【追加情報】こちらで開発中だった『Magic TrackPad対応 タイピングベッド』が発売になりました!(2023年6月2日情報)
https://thundervolt.club/pages/typing-bed-magic-trackpad
ThunderVolt編集部では、2人の助っ人を得て商品開発プロジェクトを立ち上げることになった。
いしたにまさきさんは、ブロガーでライターで、内閣広報室IT広報アドバイザー。いろいろなことをしている人なので、ひと言では説明しにくいが、ひらくPCバッグを作った人で、製品開発に関しても詳しい人。ひらくPCバッグを取材させてもらっている他、いろいろな場所で一緒に取材を聞いたり、意見を聞いたりしている。
矢崎飛鳥さんは、週刊アスキー、Engadgetなどで活躍してきた人で、メディアとしては私のライバルでもあった人。『スマホ』という通称を作った人でもあり、週刊アスキー時代には大ヒットした数々のユニークな付録を開発し、製品開発がしたいということで、現在はBALMUDAのエバンジェリストを務めている人。もともとは、ライバルメディアの編集長というべき存在だが、USのアップル取材に私が初めて行った時などでも、いろいろ作法やコツを教えてくれた。
そして、私、村上タクタはThunderVolt編集長。
テック系メディア界隈にいる3人だが、意外と3人で仕事をしたことはない。
なぜ、我々はチームを結成したのか?
まず、第一回のミーティングを開催。場所は、ThunderVoltの所属するヘリテージの会議室。急用で矢崎さんが参加できなくなったので、急遽ふたりでの会議。
たまたま3者3様に、商品開発したいなという気持ちになったというのがチーム結成のキッカケ。いしたにさんは「なんかまだ作るべきものがあるんじゃないか?」と思っていて、矢崎さんは、バルミューダでのスマホの開発スパンが数年というレベルで長いので「もうちょっと手近なものを作りたい」と。
そして、筆者(村上)はメディアとしてのThunderVoltでも、オリジナルの商品を作りたいと思った……というのが動機。実はThunderVoltの所属しているヘリテージでも、Lightning誌や趣味の文具箱が、それぞれ CLUB Lightning( https://club-lightning.com/ )、趣味文CLUB( https://club-shumibun.com/ )というカタチで、オリジナル商品を展開している。サイトを作ったり、商品の決済や、発送の仕組みはあるのだから、ThunderVoltでも商品販売をするのは難しくない(仕組み上は)。
だったら、3人でやろうかということになったワケです。
いしたにさんは『ひらくPCバッグ』などの商品開発で、いろいろ大成功している人だし、矢崎さんも週刊アスキー時代にさまざまな付録を作って、大成功した人だし。
(以下、会話を抜粋していますが、読みやすいように、圧縮、編集しています)
ウェブ媒体は物販をやるべき
いしたに:ウェブ媒体が物販やるべきっていうのは、僕は前からずっと言ってたことで。媒体持ってれば、ファンがついていて、ファンがいるってことは、何かしらの共通項みたいなのがあるワケですよね。すごく乱暴な言い方をすると、『黒』『白』あった時に、よくわかんないけど『白』を選ぶという(共通項のある)人が集まっている。そこに理由はないけど、それは媒体の持ってる特性なワケです。その延長線上で、この媒体だから売れる製品っていうのは絶対あるんですよ。
タクタ:ふむふむ。
いしたに:そこで、もうひとり今日来てない矢崎さん。矢崎さんは経歴見たら分かるように、完全にメディアの人ですが、矢崎さんは実はモノを売ってる人なんですよ。キャリア的には。
タクタ:あのカバンに入れる板(パチパチまとめ板)とかね。
いしたに:矢崎さんの作った商品で、世の中を一番変えたのは『光るUSBケーブル』ですよ。あれを矢崎さんがやったら1年後に深圳中が光ってたっていうぐらいですから(笑)
とはいえ、矢崎さんもキャリアチェンジをして、媒体だった人がメーカーに入りましたと。で、当然メーカーであるバルミューダの方ではいろんなことをやってるけど、それとは別にモノづくりがしたかったと。バルミューダ、ここにありますけれど。
『あるとちょっといいよね』を作る
タクタ:ユニット名とか、決める?
