新製品発表の場から、楽しめるイベントに
CP+は、2020年にはパンデミックにより開催が中止となった。『中止となりました』という看板をレポートするためにひと気のないパシフィコ横浜に足を運んだことを思い出す。これから世界はどうなるのだろう? と不安になるような日々だった。
CP+やってなかった……。
https://www.funq.jp/flick/article/563336/
そして、’21年、’22年もオンライン開催のみ。以降はリアル会場とオンラインのハイブリッド開催となっている。つまり、リアル会場での開催は復活してから今回で4年目となる。今増えているといっても、2019年までの方が会場の来場者数は多い。とはいえ、パンデミックでの休止後、来場者数は徐々に回復している。また、オンラインでのイベント参加者数は年々増えているので、トータルでの影響力は増しているのかもしれない。
リードにも書いたように、キヤノン、ソニー、ニコンなどが、このCP+に合わせて新型カメラやレンズを展示発表するという傾向は弱まっている。パンデミック前のように「ここで新型カメラが見られる」という期待感は薄れているが、その分、よりカメラファンが楽しめるイベントになってきたとも思える。新型カメラやレンズを毎年買い替えられるものでもない。ならば、新製品の発表よりも「今、カメラを持っている人に楽しんでもらおう」という戦略になってきたのではないだろうか。
どこまで進むアナログ回帰
特に今回顕著だったのは、アナログ回帰の方向性だ。ある意味、大メーカーの一眼カメラの機能は極限に到達しつつある。特に数年前、マウントやフランジバックがデジタルに最適化されてから、各社とも非常に高度な性能を確保できるようになってきている。
そんな中で高まっているのは『アナログ回帰』の方向性だ。カメラの性能が極まり、スマホでも十分に美しい写真が撮れるようになった。単に画像が欲しいだけなら生成AIで作成することもできるようになった。また、カメラで撮った写真も、AIを使うことでかなり強力に補正できる。
(もちろん、この製品もアナログ回帰傾向の代表的な製品だろう)超ハイクオリティな写真が当たり前になった時、我々一般ユーザーが『写真を楽しむ』とはどういうことなのか? その方向性が問われた結果、アナログ回帰が進んでいるのではないか?
例えばニコンのブースには、デジカメでありながらアナログカメラのようなテイストのZfシリーズが多数展示されていた。

富士フイルムのブースでは「写ルンです」の展示が多くあった。現在入手困難なほど売れているのだという。

他にもポラロイドが非常に人気であり、海外勢でもHolgaやKodak、VEXといったカメラが展示されている。


3月19日発売のケンコー・トキナーの『レトロデジ90』というカメラは、デジタルカメラでありながら使い捨てカメラのようなデザインになっている。解像度は低く設定されており、1カット撮るごとに手巻きのアクションが必要なのだという。

撮れる写真もアナログテイストな面白い仕上がりになる。

特に興味深いのは、Instaxの『mini Evo Cinema』というカメラは時間をさ迷うことができるカメラだ。

8mmカメラのような形状をしており、写真もビデオも撮影可能。横にはサイドに『ジダイヤル』というユニークな名称のダイヤルがついており、これを回すことでフィルターの時代設定を過去へと変えることができる。

1930年代、1960年代、そして1990年代といった具合に、それぞれの時代背景の雰囲気を反映した写真が撮影できるというわけだ。

こうしたアナログ回帰の方向がどこまで行くのかは分からないが、単なる高画質化だけではなく、手触り感や身近な懐かしさ、あるいは写真の『時間を超える力』に魅力を感じる人が増えているのだと感じる。
また、各社のコンパクトデジカメ(コンデジ)がおよそ登場30周年を迎える時期でもある。近年はスマホの台頭に押されてコンデジの売れ行きは大きく落ち込んでいると聞いていたが、そろそろ底を打って、若干復調する兆しもあるようだ。

キヤノンでは歴代コンデジの人気投票を行っており、この30年間に使われてきた懐かしい機種が並んでいた。今、若者の間でレトロコンデジが人気を集めているのも、こうしたアナログ的な価値が見直されている流れのひとつなのだろう。
(村上タクタ)
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