年表で読み解く、アウトドアファッションの歴史とブランド。【③1990年代】

野外活動や局地など特定のフィールドに向けたアウトドアアパレル。その優れた機能服はいかにしてデイリーユースとなっていったのか? アメリカと日本のシーンを中心にその変遷を追ってみる企画の第3回目はストリートシーンが盛り上がりを見せた1990年代。カラフルなアウトドアアパレルが街を彩ったこの時代を振り返る。

▼創成期(~1960年代)の軌跡はこちら

年表で読み解く、アウトドアファッションの歴史とブランド。【①創成期~1960年代】

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2025年07月09日

▼アウトドアアパレルが日本上陸した1970~80年代はこちら

年表で読み解く、アウトドアファッションの歴史とブランド。【②1970~1980年代】

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2025年07月09日

ビビッドカラーで完全復権今度はフリマが主戦場。

パタゴニア、グレゴリー、ザ・ノース・フェイスなどのアウトドアブランドがストリートおよびデイリーウエアとしての地位を完全に確立。特に国内フリマではグレゴリーのザックやウエストバッグがユニフォームと化した。また、1990年に勃発した湾岸戦争をはじめとする新たな戦地にて、特殊部隊員などが自前のアウトドアアパレルを愛用したことに端を発し、アウトドアブランドとの共同開発による新装備のトライアルがスタート。グレゴリー、パタゴニアなど多くのブランドが参画し、同様に各国アウトドアブランドが軍用装備の開発に携わるようになった。

こんなカッコしてました!

ベスト2万2000円/ Vintageパタゴニア、バッグ2万7500円/ Vintage グレゴリー( ベースキャンプ☎03-3388-2611)、スウェット1万6500円/チャムス(チャムス表参道☎03-6418-4834)、パンツ9680円/グラミチ(インス☎0120-900-736)、サンダル8580円/テバ(デッカーズ ジャパン☎0120-710-844)、その他スタイリスト私物

当時は“ペンギン”と呼ばれたチャムスは、みんな旧タグを探してたのが懐かしい。フリースの代名詞パタゴニアに重ねるのは高級品だったムーンストーン。そして足元の定番はカラフルな霜降りソックス。ソックス合わせがあの頃一番オシャレだった。

1990年

’90年発売の雑誌「ポパイ」がパタゴニアのシンチラを大々的に取り上げたのを皮切りに、多くの雑誌がパタゴニアをはじめとした次世代ブランドのフリースをフィーチャーするように。

1991年

ナイキがACGレーベルを立ち上げ、アウトドア市場に本格参入。同年デビューした[エア モワブ]を始めに、’92年には[エア リバデルチ]、’94年には[エア モック]などなど、多くのアイコンモデルが登場した。

斬新な派手パネリングが目を引くフリースジャケット[MAKALU]も同じくACG。スタート当初の通称名山シリーズなどアパレルラインはアメリカ製がメインだった。

1991年

アディダスのエキップメントシリーズが’91年にスタート。EQTバッドランダーなどアウトドアカテゴリーから数々の名機が発表される。

’91年にスタートしたエキップメントシリーズは各カテゴリーの最上位機種に採用された誉れ高き称号。特にアウトドアカテゴリーには名モデルが数多い。

’91年にスタートしたACG(All ConditionsGear)からは、エア モワブ、エア リバデルチ、ポケットナイフなど数多くの名モデルがリリース。

1992年

ザ・ノース・フェイスより’90sストリートの象徴ともなったダウンジャケット[ヌプシ ジャケット]が発表され、タウンユースを中心にシェアを拡大。

ちょい悪ストリートを中心にヌプシジャケットが大ブレイク。XXLやXXXLをざっくり着るのが当時ならではのスタイルだった。

そしてブラックカルチャーにも人気は飛び火し、1993年にデビューしたヒップホップユニット、ウータン・クランのメンバーが着用したことでプレミア化が進んだスティープテックをはじめ、ティンバーランドの通称イエローブーツもBボーイたちのアイコンになっていった。

