Dreame Aqua 10 Ultra Roller
https://greenfunding.jp/focal/projects/9033
ロボット掃除機なんて要らない――そう思っていた
実は、筆者はロボット掃除機を買ったことがない。有金をすべてガジェットに遣ってしまうからというのもあるが、そもそも妻が非常に掃除好きで、1日に2〜3回掃除機をかけ、拭き掃除をしているので「ロボットに任せなくても、その方がきれい」と思っていたからだ。しかも、子供たちも巣立ち、夫婦2人暮らし。あまり家も汚れない。
「そんなロボット掃除機未経験の人に、ぜひ便利さを体感して欲しいんです」とフォーカルポイントの田中さんに言われ、Dreame Aqua 10 Ultra Rollerを預かった。ちなみに、筆者が預かったのはまだ日本に導入する前のモデルだったので、220VのタイプOプラグだったので、変圧器と一緒にお預かりした。クラファンで販売されるバージョンはもちろん日本仕様になっている。
『今どきのロボット掃除機』は昔のイメージと違う
そもそも、筆者のロボット掃除機に対する考えが古かったらしい。
iRobot社のルンバが日本に入って来たのが2004年。もう20年も前になるのだが、その頃に買った友人や親戚の感想をもとに「必要性ないな」と思ってたのだ。しかし、今や、宅内をセンシング、記憶し、状況に応じて掃除。障害物があれば避けてくれるし、段差も上る。さらに、吸引だけでなくモップ掛けもしてくれるのが当たり前という状況になっている。テクノロジーの世界で20年ははるか昔。そんな時代の常識で判断するのが間違っていたということらしい。
実は、発表会の時にも「でも、僕の部屋はガジェットだらけで、電源ケーブルとかがいっぱい散らかってるから危ないな」というようなことを言ったら、ゴリミーのg.O.R.iさんに、「タクタさん、何言ってるんですか。今時のロボット掃除機はめっちゃ進化してますよ!」と言われた。たしかに、その進化を体験するのに、Dreameの最上位機種Aqua 10 Ultra Rollerを使ってみるのはいいかもしれない。
日本で『ロボット掃除機文化』が深くは根付いていない理由
前述のように、ロボット掃除機は日本に上陸して20年以上経つが、世帯普及率は10〜15%ぐらいらしい。つまり9割〜8割5分の家庭では使われていない。日本でロボット掃除機が普及しにくい理由としては、集合住宅比率が高い、間取りの狭さ、段差・障害物の多さなどが挙げられている。広い部屋ならともかく、狭いんだから自分でやればいいというわけだ。また、日本人の掃除観(自分で掃除をするべきという文化)などが影響しているとも言われている。
また、これは筆者の私見だが、土足で上がり、絨毯の部屋もある欧米だと掃除も大変だが、畳と板の間が多く、そもそも裸足で過ごす日本家屋だと、「自分で掃除すればいい」と考える人の方が多いのも当然だと思う。言わば、筆者もその視点だったわけだ。
ロボット掃除機に関しては、ご存じのようにiRobotのルンバが先行していたが、「ローラーで巻き込みながら吸引しつつ動き回る」というコアテクノロジー自体は模倣が容易だったし、ロボット掃除機の技術自体は数多くの特許から構成されているが、発売から20年以上が経ち、それらの特許が順次切れているということもあり、後進の中国企業が猛追している。これらにより、Dreame、Roborock、Ecovacsなどの中国企業の成長が著しくなっているのである。
特に、Dreameは毎分20万回転の高速デジタルモーターとAI技術をコアとし、膨大な数の開発を投入して特許を取得、巨大なロボット化された24時間操業の工場を建設し、主に欧州市場を中心に急成長を遂げている。

開梱から圧倒される『フラッグシップの貫禄』
というわけで、尋常じゃなくデカい箱で届いたAqua 10 Ultra Rollerを開梱。ベースステーションも含めて、しっかりした梱包で届くので、箱が大きいというのは覚悟しておいた方がいい。定価で24万9800円という超高級機種なので、何もかもがひたすら豪華なのだろう(11月10日現在クラファンで33%オフの16万7366円)。