いしたに:なんか決めなきゃいけないけどねぇ……。ThunderVoltとイコールではないから。まぁ、それは矢崎さんいない時に決めるワケにもいかないけどね。まぁ、そもそも矢崎さんいないのに、今日やるなっていう話なんですけど。これはまぁ、月イチぐらいでミーティングやっていきたいなということで。できれば水曜日に(以降だいたい第2水曜日ということに決まりました)。なので、今回は、プレプレみたいな感じで。
タクタ:間はメッセンジャーとかでやりとりしたりして。それはまた、僕が記事にまとめたりしますよ。
いしたに:あー、なるほどなるほど。
まぁ、当然、なんでも作れるっていうことはないんだけど、「あるとちょっといいよね」っていうものを作りたいよね。とりあえずは、ガジェッター向けになるのかな……?
メーカーさんの既存の商品にワンアイデア足す
いしたに:僕が最近やったのがなんかの参考になるのかなと思うんですけど。
タクタ:あ、『ふせんポケット付きパームレスト』ですね。
いしたに:これもただの偶然なんですけど……人の手って、キーボードに載せると、こういう風に間が空くじゃないですか。ある日ね、「ここ、空いてね?」って思ったんですよ。
タクタ:手をホームポジションにすると間が空きますね。
いしたに:僕、働くべきものが働いてないっていうのは、すごく落ち着かないんですよ。そんで、パソコン置いてる場所って仕事場ですから、どうしても急なメモとかに紙とペンを使うワケですよ。だから、僕の場合は定位置にふせんとペンを置いてるんですよ。それで「ここにあればいいじゃん!」って思ったんですよね。そしたら、すぐ書けるし。ここにあると見るんですよ。
タクタ:ふむふむ。
いしたに:たまたま、バード電子さんが、パームレストのモデルチェンジの準備をされてたんですよ。で、その話をしたら「じゃあ、ついでに試作してみる?」っていう話になって。そして、使って見たら「思いのほか便利じゃない?」ということになって。製品化されることになったんですよ。
(中略)
いしたに:これはバード電子さんだからできたっていう話ではないと思うんですよ。もともと、あるメーカーさんが製品化されているところに、あとワンアイデア足して、コラボ商品として出すとかありだと思うんですよ。これに関しては、僕はある意味アイデアを出しただけで、実際の製造とか、試作に関してはバード電子さんやってくれたんですけども、僕としては思った通りのものができて、今、売り出して1カ月ぐらいなんですけど、今んところ、ふせんポケット付きばっかりが売れてるって言ってました。
タクタ:僕も使ってみたんですけど、キーボードを打ってる時はまったく気にならないんですよね。それで、いざ「メモを取ろう」と思ったら、目の前にある。これがビックリでしたね。
(中略)
いしたに:とりえあず作ってみないと分からないことだったり、機能だけを考えてもわからないんですよね。だから、メーカーさんだとなかなかやりにくいことなのかなと。そういう的なことって、いろいろあるんですよ。たとえば、こういうスタンドとか、詰めていくと、みなさんのシーンに合うものって、なんかあるはずなんですよね。
今コメントいただいたんですけど「ファッション雑誌のアイテムは尖り過ぎてる、ガジェット系のは普通の人に見せるとちょっと恥ずかしい。中間のちょうどいいのがない」って。分かる分かる。この気持ちは分かりますよ。
タクタ:そう。僕ら、ガチ秋葉原の住人でもないし。ガジェット好きだけど。
いしたに:そのぐらいの、便利で、派手過ぎず、みたいなところって、ひとつあるところで。そこの商品が、無印やイケヤで、「ちょっと違うけど、安いからいいか」という買い方をされている。そこの満足度のもっと高いものがあると思うんですよね。大量生産できないから値段はちょっと上がっちゃうけど、「これはオレのために」「私のために」という商品を作れるんじゃないかな……と思うんですよね。
いしたにさんの一番嫌いなのがバッグ in バッグ
タクタ:この話をした時に、最初に思ったのが……前、『カバンの中身』の本を作ってたじゃないですか。
いしたに:うん。
タクタ:そこで、いろんな人のカバンの中身を取材させてもらいました。そこで、読者さんから、問い合わせが多いのがケーブルなんですよね。「あの長さのLightningケーブル、どこに売ってますか?」とか。もうひとつ、すごい聞かれるのが、こういうポーチ。これ伊東屋で買ったなんでもないポーチなんですけど、クレジットカード、ケーブル、SDカード、なんなら印鑑……なんかがピッタリ入るんですよ。こういうので、意外とドンピシャのがないんですよね。
いしたに:うーん……(渋い顔)。
タクタ:バッグを変えた時とかに、これだけスッと入れ替えれば、すぐ出掛けられるじゃないですか。
いしたに:……。僕がねぇ、この世で一番嫌いなもののひとつが、バッグ in バッグなんですよ。
タクタ:お……おぉ。
いしたに:だから、カバンを作ってるんですけど。バッグ in バッグってバカのやることだと思うんですよ。
タクタ:ええ? オレ?
