ミリタリートラウザーズは1960年代までの欧州物が面白い! 欧州と米軍ミリパンを比べてみよう。

ヴィンテージミリタリーの中心である第二次世界大戦からベトナム戦争までの1930〜1960年代のトラウザースに加えて、その前身となる第一次世界大戦までピックアップ。欧州ミリタリーの変遷を辿ると、米国と絶妙にリンクしていた。

アメリカを知った上で欧州を見ると、よりおもしろい!

「ブラケット」オーナー・飯田康貴さん|有名ヴィンテージショップのスタッフを経て、2016年に渋谷でブラケットをオープン。昨年には2号店となる世田谷店をオープンさせた

ミリタリーウエアは、大きな戦争を契機に進化を遂げてきた歴史がある。ここでは第一次世界大戦が起こった1910年代から、ベトナム戦争が始まった1960年代を中心に、ミリタリートラウザースをピックアップする。

「第一次世界大戦時のミリタリーウエアは、市場に出回り難いので、全容が把握しにくい上に、どの国も大きな差がない印象です。制服感の強いものが多く、野戦と式典を兼ねているようなユニフォームが中心だと思います。ボトムにおいてはジョッパーズパンツのようなデザインがメインですね」

第一次世界大戦の舞台となったのはヨーロッパ地域であり、いち早く産業革命を起こしたイギリスが世界経済をリードしていた時代。アメリカ海軍では、イギリス海軍のピーコートから強く影響を受けたユニフォームを採用するなど、イギリスが大きな影響力を持っていたことは間違いない。次に大きなきっかけとなったのが、第二次世界大戦である。

「各国で独自のデザインを打ち出してきたのが、第二次世界大戦期となる1930年代後半から1940年代にかけてだと思います。野戦用のユニフォームや作業向けのユーテリティウエア、式典のドレスパンツなど、バリエーションが増えます。またカモフラージュが各国で採用されたり、ミリタリーウエアとしての機能美がより磨かれていった印象を受けます。この時代はまだ化学繊維が出ていないので、例えばイギリス軍だと防水と防風を兼ねたベンタイルのように天然素材でも手間暇をかけて、できるかぎり機能性を追い求めた生地を使用したトラウザーズなども、見所だと思います」

WW1に使われたフランス軍トラウザース

この年代のトラウザースは、ジョッパーズパンツのようなシルエットが特徴。このフランス軍のトラウザースは、裾にボタンやレースアップの付かない珍しいデザイン。内側のスタンプからフランス軍と判別できるのだ。参考商品

【その頃の米軍トラウザーズ①】米陸軍騎兵隊用のジョッパーパンツ

1930年代にアメリカ陸軍で支給されていた騎兵隊のジョッパーズパンツ。30年代になるとベルトループが付いているのが興味深い。騎兵隊は馬からバイクへと進化していくので、この手のパンツはこの年代まで。(編集部所有資料)

1940年代の英国軍ブラッシュストロークカモ

ミリタリーウエアを象徴する迷彩柄をいち早く取り入れたのはドイツ軍。それを追いかけるかのように、英国軍で1942年頃に採用されたのが、このブラッシュストロークカモである。特殊部隊であるSAS用のパンツ。16万9400円

【その頃の米軍トラウザーズ②】1940年代の米陸軍 P-1944 CAMOユーティリティ

アメリカ軍では初めてカモフラージュ柄を取り入れたのが1944年。通称ダックハンターカモとも呼ばれる。ドイツ軍のカモフラージュ柄と似ていたため、味方から誤射されたことから短命に。(編集部所有資料)

1930~1940年代のイタリア海軍ジョッパーズ

レアピースであるイタリア海軍のユーティリティパンツ。ワークウエアで使われていたブラックシャンブレーのような生地がおもしろい。この時代からワークウエアのような役割を担うユーテリティウエアが誕生する。5万9400円

【その頃の米軍トラウザーズ③】1930年代USN ユーティリティデニム トラウザーズ

1930年代にUSネイビーで支給されていたデニムのユーテリティパンツ。陸軍でもデニムを使ったユーテリティウエアが支給されていたが、第二次世界大戦後には全軍で使われなくなった。そのため人気が高い。(編集部所有資料)

(出典/「Lightning 2025年1月号 Vol.369」)

この記事を書いた人
Lightning 編集部
この記事を書いた人

Lightning 編集部

アメリカンカルチャーマガジン

ファッション、クルマ、遊びなど、こだわる大人たちに向けたアメリカンカルチャーマガジン。縦横無尽なアンテナでピックアップしたスタイルを、遊び心あるページでお届けする。
SHARE:

Pick Up おすすめ記事

Why Banana Republic? 2nd編集部イチ押し「バナナ・リパブリック」アイテムと、ブランドの魅力を徹底解説

  • 2026.09.16

1978年にアメリカ・カリフォルニア州で創業したバナナ・リパブリック。クラシックとモダンが共存する唯一無二のスタイルや歴史を紐解くことで、我々が彼らのプロダクトを手に取るべき“理由”が見えてくる。(記事をご覧いただいた方への特典を最後に紹介しています) [caption id="attachment...