同社ラインナップにはリビングに似合う白いモデルもあるが、フラッグシップであるAqua10 Ultra Rollerは重厚感ある黒なのだそうである。

ベースステーションは充電場所であると同時に、吸引してきたゴミを収集したり、モップを洗浄したりする場所である。上のハッチを開けると洗浄用の水を入れるタンクと、汚水が溜まるタンクがある。以後、体験するのだが、意外とこの水は頻繁に交換しなければならない。

下段のハッチを開くと、ゴミ収集用のフィルターパックと、クリーニングソリューション、ペット消臭ソリューションを入れるケースがある。

クリーニングソリューションはパッケージを見ると200倍に希釈しろと書いてあるのだが、このまま入れておけばAqua10 Ultra Rollerのベースステーション内部にドーシングポンプのような構造があって、適量を洗浄用の水に添加してくれるようだ。ペット消臭ソリューションは、筆者宅はペットを飼っていないし、匂いが気になるところもないので入れなかった(それでいいのかどうかは良く分からないが……)。
狭小日本家屋に大きなベースステーションをどう置くか?
まずは我が家の構造を説明しておこう。古いテラスハウスで2階建て。1階にはキッチン、リビング、ダイニング、洗面所。2階には僕の仕事部屋、寝室、そして書庫兼子供たちが帰省時に使う部屋がある。
基本的に汚れるのはキッチン、リビング、ダイニングなので、ベースステーションは1階に置くことにした。とはいえ、リビングに大きなベースステーションを置きたくはないので、廊下の端というか、玄関に置くことにした。靴を脱ぎ履きする場所が少し玄関が狭くなるが仕方ない。みなさん、どこに置いてらっしゃるのだろう?

その場所には電源がなかったので、別の場所から面倒な取り回しをすることになった。横にDIYで変圧器を隠す場所を作った。DIYの箱の上には妻のパワーアシスト自転車を置けるようにした。ベースステーションは左右に5cmずつ、手前に1mの余裕を開けて設置するように書かれているが、狭小日本家屋においてはその条件を完全に満たすのは難しいのではないだろうか?
初めての“マッピング”にユーザーもワクワク
ともあれ、これでやっと準備完了。続いて、スマホにアプリをインストールして、連携させる。そして、まずはマッピングをスタートさせる。
最初は1階でマッピングを実行。Dreame Aqua 10 Ultra Rollerは、LiDAR SLAM(ライダーによる同時定位と地図作成)で非常に精度の高いマッピングを行い、環境を把握する。操作は専用アプリから簡単にでき、さまざまな設定もこのアプリから行う。
このマッピングは、まるで初めて家に来たペットが、恐々と家の中を探検しているようで、なかなか面白い。リビングをひと回りすると、おずおずとキッチンに入ってチェック。次に段差を乗り越えて廊下に出て、廊下をチェック。廊下の端は玄関になっていて30cmほどの段差があるので、落ちないか心配したのだが、落ちることなく回避。
次にまた段差を乗り越えて洗面所兼脱衣場に入り、この場所をチェック。糸くずや髪の毛などが落ちがちな場所なので、ここを掃除してくれるのも嬉しい。

そして、マッピングが終わったので、いよいよ掃除をスタート。3万Paというロボット掃除機としては強力らしい吸引力で掃除をしてくれる。ウチには絨毯がないので、この吸引力のありがたみは正直言って感じにくいのだが、絨毯に土足で上がるような生活なら、この吸引力は頼もしいのだろう。オフィスなどだといいのかもしれない。
ボディ右前にある細い3本の回転式ブラシが、部屋のエッジ部分や、家具の足の下にあるホコリを掻き出して、それをメインのローラーと吸入口が吸い取ってくれる。これは、手で掃除機を使ってる時にカバーできていない部分のホコリも吸い取れていると思う。そして、そういうところにこそホコリが積もるのだ。この回転ブラシ、根元がアームになっていて少し伸びる。コーナー部分などはそうやって掃除しているようだ。

