WEARMASTERS Lot.872 Slip-On
スニーカーの中でも異色の存在、それがスリッポン(Slip‒On)。ローファーに代表されるように、革靴の世界では歴史は古いが、スニーカーとなると、1970年代にアメリカ西海岸でスケーターからファッションとして広まるまで、ほとんど存在していなかった。紐が無いのに機動性に優れ、スニーカーならではの抜け感もある。それなのに、ローファーのようなカチッとした上品さもあり、ほどよい武骨さも併せ持つ。しかも脱ぎ履きしやすい。その万能さが最大の魅力で、ハマると抜け出すのはかなり難しい存在だ。
そんなスリッポンの難点をひとつ挙げるとすれば、クラシックさに欠けるということだろうか。やはり’70年代のイメージが強く、当時のストリートスタイルを彷彿させるため、クラシックなヴィンテージスタイルやヘリテージスタイルには、やや合わせづらい印象だ。そんな難点をクリアし、満を持してリリースされたのが、このモデル。Attractionsが手掛ける人気ブランド『WEARMASTERS』の新作となるスリッポンだ。
「1940年代にもしスリッポンが存在していたら」と仮定し、クラシックな見た目と作りを体現したことで、これまでのスリッポンのイメージを覆す1足が完成した。どんなスタイルにも合わせやすく履き心地も抜群で楽すぎ。一度足を通したらもう抜け出すことができなくなるかもしれない。それを覚悟の上で、ぜひ履いていただきたい。その万能さに驚くはずだ。
「1940年代にバルカナイズ製法のスリッポンがあったら」と仮定し、当時らしい土踏まずのアーチ部分がくびれた伝統的なラストにコットン100%のキャンバスを合わせ、日本が世界に誇る旧きよき時代のバルカナイズ製法で仕上げた。すべて職人が手作業で吊り込み、1足ずつ丁寧に作り上げている。全4色展開で各2万2000円
伸縮性に優れ、なおかつホールド力にも長けたゴム素材を採用。アッパーには高品質なコットン100%キャンバスを使い、クラシックで上品な佇まいと高い耐久性を実現。
インソールにはシンプルにブランド名とモデル名をプリント。クラシックな仕様を踏襲しながら、抜群のクッション性を実現しており、足馴染みも非常にいい。
シンプルなデザインのため、ヒールパッチで全体の印象はがらりと変わる。1940年代を想起させるシンプルかつクラシックな仕様を踏襲し、パッチの厚みまで当時らしく仕上げた。
ゴムに生地を挟み込むバルカナイズ製法によって、耐久性と柔軟性を両立。また、ゴムと生地を一体化させたラバーテープを使用することで、耐久性と防水性も向上させている。
足の甲部分の内側にもブランド名やロット番号、『MADE IN JAPAN』の文字がプリントされている。ヴィンテージ感のある見た目と、スリッポンのフィット性の要となる強度を両立。
履き口は1940年代頃のスニーカーのような華奢な仕様ではなく、スニーカー本来の『走れる』という性能を実現するため、ホールド力の高い仕様にしているのも特徴だ。
1930年代に甲板作業用に開発された、濡れた船上でも滑りにくい高いグリップ力を発揮する画期的なアウトソール。当時らしい波線状の切れ込みも忠実に再現した。
スニーカーなのにブーツ感覚でも合わせやすい!
ミリタリーパンツ、クラシックなトラウザーズ、ジーンズ、スウェットパンツなど、どんなボトムスにも合わせやすいのが、このスリッポンの魅力。特に裾幅のあるクラシックなトラウザーズと合わせても遜色ない存在感があり、「足元が小さくなりすぎる……」と悩むことなく楽しめる!
ブーツや革靴のような上品さも併せ持ち、ハズシ技として使いたい!
1940年代のウールシャツに’30年代のワークパンツを合わせたスタイル。ウールのキャスケットも合わせたクラシックなアウトドア・ワーカースタイルで、通常はブーツを合わせるところをスリッポンでハズしてみた。重厚感が欲しかったため、Black×Whiteをチョイス。ホワイトのソールにしたことでインナーとリンクし、全体的に程よい抜け感も演出した。
重くなりがちな冬のヘビーな着こなしに抜け感と清涼感をプラス。
1940年代の重厚なウール素材のハンティングジャケットを使ったクラシックなスタイル。ハットを被るとブーツを選びがちだが、あえてスリッポンを。インナーのハイネックのスウェットシャツとスリッポンのホワイトで、全体的に抜け感が出て軽い印象になる。スリッポンもクラシックな佇まいのため、ヴィンテージ感溢れる全体の印象を崩さず、非常にマッチしている。
White × White、Black × White、Black × Blackの3つのカラバリ全部揃えたくなる。
【問い合わせ】
Attractions
Tel.03-3408-0036
https://attractions.co.jp/
(出典/「Lightning 2025年3月号 Vol.371」)
Text/T.Miura 三浦正行 Photo/S.Kai 甲斐俊一郎
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