フェアレディZで大スピン! 日産女神湖氷上試乗会でe-4ORCEの凄さを体験!

  • 2023.07.04  2023.01.31

クルマを運転していて、スピンって体験したことがあるだろうか? 映画やマンガなどではよく見るが、筆者は30年以上運転していて、スピンしたことは一度もなかった。

しかし、先日、たった1日で5〜6回もスピンしてしまった。場所は、長野県蓼科の女神湖。凍った湖の上で、フェアレディZや、1600万円近くするGT-Rをはじめ、最新のe-4ORCE搭載のX-TRAILやARIYAに至るまで、さまざまな日産のクルマに試乗する機会をいただいたのだ。

氷の上に設けられたワインディングを模した外周コース、スラローム、8の字走行、定常円旋回などを走行する。ちなみに、クルマが乗っても大丈夫なぐらいだから、相当厚い氷が張っているのかと思いきや、氷の厚さは数十cmとのこと。

この場所では、最薄部の厚さが20cmを超えると氷上走行会が開催されるのだそうだ。

趣旨としては、『e-4ORCEはじめ、電動車の緻密な電子制御が、いかに低μ路で優位か』ということを体験して欲しいということなのだが、ツルツルとすべるフェアレディZやGT-Rに興奮してしまい、本来の趣旨とは違う部分で盛り上がってしまったことを白状しておきたい。だって、クルマ好きなら一度でいいからフルカウンターでコーナーを立ち上がってみたいじゃない(笑)

とはいえ、『高度に制御されたEVは、圧倒的に雪道や凍結路に強い』ということも思い知ったので、そのことについてもご報告したい。

ピュアスポーツから、高級EV、軽EVまで

用意されたクルマの概略は以下。価格は車両本体税込。

フェアレディZ Version ST(FR/6速MT) 646万2500円
フェアレディZ Version ST(FR/9速AT) 646万2500円
GT-R T-spec(4WD/AT) 1590万4900円
NOTE X FOUR(4WD/e-POWER) 246万9500円
NOTE AUTECH CROSSOVER FOUR(4WD/e-POWER) 283万4799円
AURA G FOUR(4WD/e-POWER) 299万6400円
AURA NISMO(2WD/e-POWER) 290万8400円
KICKS X FOUR(4WD/e-POWER) 306万1300円
KICKS AUTECH(4WD/e-POWER) 344万8500円
SAKURA(2WD/EV) 304万0400円)
X-TRAIL G e-4ORCE(4WD/e-POWER) 449万9000円
ARIYA B9 e-4ORCE limited(4WD/EV) 790万円

(ほぼ全車ブリヂストンのスタッドレスタイヤ、 BLIZZAKを装着。GT-RのみダンロップのDSX)

つまりは、ガソリンのハイパワースポーツカーと、一般的なe-POWERの車両、そしてARIYAとSAKURAという大小2台のEVに大別できる。

日産のe-POWERというのは、ガソリンでエンジンを動かし、その電気を小さなバッテリーに貯めてモーターで車輪を動かすクルマ。いわゆるシリーズハイブリッド。車輪はモーターで回すが、ガソリンを給油するので、充電器に制限されない。そしてもちろん、ガソリンエンジンよりは燃費がいい。

e-4ORCEというのは、電気で車輪を駆動し、四輪を高度に制御する四輪駆動車。今回でいえばe-POWERのX-TRAILと、EVのARIYAが用意されていた。超ハイテクで、本来この2台がこの氷上試乗会の目玉というべき存在だ。

フェアレディZで、人生初のスピン体験!

さて、能書きはこのへんにして、フェアレディZで氷上を激走しよう。

黄色いZはMT。男らしくVDC(トラクションコントロール)はオフにする。

1速にシフトして、クラッチをミートして、アクセルを踏み込む。

猛烈なエンジン音が鳴り響く(恥ずかしい)が、クルマは空転してまったく前に進まない(笑)。あわてて、2速に入れるが、それでも空転は続いて、前に進まない。そーっと踏み込むと、やっと空転しつつもあるていどグリップして、クルマは前に進み始める。ふわふわと左右にお尻を振りながら。直線は300〜400mぐらいだが、せいぜい60km/hぐらいまでしか加速できない。

早めにゆるくブレーキをかけて、コーナーに入る。VDCオフでもABSは効くからまっすぐ突っ込むということはない。ゆるくアクセルを踏み込むと、曲がり込み始める。

が、速度はどう考えてもノロノロ運転だ(笑)これではしょうがないから、ゆるやかにアクセルを踏み込む。BLIZZAKがグリップしてくれて、コーナーを回り込む。氷の部分じゃなくて、雪の部分を踏むと、まだ駆動がかかる。少しでも駆動をかけて曲がろう。

