日本でもっとも売れたジープ、それがチェロキーだ。

ジープと言えばラングラーに代表される「いかにも」なモデルがクロカンスタイルの王道だけど、街乗りメインの4駆派にもっとも有名なジープといえばチェロキーの存在。じつは現行モデルはアメリカでは販売されているけれど、現在は日本では正規輸入されていないという車種。日本では今や兄貴分のグランドチェロキーのみの展開なのだ。といっても根強いファンがいるモデル。そんなチェロキーを掘り下げてみると、けっこうその歴史は複雑。現在のモデルになるまでの紆余曲折がまたおもしろい。

第1世代(SJ) 1974~1983年 初代はフルサイズボディ。ワゴニアのスポーツモデルとして生まれ、今や旧車としての価値も高い。

それまでのワゴニアと共通のボディで、メッキパーツを廃し、2ドア化したスポーティなモデルとして生まれたのが初代チェロキー。堂々たるフルサイズボディがその始まりだった。Photo by Stellantis

もともとAMCジープで販売していた高級ジープだったワゴニアをベースに、スポーティなモデルに仕上げ、若い世代にも販路を拡大しようと生まれたのが初代チェロキーだ。

ワゴニアと同様のボディやエンジンながら、メッキパーツは省略されて2ドアボディのみというスタイルでデビューした。後年には4ドアモデルも登場し、ワゴニア同様、長らくフルモデルチェンジすることなく、内、外装のパーツやデザインをアップデートしながら1983年まで生産された。

ライバルはフォードのフルサイズブロンコやシボレー・ブレイザー、GMCジミー、ダッジ・ラムチャージャーといったフルサイズ4WDだった。

いわゆるワゴニアやチェロキーのフルサイズジープは、SJプラットフォームで生産されていたことからこれらのフルサイズジープはSJジープという愛称で呼ばれている。

現在ではクラシックカーとしても価値があり、フルレストア車はかなりのプライスで取引されている。

フルサイズチェロキーの後期モデルは上位機種だったワゴニアのマイナーチェンジと同時に角目になり、1977年からは4ドアモデルもラインナップされた。これは1981年式チェロキー・チーフ。チーフというグレードも初代モデルの1976年から存在した。Photo by Stellantis

第2世代(XJ、もしくはXJ第1世代) 1984~2001年 コンパクトな車格に転生。ユーザーの幅を広げた成功モデルは息の長さが証明している。

いわゆるXJチェロキーの愛称で言われるコンパクトなボディになったチェロキーの初代モデルは当初は2ドアモデルも存在していた。チーフというグレード名も継続された。Photo by Stellantis

AMCが1984年モデルに登場させた新たなチェロキーは、オイルショックの影響だけでなく、今後のSUVやアウトドアアクティビティへの需要を見越して、大衆にも扱いやすいコンパクトなサイズで登場した。スクエアなフォルムに4WDとして初めてユニボディ(モノコック)を採用することで、乗用車としての乗り心地も確保することで、多くの人に受け入れられたモデルとなった。

日本にも正規輸入(ホンダの販売店ネットワークで売られた)されることによって、バブル時代には多くのセレブな若者たちがチェロキーに飛びついたことで、日本でも一躍有名な車種になった。

AMCで生まれ、クライスラー、ダイムラークライスラーと製造していた会社が変わっていったが、そのスタイリングのイメージを変えることなく2001年まで長きに渡って生産されたことから、チェロキーといえばこの世代を想像する人が多いはず。

ボディは当初2ドア、4ドアが存在したが、後年には4ドアモデルのみになった。また共通のボディを持ったコンパクト・ピックアップトラックのコマンチも派生モデルとして一時期存在した。

当時のXJプラットフォームから、この世代はXJチェロキーという愛称で親しまれている。

1985年式チェロキー・ラレード。日本に入ってきて人気となったモデルはこのカタチ。正規輸入車がホンダのディーラー網で販売されていた歴史がある。Photo by Stellantis
2000年式チェロキー。角は丸みを帯びたが、まだスクエアなフォルムをキープしていた初代の後期モデル。もはやこのモデルもヤングタイマーの領域になっている。Photo by Stellantis
XJチェロキーの派生モデルとして存在したコンパクトサイズのピックアップトラックがコマンチ。ボディ後部を荷台にしているだけで、フロントマスクはXJチェロキーと同じデザインだった。Photo by Stellantis

第3世代(KJ) 2001~2007年 本国ではリバティの名前で登場したが、その他の国ではチェロキーを名乗った。

それまでのスクエアで角目2灯のスタイリングから、ジープらしい丸目2灯のデザインになったXJチェロキーの後継モデル。ただアメリカではチェロキーではなく、リバティという名前で登場し、他の国ではチェロキーというモデル名を受け継いで販売されたため、リバティの初代モデルでありながら、チェロキーの3代目という位置付けになっている(ややこしい)。

