステルのデニムを使用。ゆとりのあるシルエットに直線的プリーツ、ロング丈が特徴的。長めの剣ボロで袖のアレンジも自在と着こなしの幅も広い。2万6400円
プリーツなどのデザインを排した、シンプルなスタンドカラーシャツ。生地は高密度コットンブロード。カーキ×ブラウンの落ち着いたツートーン配色に、大人の遊び心を覗かせる。2万4000円
フロントに4つポケットを施したトラベルシャツ。生地はナイロン部分にコーデュラを使用したロクヨンクロスで耐久性も十分。収納力の高いミドルレイヤーとしての活躍も期待したい。2万6400円
計算されたシルエットと穿き心地のスラックス。
綾目の凹凸が非常に存在感のあるウールカルゼ生地を採用。この生地感を最大限に活かすため、あえてクリースは入れず、ストンと落ちるストレートに近いセミテーパードシルエットに。3万5200円
2プリーツのゆとりあるワタリから、裾にかけて綺麗にテーパードする定番シルエット。メゾンでも使用される高級ウールギャバジンを使用した贅沢な仕様は秋冬ワードローブの主力筆頭。3万9600円
独特な色味と芳醇な光沢で人気の高いソラーロ生地を秋冬にも楽しめるウールで表現。ソフトな生地のドレープ感とハイバック仕様、ベルトレスというディテールがドレス感をさらに強める。3万5200円
ストレッチの効いたウール調ファブリックにウエストはゴム仕様のコンフォータブルに仕上げ。その分、通常よりも一段強くテーパードを効かせたペグトップシルエットに仕立てられている。3万5200円
プリーツやベルトループを排した、非常にシンプルなデザイン。ウエスト周りは細く、サイドアジャスターがどこか1980年代の趣きを醸す。生地は厚手のストレッチチノで至極カジュアル。3万800円
ポリエステル100%のデニム素材を採用したノークリースのセミテーパードタイプ。光沢感があり、色落ちもしないため、ドレススタイルの程よいカジュアルダウンにうまく活用したい。3万800円
コロンの美は細部に宿る。
“ドレスの工場で作る、カジュアルな服”という発想から生まれたコロンのシャツやスラックスには語るべき意匠が随所に。その美しき佇まいには確かな所以がある。
CSH-1
襟元の深いインプリーツは着るだけで美しいシルエットを演出する、革新的なオリジナルデザイン。細番手の糸を高密度で打ち込んだコットンタイプライター生地を使用した1枚はすでに定番人気を誇る。2万6400円
襟元からハの字に入るプリーツは流麗なAラインシルエットを生む独自のデザイン。すでにコロンを象徴する意匠となっている。
ドレスシャツに用いられる背面のスプリットヨーク。2枚の生地を斜めに使い中央で繋ぎ合わせることで格段に着心地が向上。
縫い代はドレス工場の高い縫製技術を活かしたの細い巻き縫い仕様。タックアウトしてもだらしなく見えない秘密はここにある。
CPT-1
現代的なワイドテーパードもヒップのボリュームを抑えることで美しいシルエットを実現。マーベルト、テング、シック等、本格派スラックスの意匠を盛り込み、休日パンツにドレスのエッセンスを注入する。2万6400円
ドレスならではの腰裏に施されたマーベルト。穿き心地を良くするだけでなく、タックインしたシャツをずれにくくする効果も。
「テング」と「持ち出し」を採用する本格仕様。ウエスト周りのホールド感を高め、すっきりとした見た目も演出してくれる。
秋冬シーズンに使用する厚みのある素材でも美しく両玉縁を裁製できるのは国内屈指の技術力を持つ工場だからこそ為せる技。
アウトプリーツとスラントポケットが重なる独自デザイン。ポケット口は手縫い風ステッチを施したビスポークのような雰囲気。
ポップアップストア開催中!
:colon(コロン)は2022年3月にビューし、今季でセカンドシーズンを迎える。先シーズンに続き、伊勢丹新宿店や有名セレクトショップなどで取り扱いが決定しているほか、有楽町・横浜、ビームス二子玉川・銀座、デザインワークス六本木・銀座、ファーストハンド、バーニーズ ニューヨークなどでは9月以降ポップアップストアを開催しているのでぜひ足を運んでみてほしい。
■ポップアップストア詳細
・ビームス二子玉川
期間:9月16日(金)~9月25日(日) 10:00~20:00
・デザインワークス六本木店
期間:9月16日(金)~10月2日(日) 11:00~21:00
・Firsthand
期間:9月21日(水)~※イベント終了時期未定 11:00~21:00
・ユナイテッドアローズ有楽町
期間:9月23日(金)~10月2日(日) 11:00~21:00
・ユナイテッドアローズ横浜
期間:9月23日(金)~10月2日(日) 10:00~21:00
・ビームス銀座
期間:9月30日(金)~10月10日(月) 11:00~20:00
・デザインワークス銀座
期間:10月5日(水)~10月16日(日) 12:00~20:00
【問い合わせ】
エンメ
TEL03-6427-2261
www.emme.jp/sub/?page=colon
(出典/「2nd 2022年11月号 Vol.188」)
Photo/Tetsuya Maehara, Katsunori Suzuki Styling/Nobuyuki Ida Text/Kazuki Ueda, Masato Kurosawa Hair&Make/Katsuyoshi Kojima
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