……と、アクセルを踏み込むと、大きく後輪が滑り出して、1回転半。滑っても雪の壁にぶつかるだけのコース設定だから心配ないが、視界がグルンと回るスピンは人生で初めての体験だったので、楽しいやら、恥ずかしいやら(汗)

恥ずかしながら、久し振りのMTなので、バックして切り返してコースに戻るだけでも一苦労(滝汗)

しかし、マニュアルのFR車で、氷の上を思う存分走る機会なんて、人生、それほどない。可能であれば、ドリフトしながらコーナーを立ち上がりたい! とアクセルを一生懸命踏む。

が、コースが上手くデザインされている。一番大きなコーナーは、最後に少し回り込んでいて、そこでドリフトアウトしてスピンするようにできている。慣れてきて速度が上がってくるから、派手に2回目のスピン。もうちょっとで雪壁に突っ込むところだった(汗)。S字の切り返しでも、お釣りを食らってしまってスピン。

気を取り直してVDCをオンにすると、だいぶ走りやすくはなる。ドリフト状態の維持もしやすい(できているつもりw)。ともあれ、勇ましいエンジン音も、滑りながらのドライブも最高に楽しかった。間違いなく今日の一番!

GT-Rは、舗装路で乗りたかった!

約1600万円というお値段にビビるGT-Rだが、こちらは4WDなのでZほど簡単にスピンはしない。

シート、ハンドル、ペダルなど、触るものすべてに高級感があり、節度を持った操作感を味わえるのが素晴らしい。

氷の上という、GT-Rの本来の性能をまったく発揮できない状態で乗るのはもどかしい。舗装路面で乗れれば楽しいのだろうけど、それはそれで速度が速過ぎて怖いかも(笑)

軽さは正義! 意外と扱いやすいNOTE、AURA、KICKS

NOTE、AURA、KICKSなどの普通サイズのクルマは、おしなべて非常に運転しやすい。

ほとんどが4WDだったというのもあるが、車重の軽さが大きい。すべりやすい路面だと、重い車両は扱いにくいのだと学んだ。

驚いたのは日産の普通サイズのクルマの多くは、いつの間にか、ほぼe-POWERになっているということだ。e-POWERはエンジンこそ搭載しているが、それは発電器に過ぎず、四輪を電気で駆動する。

通常のガソリンエンジンだと、駆動力を電子制御するといっても『燃焼』という現象を介して駆動力を産み出すので、精密な制御はできない。駆動力の配分もデファレンシャルギアという物理的な仕組みを使ったりするから、細かい制御には限界はある。

対して、e-POWERは、駆動力をモーターで産み出しているので、エンジン車より駆動力の制御がしやすいのだそうだ。これは、EV、e-POWERのあまり認識されていないメリットだといえるだろう。

実際、ZとGT-Rというエンジン車より、他のモーター車両の方がトラクションコントロールの効きは良かった。モーター車にこんなメリットがあるなんて全然知らなかった。

AUTECHバージョンなど、サスペンションのグレードの高いバーションは、滑った時のコントロールがしやすい。

重心の関係なのか、他の多くのクルマは、スライドコントロールをしようとしてもフロントが外に出て行くので思うようにできなかったが、NOTEはフロントが残って、リアが外に出て行くので、とても滑りながらの制御がしやすかった。車重が軽いというのもあるが、筆者が一番上手に操れたのはNOTE X FOURだったかもしれない。

このあたり、クルマは値段や、スペックやギミックだけじゃないなぁ……と思った部分でもある。

ZやGT-Rについて楽しそうに語ったが、正直に白状すると、回ったり、滑ったりしているばかりで、もし筆者の走行タイムを計ったなら、これらのe-POWER車の方が速いし、e-4ORCE搭載車が圧勝になるだろう。

ともあえ、『e-POWERで、四輪をモーター制御している日産のクルマは、雪道でも扱いやすい』と覚えておいていただきたい。

SAKURAは二駆でも、雪道向き!

もうひとつ驚いたのはSAKURAだ。

氷の上でも、非常に淡々と走る。一般のお母さん、市井の人が乗ったら、一番運転しやすく感じるのは間違いなくSAKURAだろう。

もちろん、そもそもパワーがないから、Zのように派手に空転しないというのもあるだろうけど、EVとしてのホイールコントロールが非常に優れている感じがした。氷の上でアクセルを踏んでもそれほど空転しない。制御のピッチが細かくて、空転する前に制御してくれている感じ。

また、そもそもの車重も軽いから非常に運転しやすい。とてもよくできたクルマだと感じた。

そして、あとで聞いて驚いたのが、SAKURAは二駆だということ。全然違和感なく走れた。雪国からは『四駆のSAKURAを出して欲しい』という声が多いらしいが、日産としては二駆でも十分に走れるというのが答えらしい(もちろん、状況にはよる)。電動で四駆にすると、モーターを増やさねばならないから、重量増、コスト増という影響も大きいということもあるのだが、二駆でも遜色なく走るということは伝えておきたい部分だ。