いしたに:いやいや。なんで、カバンの中にカバン入れるんだよ! と思うワケですよ。もちろん、そういうニーズがあることは分かってますよ。
タクタ:僕が思ってるのは、このポーチのニーズって、みんなサイズ感が違うんですよね。だから、僕の理想のポーチが他の人にとってそうだとは限らない。
いしたに:ポーチはねえ。まぁ、ユニクロも含めて、いろいろあるんですよ。
タクタ:いやそれが、意外とないですよ。
いしたに:うーん。
ぜんぶ、カラバリが違う……というガチャみたいな商品
タクタ:あと、iPhoneケースだとか、ストラップ系のものは、僕らの周りで必要なものとしてはあるワケじゃないですか。だけど、もうさんざんいろいろ出たし、どうかなとは思いますけど。この頃、ストラップ系のが増えてますね。
いしたに:あれもね。ミニポーチ的なものが流行りすたりがあって、気がついてみれば「あれ? これスマホしか入ってないんじゃないの?」ということになって。まぁ、ありものはありもので、上手く利用しつつ。無印とか、イケヤで買えるのはいいとして、そこではできない何か……っていうのはやってもいいかなって。
タクタ:ふむ。
いしたに:あと、これは僕、カバンではこれをやっちゃってるので言いにくいんですけど、『おんなじ柄』ってイヤじゃないですか?
タクタ:他の人と、ってことですね?
いしたに:そうそう。とはいえ、メーカー的目線でいうと、黒が売れるんですよ。カラバリっていうのはねぇ……。
タクタ:在庫リスクが増えますよね。
いしたに:みんな簡単にカラバリって言いますけど、黒いカバンと白いカバンって、もう別商品だからね、コレ。リスクも倍になるし。だったら、もっと、逆方向に行って『おんなじ柄はありません』ぐらいの感じでもいいかもしれませんね。
タクタ:端切れで作ったバッグとかでありますよね。
いしたに:何来るかわかりません……みたいな。
タクタ:サクラスリングなんかも、そういう感じですよね。
いしたに:あーあ、なるほどね。……とかとかっていうのもいいのかなって。気に入った柄が出るまで買って下さい(笑)っていう。カバンガチャみたいな。
タクタ:それは面白いかもしんないですよね。来る商品がみんな違う。ウチにはこういうの来た! とか言って盛り上がるかも。
いしたに:ですね。普通はやらないですよ。そんなの。
カメラ周りの布的なモノは可能性ある
タクタ:カメラ周りとかは?
