架空の『ドアマンストア』をSNS上に先につくった。
そもそも少子高齢化とファストファッションの隆盛もあり、業界地図は変わりつつあった。さらにコロナ禍で市場全体が縮小。成山さんも一旦、単身赴任していた東京から大阪に戻ることになった。
「ただ潮目が変わったとも言えた。コロナ禍で都心じゃなくても人気の店が出てきた。またアウトドアや古着も流行り始めた。考えてみたら『俺がずっと好きだったものを地元でやれるんちゃうか』と」
実験好きが走り出した。コンセプトは先にあげたとおり「誰かのきっかけをひらくドア」でアウトドア古着を中心に扱うことに決め、屋号を『ドアマンストア』とした。
ココからが、おもしろい。
「インスタに『ドアマンストア』でアカウントをつくり、あたかも実店舗のように商品をアップしはじめたんです。古着のマウンパやヴィンテージのフリース、ちょっと珍しいルアーなんかを」
その投稿が転機につながる。堀江のセレクトショップ『グラウンド・デポ』の社長から声がかかり、『そうした内容の店をうちの2階でやらないか』と誘われたのだ。
「そして転職を果たして仕入れまで任せてもらいアウトドアフロアを作り上げたんです。洒落たアウトドアギアと古着を置いた、いわば『ドアマンストア』の前進です」
時流に乗って店はすぐに人気を博す。ただ、そうなると、むしろ「自分の店をやりたい」思いが強まったという。そりゃそうだ。
「結局、1年後に独立。2023年4月に今の場所に『ドアマンストア』を起ち上げたわけです。都心部でもない地元の住宅地に近い場所で、ホンマにやりたい店を」
店づくりから宣伝まで、ジャーナル時代の同僚たちがワイワイと協力してくれた。古くからの顧客が「キャンプに行くから」「釣りに興味があって」とココでも常連になってくれた。地元の友達だって何かと応援を欠かさない。隣の美容室なんて幼馴染みの親友だ。
「お客さん含め、まわりの人たちに恵まれて、何とかやれてます」
店はもう2年目。将来は店舗展開し、各店主の嗜好にあわせ「サーフィン×古着」「バイク×古着」などカラフルな『ドアマンストア』をつくれたら、と思いを馳せる。
「『こんなことを成し遂げたい』って夢を持っている人のドアも開けたなら最高だなと思ってます。アツくるしくてダサいけど(笑)」
いやいやいや。“カッコいい”って、そういうことでしょ。





山で海で、ストリートで。遊びの幅と奥行きを広げる、古着&ギアたち。
アメリカで直接仕入れたパタゴニアやエル・エル・ビーン、エディ・バウアー等々のヴィンテージ古着。アウトドア遊びやいつもの日常をもっと輝かせてくれるウエアとギアを紹介。

関連する記事
-
- 2025.06.13
ジャケット、腕時計、革靴……2nd編集部がこの春取り入れたいアイテムを厳選紹介!
-
- 2025.06.01
一着でどこへでも。古着好きも嬉しい「エル・エル・ビーン」の機能派ジャケット