トラッドの相棒にドゥニームのジーンズを! ウエアハウスが1988年のクラボウデニムを再現

  • 2026.09.17

1980〜90年代に日本のセルビッジジーンズの先駆けとして一世を風靡したデニムブランド「ドゥニーム」。同ブランドの創業当時のレシピをもとに、再始動を手掛けたのが「ウエアハウス」だ。彼らの徹底的な研究・解析によって生み出された至極の1本は、まさにオーセンティックそのもの。そして、本当の意味での“良い色...

上野の2つの「SUN HOUSE」で、秋支度。おすすめのアイテムを聞いてきました

  • 2026.09.18

歩いてわずか30秒ほどの距離にある、上野ふたつのサンハウス。今回はそれぞれの店舗で、この秋おすすめのアイテムを聞いてみた。2軒を行ったり来たりしながら、そろそろ秋支度を始めよう。 上野のサンハウスは行ったり来たりが正解です 昨年のリニューアルを経て、アメ横に2店舗を構えるようになった「サンハウス」。...

2ndとEDWIN両チームの世代の異なる4人が集結! EDWINと考えるトラッド学

  • 2026.09.15

本誌でも何度も紹介してきたEDWINのコンセプトショップ限定アイテムは、普遍的なデザインとそのクオリティの高さから2ndが理想とするトラッドスタイルともばっちりハマる。今回は初の試みとして、2ndとEDWIN両チームの世代の異なる4名で“EDWINで作るトラッド”を考えてみた。 20代らしくアクティ...

ニューヨーク・ブルックリン発! 作業服由来のデイリーウエアはこう着こなす。

  • 2026.09.16

創業1904年、高層ビルの建設が相次ぐ当時のニューヨークでリアルワーカーに向けて、作業服を提供していた「ブルックリンオーバーオール」。そんな確固たる出自に由来する男服は、カジュアルウエアとして現代にDNAを継ぐ。 旧きよきデザインと生地づくりで飽きのこない王道のワークスタイル 40年代の個体をベース...

Pick Up おすすめ記事

上野の2つの「SUN HOUSE」で、秋支度。おすすめのアイテムを聞いてきました

  • 2026.09.18

歩いてわずか30秒ほどの距離にある、上野ふたつのサンハウス。今回はそれぞれの店舗で、この秋おすすめのアイテムを聞いてみた。2軒を行ったり来たりしながら、そろそろ秋支度を始めよう。 上野のサンハウスは行ったり来たりが正解です 昨年のリニューアルを経て、アメ横に2店舗を構えるようになった「サンハウス」。...

究極のクラシックを背負う。英国発バッグブランド「Billingham」のカメラバッグ『System-1』

  • 2026.09.24

英国生まれのバッグブランド「ビリンガム」。そして同ブランドを代表するモデル[システム-1]。"用の美"を極めたその実用性とルックスは昔も今も、服好きの心を捉えて離さない。 “機能美”を極めたクラシックバッグの筆頭 創業は1973年。写真を撮るのが大好きだったという創業者のために妻がカメラバッグを手作...

2ndとEDWIN両チームの世代の異なる4人が集結! EDWINと考えるトラッド学

  • 2026.09.15

本誌でも何度も紹介してきたEDWINのコンセプトショップ限定アイテムは、普遍的なデザインとそのクオリティの高さから2ndが理想とするトラッドスタイルともばっちりハマる。今回は初の試みとして、2ndとEDWIN両チームの世代の異なる4名で“EDWINで作るトラッド”を考えてみた。 20代らしくアクティ...

毎日に、最良の定番。B.V.D.の「GOLD」は昔ながらの良さと、いま欲しいバランスを兼ね備えたTシャツ

  • 2026.09.16

長く愛されてきた定番には、変わらない理由がある。B.V.D.の「GOLD」もそのひとつ。肌着として培ってきた心地よさをそのままに、今の気分で一枚でも着られるリラックスフィットが加わった。昔ながらの良さと、いま欲しいバランス。その両方を備えた、新しい定番のかたちを見ていこう。 変わらない着心地にゆとり...

イタリア・パルマで誕生。世界屈指のベルト「Anderson’s」、その生まれる場所へ

  • 2026.09.17

1966年、イタリア北部に位置する美食の街・パルマで創業したベルトメーカー「アンダーソンズ」。装いを完成させる“名脇役的存在”のベルトをメインとする稀有な存在にして、世界的な評価を獲得する某ブランドのプロダクトはどのように生まれるのか。その魂が宿る自社工場に足を運んだ。 イタリア・パルマの地に宿る6...