ブレスレット感覚で使えるヴィンテージの軍用時計

余分な装飾を削ぎ落とした究極にシンプルかつ無骨な雰囲気が魅力のミリタリーウォッチ。「トロフィークロージング」の代表、江川真樹さんが愛用するのは、そこにミリタリー由来のカスタムを加えたスタイルだ。もはやアクセサリーと言える圧倒的な存在感を放つカスタム・ウォッチを好む理由とは?

時計とアイウエアは、実用性とデザイン性を兼ねた男のアクセサリー。

「トロフィークロージング」代表・江川真樹さん|ヴィンテージバイクやクルマを東京で日常的に乗り回すモーターフリーク。’40年GMCトラックの他、’20s、’30s、’40s、現行の4台のIndianを所有。ヴィンテージのワークやミリタリー物を好む

’40年代以前のクルマやバイクを日常的にドライブし、ヴィンテージのミリタリーやワークを背景に持つプロダクツを生み出すトロフィークロージングの江川さん。趣味やファッション、生み出すプロダクツの世界観が統一されたスタイルを貫く江川さんの愛用時計は、同様のカスタムが施されたミリタリーウォッチである。

ここで紹介する4本に共通するのは、第二次大戦当時のUSAAFのパイロット章(バッジ)を加工して時計のブレスレットにアレンジしたカスタム。当時は兵士が自身のファッションとして身につけたり、プレゼントとして贈る習慣があったトラディショナルな手法である。

「20歳の頃に初めて購入した時計からミリタリーウォッチを使い続けていますが、コンパクトなサイズ感が好きなのと、修理しながら使い続けられるし、長年使っているものは一緒にいろんな場所を走っているから特別な愛着がありますね。ベルトのカスタムは、デザイン的にスチールの質感が目立つ旧いバイクやクルマと相性が良く時代感が合うことに加え、アクセサリー要素が強いマイノリティなイメージが気に入っています」

ヴィンテージのミリタリーウォッチに手を入れながら使い続けるプロセスは江川さんの愛車の付き合い方と共通する。旧いプロダクツを時代背景ごと愛しながら自分なりのスタイルを模索する、江川さんの趣味性が現れたスタイルだ。

パイロットウィングがアクセサリーとしてのインパクトが強いカスタムだけに、手元のアクセサリーはシンプルにまとめることが多いのだとか。右手にはガボールのバングルを着用

1950s BULOVA Pilot Watch Bracelet Custom

’50s後半にUSAFに支給されたA-17のBULOVA製。江川さんが20歳の頃に初めて購入したヴィンテージウォッチで、それ以来修理を繰り返しながら愛用し続けている特別な存在。後にヴィンテージショップで手に入れたシルバーのパイロットウィングブレスレットでカスタムされている。

1930s ELGIN Pilot Watch Bracelet Custom

1930年前後に生産されたアメリカ陸軍航空隊のELGIN製ミリタリーウォッチには、右のパイロットウィング・ブレスレットをモチーフにリプロダクトしたトロフィークロージングのベルトを装備。アビエイターを意味するAVIGOの文字を冠するウィングマークや、ミリタリーウォッチとしては珍しいケースの装飾によるドレス要素がお気に入り。

バイクやクルマに乗る際に着用頻度が高いアイウエアは、アメリカンオプティカルのセーフティグラスとパイロットグラスのヴィンテージというワークorミリタリーのチョイス。セーフティグラスは鼻にかかる部分がノーズパッドにカスタムされている。

TROPHY CLOTHING MIL PILOT WATCH

江川さんが長年愛用するBLOVAのミリタリーウォッチをモチーフに、当時のシビリアンモデルをイメージしたオリジナル。針だけでなく文字盤上の数字にも蓄光塗料を使用し、12時間表示の内側に24時間表示されているディテールが特徴。リプロダクトの鉄製パイロットウィング・ブレスレットでカスタム。

(出典/「Lightning 2024年8月号 Vol.364」)

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