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Amazon Music、オーディオブックAudibleの取り扱いを拡大——そもそも音で本を読む?

Amazonの日本法人は、2025年6月26日からAmazon Music Unlimited会員が、Audibleから毎月1冊のオーディオブックを読めるようになったと発表した。それを記念してAmazon Music Unlimitedを新規登録すると、最初の4カ月間無料で利用できるというサービスが提供される。Audible には、世界中の人気作品や高い評価を受けた 90 万作品以上のタイトルが揃っており、Amazon Musicサービスがより充実したことになる。しかし、「音で本を読む」というニーズはあるだろうか? 発表会での取材を元に、オーディオブック日本展開の可能性を考察してみた。

Amazon Audible
https://www.audible.co.jp/

オーディオブックって、聞いたことある?

みなさん、オーディオブックは使われるだろうか? 実は……今回、Amazon Audibleの取材に行くというのに、筆者はほぼ使ったことがない。

雑誌社に30年勤めていたこともあり、もともと本を読むのが好きなので、テキストで読むのがまったく苦ではなく、むしろ楽しみでもある。オーディオブックで読むと口頭で話す速度でしか読めないが、そもそも読むスピードが速いのでオーディオブックで聞くともどかしい。

実際に、筆者が1時間ぐらいで読んだ本のオーディオブックのファイルを見ていると4〜5時間ぐらいかかると書いてあった。再生速度を上げることもできるが、それはそれで落ち着かない(笑)では、どんな人がオーディオブックを読んでいて、Amazonはなぜ今回日本でオーディオブックに力を入れると発表したのか。それを考察してみよう。

Amazonが、オーディオブックに力を入れる必然

もう、多くの人が忘れかけているのではないかと思うが、そもそもAmazonはオンライン書店サービスとしてスタートした。

日本のように駅前ごとに巨大な書店がある環境と違い、広いアメリカで望みの本を書店で手に入れるのは難しいかった。ワンクリックで多彩な本の中から1冊を選んで購入すれば、翌日には家に届く……というシステムは人気を博し、Amazon社が急成長したのはご存知のとおり。日本でAmazonが本のオンライン販売を始めたのは2000年のことだ。

続いてCDのオンライン販売が始まり、他のありとあらゆるものの通販を行うようになり、その後『Amazon Kindle』により本の電子化が始まり、2015年にAmazon Prime Musicで音楽配信が始まった。

つまりは、もともと、Amazonといえば『本』であり『音源』なのだ。

筆者はアップルユーザーであるから、音楽はiTunesで聴くが、世界的にみても日本に限っても、音楽のストリーミング市場ではSpotifyが強いらしい。買い切りを含めても世界市場ではSpotifyが強く、iPhoneの普及している日本ではアップル(iTunes+Apple Music)が強い。

そんな中、Amazonは世界でも日本でも3番手のプレイヤーだ。物販のAmazonの会員であるAmazon Primeで抱えている多くのユーザーをベースに、上位プランのAmazon Music Unlimitedに誘導する仕組みだ。ちなみに、Amazon Music Primeは、Amazon Primeに含まれる音楽プランだがデータはHDではなく、アーティストやアルバムは選べるが曲はシャッフル再生になる。聞きたい曲を自由に選ぼうと思ったらAmazon Music Unlimitedへの加入(1080円/月)が必要だ。

しかし、本を音で楽しむ『Audible』については、本の物販からスタートしたAmazonが大きな強みを持っている。今後、この分野にさらに力を入れていくということになるようだ。

日本から多くのインスピレーションを得ている

今回の発表会で、Amazon Music統括責任者のライアン・レディントン氏は、「Audibleの世界トップクラスのカタログを導入することで、お客様にこれまでにない価値と利便性を、1つのサブスクリプションでお届けできるようになります」と強調した。

Audible CEOのボブ・キャリガン氏も、「この画期的なコラボレーションにより、日本のAmazon Music Unlimited会員にプレミアムなオーディオブックをご提供できることは、大胆な一歩」と語り、「リスナーとクリエイター双方にとって新たな体験と成長の機会になります」と期待を寄せた。