いしたに:カメラを日常で使うっていう人と、プロ機材とは全然違うんですよ。プロ機材はとにかく安全に運ぶというのが大事だから、とにかく丈夫であることが大事。アルミの塊みたいなのがベストですよ。
タクタ:ペリカンとかね。
いしたに:そうそう。でも、そんなのは生活の中では当然使えるワケがないので、考える余地はありますよね。そういう意味では、『カメラを安全に運べる何かしらの布』みたいなのとかね(笑)。そういうのはありますよ。けっこう昔から商品としてはあるんですけど、いまいちコレっていうのはないですね。
タクタ:これ、エツミさんのなんですけど、カメラに詳しいライターの荻窪さんにもらったんですよ。ポンと入れるだけで、クルリと収納できて便利なんです。
いしたに:なるほど。僕、一番使ってるレンズケース、CAPAかなんかのオマケでついてきたヤツですよ。使わない時に邪魔にならないっていうのも、けっこう大事で。
タクタ:そうなんですよ。
いしたに:だから、布的な何かっていうのは、けっこうまだ可能性があると思いますよ。
すでに売ってる商品にワンアイデア
タクタ:すでに売ってる商品でも『僕にはここをこうして欲しい』みたいな商品は、メーカーさんにお願いして少量生産してもらうとかね。
いしたに:たとえばですね(笑)っていうのはありかもしれない。「これ商品、ホントに出るのかな?」ってYouTube見ている人も思ってるかもしれないけど、とはいえ、『商品』というカタチにはなっていない『細かいニーズ』みたいなのはあるっていうことは、僕はこの10年で、何度も味わってきたことではあるんですけどね。
タクタ:タイミングとかも大事ですよね。売れるためには。
いしたに:売れる売れないは、タクタさんが売るっていう話ですよ(笑)。それはまた別の話。
タクタ:え?
いしたに:こういう話をしていく中で、「あ、それ、面白いな」って思ってくれる人が、少しでもいるかどうか? そんな、何万人っている必要は全然ないので。今日見てくれる人は、本当にありがたいですよね。
タクタ:YouTube見てらっしゃる方も、どんどん意見を寄せていただけると。
いしたに:え? そんな無責任なこと言っていいんですか?
タクタ:(汗)
いしたに:まぁ、採用できるできないはともかくとして、大きいメーカーさんよりは、一応お話をうかがったりはできると思うので、いろんなご意見をお寄せいただければと思いますが。
何が来るかわからないサブスクとか
タクタ:ヘリテージとしては通販受付のためのサイトとか、発送の仕組みとかはある。これはアドバンテージです。あとは、ThunderVolt的事情ですけど、資本があるワケじゃないので、受注受けてオーダーいただいた分だけ生産するとか、安い製品をたくさん作るか、高いものを少数作るか、そういう工夫はしないと生きていけないかな。
いしたに:ふむふむ……なるほどね。それでいうと、昔からフェリシモとかは面白いことやってて、サブスクとかが一般的になる前に、2000〜3000円/月で、『世界中の変わった楽器が毎月1個届く』っていうのをやってて。これ、面白くて、頼んだことがあったんです。
タクタ:え? そんな安くて?
いしたに:もちろん、大半は打楽器とかですよ。でも、思いの他、まともなものが届くんです。
タクタ:送料とか考えると、数百円でその楽器を調達しないといけないじゃないですか!
いしたに:だから、まぁ、ありものを持ってくるのかもしれないけど、思いの他いいのが来るんです。
タクタ:面白いですよね。
いしたに:だから、季節のなんとかが届く……というようなサブスクもあるかもしれないですね。『深圳からの何かが届きます』なんていうのもあるかもしれない。
まとめ
今回の主な話
・メディアは商品を開発すべき。同じ種類の人が集まってるから
・『あると、ちょっといいよね』を作る
・メーカーさんのなかなかできない、ちょっとしたアイデア
・メーカーさんの製品に、ワンアイデア足した商品
・ガジェット好きの半径3mぐらいで、役に立つ製品
・ファッション系はお洒落すぎるけど、ガチガジェットマニア系も微妙。その間
・カラバリは難しいけど、来る製品が全部違うというのはありかも。ガチャ的な
・カメラを包む、布的な何か
作りそうな商品
・タブレットやスマホのスタンド
・パームレスト
・ポーチ
・iPhoneやiPadのケース
・カメラを包む布的な何か
・まず、Tシャツは作る
決まったこと
・今後は第2水曜日にYouTubeライブによる会議
・次回は2月15日に再びYouTubeライブ
・次回までに、オンラインで会議してユニット名を決める
次回YouTubeライブ会議(2月15日19:00〜)はこちら>
(村上タクタ)
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