吸引とモップの2段階の掃除で床がツルピカに
ローラーモップの効果も絶大。ローラーには常に洗浄液入りの水がスプレーされており、強力に回転して汚れを拭き取る。そして、回転する時にその汚れと、汚れた水をこそげ落して、ボディ内タンクに溜める構造になっている。ローラーは場所によっては少し右側にせり出して、壁ギリギリを掃除するようになっている。

ベースステーションに戻ると汚水は回収され、さらにローラーは100度のお湯で洗浄される。こうした一連の流れが仕組みとしてでき上がっているから、人間がぞうきんで拭くより清潔なのかもしれない。
実際、我が家は妻が日々ぞうきんがけしているので、きれいだと思っていたが、Aqua10 Ultra Rollerが掃除したあと、溜まった汚水を見て驚いた。初回はとても汚水の量が多かったから、我々が掃除し切れていないところも多かったのだろう。たしかに、Aqua10 Ultra Rollerを使うようになってから、床がいつもきれいになった。
一番の『売り』である高度なナビゲーションシステム
OmniSightSystem 2.0と呼ばれる高精度なナビゲーションもたいしたものだ。部屋を最初にマッピングして、効率的に掃除できるように動くし、何か障害物があったら、それは避ける。スマホアプリのマップを見ると、『ここには電源ケーブルがあった』『布が落ちていた』『障害物があった』などと認識している。特に落ちていたものについては『織物87%』などと、AIで認識しているであろう形跡もある。

ロボット掃除機が動いて来た時に、あわてて椅子をどけてもそこは掃除してくれないこともあるので、最初にスキャンした時にあるていどモノの位置を認識しているようだ。しかし、目の前にモノを置くとちゃんとぶつかる前に止まって避けるので、プランとは別にリアルタイムで障害物を認識して開始する仕組みもあるのかもしれない。
『下ごしらえ』すれば、さらにきれいに
何回か使うと、コツを会得してきた。
ロボット掃除機というと「ボタンひとつでOK」だと思っていたのだが、実際にはちょっと手間をかけてあげた方が効率的に、隅々まできれいになる。

床に置いてあるものはなるべく片付けて、カーテンはたくし上げて(そうしないと避けて通るので、下にホコリが残る)、移動できる椅子は他の部屋に持って行った方がいい。

それから、家具の上や、壁の下部の巾木(はばき)の部分に溜まってるホコリを掃き下ろしておくと、それもロボット掃除機が吸い取ってくれて便利。こうしたちょっとした下ごしらえで、さらに部屋がきれいになる。

最初のうちは私のiPhoneで制御していたのだが、『デバイスの共有』機能を使って、妻のiPhoneでも制御できるようにした。どちらからでもロボット掃除機をコントロールできるようになって便利。

このアプリが実に良くできていて、モップやブラシをコーナーなどで突出するかどうか、カーペットがあった時にどうするか、家具など障害物に対してどのぐらい攻めるか(当たっていいのか、間を開けて回避するのか……などの細かい設定が可能。さらに、掃除の予約もできるし、掃除の履歴もずらりと残る。
この情報を妻と共有できるのも大変便利なのだ。
2階での運用は『手で運ぶ』が最適解
さらに、我が家の場合、2階も掃除したいというニーズがある。
某所で階段を登るロボット掃除機も発表されていたが、我が家のような急な階段を無理に登って転落してバラバラになってもらったりしては困る。むしろ、手で持って上がった方が安全で分かりやすくていい。

『2階』という別マップを作って、2階の部屋を認識してもらうようにした。2階の3部屋と廊下は全部いっぺんに掃除させることもできるが、筆者の書斎だけを除外して、あとの2部屋と廊下を掃除してもらい、昼食を食べに1階に下りている間に書斎を掃除してもらうというパターンができ上がった。

最初のうちは階段から転げ落ちないかと心配したのだが、どうやらそれほどドジではないらしい。慎重に段差を越えて、部屋に入って掃除する様子を見ると、なんとなく愛着が湧いてくるから不思議だ。また、電源ケーブルや細かいガジェットが床に置いてあることの多い筆者の部屋でも、ちゃんとそれらを避けながら掃除してくれることも分かった。とはいえ、あらかじめどけておいた方が、掃除してもらえる面積が広くなるので良いのだが。