さらに、Amazonは日本の音楽文化、特にファンの応援活動である「推し活」の重要性にも言及。レディントン氏は、「日本は推し活が最も高い次元で表現される場所。世界的な推し活戦略のインスピレーションは日本から得ています」と語った。

新機能では、Amazon Music Unlimitedの個人プランおよびファミリープランのアカウント所有者が、毎月1冊のオーディオブックを選択して聞ける。選んだ書籍はサブスクリプション更新日以降も聞き続けることができ、翌月には別の作品を選べる。さらに、Audibleの個別購入や追加サブスクリプションでさらなる書籍にもアクセス可能だ。

Amazon Music Unlimitedでは、『誰かが私を殺した』(東野圭吾、朗読:寺島しのぶ・松坂桃李ほか)や、『頭のいい人が話す前に考えていること』(安達裕哉)、『空飛ぶタイヤ』(池井戸潤)など、人気作・独占作をラインアップ。Audibleオリジナルの注目作品も増えており、2025年は前年より40%多い新作が予定されている。

朗読の声を務める側の人の意見

発表会では、それぞれ音楽コンテンツや、Audibleコンテンツを出している3組が登壇。

一方、作家・平野啓一郎氏は、オーディオファーストで作品を書き下ろした経験から、「耳で聞く物語は、読書とは異なる時間感覚をもたらす。朗読の音に乗せて物語が立ち上がる体験は、文字だけでは得難い」と述べている。

歌手で俳優の安田章大氏は、オーディオブック朗読の経験について、「耳元で語りかけるという体験は、人生になかなかない」と述べ、「レビューで『アイドルよりオーディブルが合っている』と言われたことが、自分のキャリアの中でとても嬉しかった」と語った。

また、アイドルグループ『新しい学校のリーダーズ』は、Amazon Music限定楽曲『ベイビー』の制作に携わり、「渋谷のスタジオでの収録は、雰囲気に飲み込まれるほど特別な体験だった」と振り返る。リーダーズのSUZUKA氏は、「私たちの音楽や声が世界中に届けられる、そんな可能性を感じる」と話した。

新たに配信予定の作品には、ディズニーによる『アナと雪の女王』『スター・ウォーズ』の完全オリジナルストーリー、原田マハ氏の『リボルバー』(朗読:中谷美紀)なども含まれる。教育コンテンツとしては、平野啓一郎氏が監修した『A University』シリーズも登場予定だ。

本を読むのとは、また別の体験が広がりそう

本を扱っていたAmazonの音楽部門であるAmazon Musicが、オーディオブックである『Audible』に力を入れるというのは説得力のある話だ。

通勤時や、クルマの運転時、家事をしている時などに、『本を音で聞く』というのはアリかもしれない。

実際に聞いてみたが、人の声が耳元で語りかけられるというのは独特だし、効果音(ドアが開く音や銃声など)が入っているコンテンツもあって、これはまた読書とは異なる体験だなとは思った。映像がなくて音だけではあるので、イマジネーションはかきたてられる。それはテキストを目で見てイメージするのとまた少し違う体験だなと思った。

Amazon Music Unlimitedに入っていると、月に1冊のAudibleのオーディオブックを利用可能(聞くには時間がかかるから、1冊でもそれなりに楽しめるはずだ)。複数冊聞くにはAudibleの会員プランに加入するか、Audibleから個別に作品を購入することも可能。Amazon Music Unlimitedの個人プランは、月額1,080
円、プライム会員は月額980円。期間限定(2025年7月14日まで)で、新規登録時は最初の4か月間は無料で利用できる。

(村上タクタ)

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村上タクタ
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村上タクタ

おせっかいデジタル案内人

「ThunderVolt」編集長。IT系メディア編集歴12年。USのiPhone発表会に呼ばれる数少ない日本人プレスのひとり。趣味の雑誌ひと筋で編集し続けて30年。バイク、ラジコン飛行機、海水魚とサンゴの飼育、園芸など、作った雑誌は600冊以上。
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