1992年

1976年に設立され、’80年代よりアパレルの生産もスタートしたムーンストーンのハードシェルやダウンジャケットが一部ファンの間で熱狂的な支持を集める。

1992年

ポロ・ラルフローレンからアウトドアアパレルより着想を得たニューライン、ポロ・スポーツが発表される。

1993年

パタゴニアがアウトドアアパレル製造企業としては初めて、消費者から回収/リサイクルされたペットボトルからの再生フリースを展開。

1993年

グラミチ

アウトドアのメッカ、シアトルにてロバート・ジャングマンが中心となりマナスタッシュを設立。環境に配慮したヘンプ素材が当時の気運と共鳴し、ネオヒッピームーブメントへと発展していった。“ストーンマスター”の異名を持つロッククライマー、マイク・グラハムによりクライミングパンツ専業ブランドとして1982年に設立されたグラミチが日本でブレイク。

マナスタッシュ

当時はヘンプ素材を用いたエコロジカルなプロダクションで一部熱狂的なファンを抱えたマナスタッシュ。同時期にグラミチのボトムスやアディダスのスニーカーからもヘンプ素材のアイテムが多数リリースされた。

1995年

ヴィンテージ市場における旧タグのプレミア化が進む。グレゴリーやイーストパック、アウトドアプロダクツ、アウトドアリサーチなど、バッグが中心。

1996年

ラ・スポルティバやガルモントなどヨーロッパの本格登山ブーツの街履きが流行。

1996年

プリマロフトと言えばワイシンのデナリ!

ワイルドシングスの名作[デナリジャケット]の流行により、プリマロフトがストリートでも認知される。

90年代のアウトドアファッションはすべてフリマからはじまった。

本誌でもお馴染みにのスタイリスト中島貴大さん。当時のアウトドアファッションはいかに広がりを見せたのか、当時のムーブメントを振り返ってもらった。

スタイリスト中島貴大さん。「週末になると公園に集まってました」

「それまでフリマと言えばデニムなどのワーク系やスウェットなどのスポーツ系など、いわゆる紋切り型のヴィンテージウエアがメインでしたが、’90年代初頭~半ば頃から徐々にグレゴリーやACGといったアウトドアブランドがネクストヴィンテージとなっていきました。売る物を入れてきたアウトドアブランドの私物のドでかいボストンバッグを『それ売ってくれ』と言われたりしてね。

当時はヤフオクはおろかインターネットすらなく、さらに復刻という概念もなかったような時代。タイムリーで買い逃した物は古着屋かフリマで手に入れるしかなく、年代判別法やタグの変遷などの情報交換も雑誌やフリマの仲間たちが頼りでした。グレゴリーなどの当時の現行品にはない旧タグ仕様、あるいは知る人ぞ知る中堅ブランドなどを我先にと、ある意味“これ見よがし” に着るのがツウっぽかった(笑)。山に登ったりするワケでもなく、アウトドアアパレルで街に繰り出すのが当時のスタイルだったんですよ」

当時のバイブル的雑誌といえばこの3つ!

「YABAI!」は物欲を煽りまくったあだ花的名誌のひとつ。

マイナーながらもアウトドアmeets街着をどこよりも早く体現していた「Mt.」。

月刊BOONから派生した読者モデルのワードローブやライフスタイルを追った別冊は同時代のバイブル。

90年代後半のストリートを彩ったアウトドアバッグブランド。

ウエアと並び急速にお宝化していったバッグ類、当時を知る中島さんは「一般的なヴィンテージ古着と異なり、アウトドアバッグ類はタグが前面にあり一目で旧さを判断できる。そんなわかりやすさも人気を集めていたのでは」と振り返る。確かにイーストパックやアウトドアリサーチなどは今なお旧タグ復刻が珍重される傾向にある。

アウトドアリサーチ

マウンテンスミス

イーストパック

アークテリクスより軍や警察などの法的執行機関に向けたアザーレーベル「LEAF」が発表。

カナダ発のアウトドアブランド、アークテリクスが軍および政府系機関に向けたタクティカルライン「LEAF」をスタート。当時は国内代理店がなく、並行輸入品のみが古着屋などで展開された。

 

アウトドアアパレルがストリートで花開いた90年代。懐かしいアイテムを見ると当時と思い出す人も多いのではないでしょうか? ストリートに溢れかえったアウトドアアパレルはカラフルだったな……郷愁の90年代を経て、ブラックや迷彩柄などそれまでアウトドアではタブーとされたアイテムが登場する2000年代へ。次回は続く……。

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2nd 編集部
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