2階の部屋は、普段1階ほど頻繁に掃除はしていなかったのだが、Aqua10 Ultra Rollerが来てからは、持って上がってスイッチを入れるだけなので、掃除の頻度が上がった。
ずっと仕事をしていて、うっすらとホコリが積もっている感のあった書斎も、Aqua10 Ultra Rollerが来てから常にピカピカになった。とはいえ、取材用の機材を大量にお借りしていて段ボール箱だらけになっている時は、Aqua10 Ultra Rollerに掃除してもらえる面積が少なくて申し訳ないが。
寝室は、我々が入居する前は畳の部屋だったらしく(現在は全部フロアタイル敷き)、廊下から4cmぐらいの段差があるのだが、そこも脚を伸ばして、グイッと乗り越えていく。

最初に掃除した時は、2階を掃除している途中に「モップを洗浄したいので、ベースステーションに戻りたい」と言い出したので、これは面倒だなぁ……と思ったのだが、2回目からは床がきれいになったのか、1回で2階の床を全部掃除してくれるようになった。
『ワンボタンでOK』はイメージと違うが、『手作業よりきれい』は本当
ロボット掃除機初体験の筆者が、急速に成長しつつある中国メーカーの24万9800円のDreame Aqua10 Ultra Rollerを試させてもらってどうだったか?
まず、思ったより手放しで掃除するわけではないということに気がついた。家具を移動する、カーテンをたくしあげるなど下ごしらえをした方が、きれいに掃除してもらえる。床に落ちているものも片付けておいた方がいい。
一方、それらの過程を省略しても、ボタン1つできれいにしてくれるという使い方もアリだと思う。下ごしらえが面倒なぐらいだったら、とりあえず走らせておけばいい。
驚いたのは、手作業よりきれいになるということだ。床のツルピカ度合いは明らかに手作業の掃除より高い。妻が常に拭き掃除をしてくれていたリビングはさらに。ついサボりがちだった筆者の書斎はじめ2階は、従来より明らかにきれいになった。

家の広さや床の構造、家族構成などによって利便性をどう感じか違うだろう。子どもがいて、日々、食べこぼしや、外遊びの砂などで猛烈に汚れていく家庭で、ワンフロアだったりするなら、圧倒的に導入した方がいいと思う。誰もいない時にとりあえず走らせておけば、床におもちゃが落ちてても、脱ぎ散らかした服があっても、それを避けて掃除してくれるはずだ。
もちろん、それらを片付けてから動作させた方がいいが、その手間をかけられないことが、我が家も10〜20年前にあった。子どもがいて、忙しい家庭にはぜひ使って欲しい。

あと、意外と愛着が湧くのも面白かった。慎重に部屋をサーチし、掃除し、一生懸命段差を乗り越え、せっせと動き回る姿は、なんだか愛おしい。いっそ、猫耳でも付けて、ペットロボットを兼ねても面白いと思うのだが、そうはならないのだろうか?
同社にはもっと安価なモデルもあり、モップで拭き掃除してくれるタイプでも数種類ある。それぞれ、吸引力やモップの仕様、段差を乗り越える能力などは違うようなのだが、多分ソフトウェア的に共通仕様だろうから(別に開発するとコストがかかる)、安価なモデルでも悪くないような気もする(ただしセンサーの性能が違うと思うが)。
ただ、それらの製品の満足度は分からないし、現在この24万9800円のDreame Aqua10 Ultra Rollerが33%オフの16万7366円(11月10日現在。安価なセットから売れていくので、お早めに)で購入できるのだから、満足できる最高級品を買っておくというのも手だと思う。絨毯がある家なら、吸引力が高い方が絶対にいいから、Aqua10 Ultra Roller一択かも。また、モップを100℃で洗浄してくれるのもいい。濡らすものだから日本の湿度を考えると、どうしても雑菌の繁殖とかが気になっていたのだ。
自分で買うなら、どの価格帯のものを買うかという迷いはあるが、少なくとも、もうロボット掃除機のない生活は考えられなくなってしまった。
(村上タクタ)
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