おそらく、タイムを計ったら一番速かったと思われるX-TRAIL

そして、肝心要のe-4ORCE。

まずは、X-TRAIL。このクルマはe-POWER……つまり、エンジンで発電して、モーターで四輪を駆動する。しかし、制御にはe-4ORCEという非常に高度な仕組みを使っている。

たとえば、タイトなコーナーで、外側のタイヤと内側のタイヤに大きく回転差が出る場合、内側のタイヤにブレーキを自動でかけたりもするし、4輪のタイヤの駆動力も統合して制御する。しかも、モーターをなんと1万分の1秒単位で制御するとのこと。

しかも、単純に滑る、滑らないレベルの話で制御するのではなく、車両がスムーズに走るための走行姿勢も含めて制御を行う。たとえば、単なる加速でも乗っている人の頭が揺れないように、前後輪の駆動力を調整する。高速のレーンチェンジでも、ハンドルを切った際に外側の車輪を多く回すように制御するから、乗っている人の頭が揺れないようにスムーズに制御してくれる。これが、これまでのクルマで体験したことないレベルで素晴らしい。

我々が「上手に運転しよう」とした時に行うアクセル操作、ブレーキ操作をクルマが行ってくれるのだから、普通の人が運転しても運転が上手くなったように感じるはずだ。同乗者にとって嬉しいはず。クルマ酔いも少なくなる思う。

車重がARIYAより軽いこともあって、全車VDCを入れた状態でタイムを計っていたら、おそらく氷上ではX-TRAILが一番速かったのではないかと思う。ただし、フロント周りが重いのか、VDCをオフにして滑り出すと頭が外に出て行くので、滑っている状態でコントロールするのは上手くできなかった。

乗って帰るなら、ARIYAがいい

そして、ARIYA。

静か。デカイ。速い。

車重はなんと2.2トン。KICKSより400kg重いX-TRAILよりさらに330kgも重い。

そして、完全EVにして、290kW(394馬力)というスポーツカー並みの馬力を有している。

e-4ORCEのおかげで、その大馬力の巨体を氷の上でさえもコントロール可能にしてくれる。ツルツルの氷の上でさえ、この巨体を曲げて、加速し、減速させることができる。素晴らしい!

……はずなのだが、いかんせん、この氷の上でさえ滑らかに走るというのがツマラナイ。素晴らしいのは分かるのだが、ドキドキはしない。チャレンジしてみようにも、車重が大きすぎて無理する気にはならない。

しかし、もちろん、筆者の腕でZが面白いなんて言っていられるのは、スピンしても問題ないこの氷の上だから。一歩外に出て公道でそんな運転をしたら、あっという間にガードレールの餌食だ。

もし、コースを出て、乗って帰っていいというなら、間違いなくARIYAを選ぶ。中央道までの凍ったワインディングを、安心して、速く運転できるだろうし、中央自動車道に乗ってからはプロパイロット2.0をオンにして、運転はクルマに任せて、雑談しながら帰ってくるだろう。公道ならARIYAがいい。

e-POWER、EVの操安性能の高さにビックリ! 自動車メーカーならではのモーター車になっている

さて、結論として、氷上ではFRのスポーツカー。つまりZが面白かった。

しかし、e-POWERとEVのモーター車は、駆動力の制御が圧倒的に優れているし、さらにe-4ORCEともなると、他のクルマがツルツル滑って事故ってるような場所でも、スイスイと走れそうだ。そのぐらい差は大きい。

また、SAKURAも二駆ながら驚くほど雪道を快適に走ることができる。軽さは正義だし、EVは駆動力制御に向いている。

ただ、これらのクルマを氷上ドライビングして体感したのは、やっぱり歴史ある自動車メーカーが作ったEVだからこそ、モーター駆動のメリットを『走り』に活かせているのだと思う。

走る、曲がる、止まる、旋回のキッカケを作る、トラクションを与えて旋回を強める、レーンチェンジをする……さまざまなクルマの動きの制御のために、1万分の1秒単位で駆動力を制御し、四輪のブレーキをコントロールする。EVだから走りがいいのではない。クルマを知っているメーカーだからこそ、自動車の『走行』という複雑な動きを理解してEVのメリットを引き出せるのだと思う。

たとえば、衝突安全性にしても、これまで幾多の事故を経験し、事故現場に足を運び、壊れ方を調べ、亡くなった方の検死をした人に死因を聞き、詳細を調べ、ひとりでも死者を減らそう、怪我の程度を少なくしよう、事故を減らそうとしてきた歴史が、古くからの自動車メーカーにはある。

それだけに、慎重で、動きが遅くなってしまう場合もあるかもしれないが、その『自動車メーカーの歴史』をこそ信用したい。そう思える試乗会だった。

(村上タクタ)

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