ちょっとしたひとときを特別な時間へと変える

10年くらい前から、レトロな見た目に、エンジンやサスペンション、ブレーキといった機能部分は現代のテクノロジーを導入したバイクが注目を集めている。今では多くのメーカーがこのネオレトロ、ヘリテージと呼ばれるカテゴリーの車両をラインナップに加えていて、ヤマハのXSRシリーズもそのうちの一つだ。もちろん手を加えることなくノーマルのまま乗るのもいいけれど、より所有欲を高めてくれるのが、カスタムしてオリジナリティを高めた車体だ。そこで今回はXSR900 GPのカスタム車を紹介したい。
ほとんどのネオレトロモデルはストリートのレトロテイストを追っているなか、XSR900 GPが斬新だったのは、80年代のレースシーンを反映したこと。80年代、日本はバイクブームでレースも大いに盛り上がっていたので、GPのお披露目となった2024年のモーターサイクルショーでは懐かしむ声も多く聞かれた。
そんなXSR900 GPをさらに個性的に仕上げたのがベア世田谷だ。「メーカーはコストをはじめ、さまざまな考慮しなければならない制約があるけれど、それらを度外視したらこんな車両になったのでは?」というカタチを想定して組み上げられている。
一人の時間を作りやすい休日の早朝や深夜に、気分の上がるカスタムバイクでブラリ街中を抜け出せば、いい気分転換になって日々の活力が増すことだろう。


アンダーカウルとシングルシート、フェンダーレス処理が、より80年代のレーシングマシンらしさを強調する。そして、強いこだわりもって開発された3本出しのマフラーが圧倒的な存在感を見る者に与える。

ウインカーはもともと棒状に飛び出した形状のモノが装着されている。それを極力飛び出しの少ないキジマ製のモノに交換して、よりスポーティな印象を高めている。見た目に加え転倒時の欠損リスクも減る。

車体色に合わせてハンドルグリップを交換。左側がブラック、右側をグレーの左右非対称にしているのがポイント。カラーだけでなくグリップ自体も定評のあるドミノ製をチョイスして機能面も意識している。

ライディングポジションの前傾度合いをゆるめ、楽な姿勢で乗れるようにハンドルとフロントフォークブラケットの間にヤマモトレーシングのハンドルアップKitを装着。10㎜グリップの位置が高くなっている。

YMCK製のフェンダーレスキットと極小のLEDウインカーランプでテールまわりをスッキリとさせている。ナンバープレートの上方横に飛び出している小さい砲弾型のバーツがウインカーランプ。キジマ製だ。

シングルシートカバーを用いてスポーティな雰囲気を高めている。こちらもアンダーカウルと同じワイズギア製。ゼッケンプレートふうなステッカーを別途制作して貼り付ける一工夫に、作り手のセンスを感じる。

ノーマルはアンダーカウルがないけれど、ヤマハの純正アクセサリーを販売するワイズギアが一時期発売していたアンダーカウルを装着することで、よりレーシングマシンらしいルックスを手に入れている。

マフラーをメインにさまざまなパーツを手がけるヤマモトレーシングと共同開発した3本出しのマフラー。当初後端に向かってテーバー上に広がるメガホンタイプのサイレンサーをイメージしていたけれど、高い経験値のあるメーカーとやりとりする中で、現在のスタイルに落ち着いた。車体のイメージを損なうことなくかなりオリジナリティの高まるアイテムだ。
【問い合わせ】
ベア世田谷
TEL03-3429-8181
https://bear-s.com/
(出典/「Lightning 2025年12月号 Vol.380」)
Text & Photo/M.Iwasaki 岩崎雅考
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