というのは、リバティという車名を日産が商標として持っていたため、日本ではこのモデル名が使えなかったというのがその理由。

それまでメインで搭載されていた4Lの直列6気筒エンジンは一新され、3.7L V6、2.8L 直4エンジンなどが採用された。マニュアルトランスミッションはダイムラークライスラー時代らしく、メルセデス・ベンツ製を搭載していた時期もあった。

第4世代(KK) 2007~2012年 リバティの2代目であり、チェロキーとしては4代目になるモデル。

新世代のプラットフォーム(KK)で生産されることでフルモデルチェンジしたリバティの2代目モデルは、ダッジ・ナイトロと兄弟車という位置付けで登場し、先代同様、アメリカ本国ではリバティ、その他の国ではチェロキーの名前で販売された。

ジープ伝統の7スロットグリルはそのままに、涙目のようなデザインのヘッドライトが特徴的で、スクエアなフォルムに回帰した。

搭載されるエンジンは直4ガソリンエンジン無くなり、3.7L V6のみ(他の国では直4ディーゼルエンジンもラインナップされた)に。というのもさらに小型のモデルであるジープ・パトリオットやジープ・コンパスの登場によって、エンジンのラインナップも整理された。

第5世代(KL) 2013~現行モデル クロスオーバー化したチェロキーネームの現行モデル。

それまで伝統的なFR(後輪駆動)ベースから、クロスオーバー化してモデルチェンジしたことでFF(前輪駆動)ベースの4WDへと生まれ変わったのが現行のKLモデル。それまでのリバティの名前は継承されず、このモデルからチェロキーの名前がアメリカでも復活した。

スタイリングは鼻先が長く、吊り目のマスクによって、それまでのフラットなマスクのジープというイメージではなく、乗用車的なイメージのシャープなマスクに変更されたが、伝統の7スロットグリルはモダンなデザインながら踏襲している。

2018年にビッグマイナーチェンジを行って、グランドチェロキーに近いデザインになり現在に至っている。

2021年式チェロキー。マイナーチェンジによって、グランドチェロキーに近いフロントマスクになった。Photo by Stellantis

ボディのサイズと燃費はいかほど? アメリカ車だけに気になるところ。

チェロキーは初代のフルサイズ以降はコンパクトSUVというカテゴリーに存在しているので、サイズ感的にも普段日本車に乗っている人でも乗りかえやすいサイズ。現行モデルの最高グレードであるトレイルホークを参考にするとサイズは全長4645mm、全幅1902mm、全高1722mmと国産車とさほど変わらないサイズ感。気になる燃費も2L直列4気筒リッターターボエンジン搭載のトレイルホークでリッター約9kmとメーカーはアナウンスしているので、アメリカ車特有の「燃費が悪い」というイメージは皆無だ。

現在の新型チェロキーの値段と、中古という選択肢はあるのか?

現行型チェロキーの正規輸入は2022年に終了しているので、新車は並行輸入に頼るしかない。といってもチェロキーは日本でも人気のジープということもあり、中古車もタマ数があるアメリカ車のひとつ。しかも正規輸入車は右ハンドル仕様なので、日本車からの乗り換えにもストレスがない。初代のフルサイズやXJのオールドモデルを狙うと探すのは困難だが、KLチェロキーであれば低走行の良コンディションの車両も珍しくない。

もはやヤングタイマーの領域に入っているモデルもあるXJチェロキーとなると、メンテや修理などのパーツがメーカーからの供給が無くなっている場合もあるので、ディーラーでは受け付けてくれない場合もある。その場合はクラシックジープの専門店に頼る必要があるが、まだまだ現役で楽しめる中古も選択できる車種だといえる。

気になる新車価格は現行モデルの定価はアメリカで約3万8000ドル。新車をアメリカから並行輸入するとなると600万円以上の予算はほしいところだし、左ハンドルモデルになる。

ここまで日本でも知名度のあるモデルなのに、現行モデルが正規輸入されていないというのも驚き。現在日本では兄貴分(ゆえに高価)なグランドチェロキーのみの展開なのが残念。

この記事を書いた人
ラーメン小池
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ラーメン小池

アメリカンカルチャー仕事人

Lightning編集部、CLUTCH magazine編集部などを渡り歩いて雑誌編集者歴も30年近く。アメリカンカルチャーに精通し、渡米歴は100回以上。とくに旧きよきアメリカ文化が大好物。愛車はアメリカ旧車をこよなく愛し、洋服から雑貨にも食らいつくオールドアメリカンカルチャー評論家。
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