東京・昭島の、元音響メーカーの技術者がこだわり抜いた孤高の自家焙煎所。

  • 2024.02.10

水のきれいな東京・昭島にある異色のコーヒー専門店「チェット」。店主の和田毅典さんの前職は音響メーカーの技術者。「すべてがオリジナルでありたい」という想いに溢れ、開店当初は焙煎機すら自作で作ってしまったほど。焙煎も抽出も試行錯誤の末、たどり着いたもオリジナスタイル。通常の数倍の時間をかけた点滴ドリップで淹れる「ぷれみあむコーヒー」は遠方からわざわざこの1杯を求めて訪れるファンも多い。

点滴ドリップを駆使したぷれみあむコーヒーは絶品。

抽出する速度と落ちる速度を一定にした点滴抽出は、通常の3倍以上の時間がかかる、まさにプレミアム。ただし、混雑時のぷれみあむコーヒーの注文は不可

元音響メーカー技術者が脱サラで始めたコーヒー専門店。今年で17年目だから自家焙煎店としてはかなり先駆けだ。

「昭島は水が美味しいから、これを活かさない手はないなと思って」と語るのは店主の和田さん。

店舗はすべて和田さんの手作りから始まった。内装も什器も、そして焙煎機さえも。

「技術者だったので。通気量をコントロールしたりダンパーをつけたり。でも、さすがにフジローヤルの焙煎機には適いません」と笑う。

オープン当初は自作の焙煎機を使用していたが、途中からフジローヤルを導入。「さすがに焙煎機だけはオリジナルが難しかった(笑)」

店を始めるにあたって決めたルールは、すべてオリジナルであること。開店準備期間にカフェ巡りをすることもなく、抽出方法も試行錯誤しながら自分流。通常の数倍の時間をかけた点滴ドリップで淹れる「ぷれみあむコーヒー」は自ら編み出した抽出方法。コーヒー本来のフレーバーを活かしたまろやかな味わいで、遠方から訪れるファンも多い。ドリッパーも使いやすいよう既成品を改造した。元音響メーカーの技術者がこだわり抜いた孤高の自家焙煎店。

不良豆を取り除くハンドピックは焙煎前後に何度も。地道な作業が美味しいコーヒーを生み出す

「失敗もたくさんしました。でも、だからこそ今があるんです」

ところで店名はジャストランぺッターのチェット・ベイカーが由来。でも店でジャズが流れることはない。

「そこに力を入れたらジャズ喫茶になってしまうでしょ。それだけはやめようと()

元々はラーメン店だったというフラットハウスをリノベーション。外観も内装もすべて和田さんの手作り
横田基地に近い立地もありアメリカを感じさせるディスプレイ。日産のプレートや日野トラックのバンパーもあり
コーヒーカップは希少なファイヤーキング
北欧が好きな和田さん。イッタラのカップがお洒落

人気のコーヒー豆を紹介!

[豆の種類]
シングルオリジン 10種類
ブレンド 2種類
ブレンドは深煎りチェットブレンドと浅煎りくじらブレンド

[抽出方法]
ペーパー

[焙煎機]
フジローヤル/直火式/3kg

【シングルオリジン】カリアニ

上質なカラメルのような豊かな香りとビターチョコレートのような苦味が同居する。コクも重厚でロングアフターテイスト。余韻までしっかりと味わえる1杯。

産地:ケニア
焙煎:フレンチ
精製方法:ナチュラル
香り:ビターチョコ
酸味:抑えめ
コク:かなり濃厚
後味:長く続く

【シングルオリジン】イルガチェフコンガ オーガニック

酸味が強いイメージのあるイルガチェフェだが、焙煎で酸味を消している。一般的に浅めにしがちだが、ちょっと深く煎ることで酸味もまろやか香りも生きて甘味が際立つ。

産地:エチオピア
焙煎:シティの手前
精製方法:ナチュラル
香り:はなやか
酸味:抑えめ
コク:モカよりは強い
後味:長く続く

【シングルオリジン】ショコラ P.N

ナッツ系の香ばしさとチョコレートの甘味が同居したブラジルならではの風味。煎り過ぎず、全体的に酸味をおさえてあるから飲みやすさもある。チェット定番豆のひとつ。

産地:ブラジル
焙煎:ハイ
精製方法:パルプドナチュラル
香り:ナッツ系
酸味:抑えめ
コク:少なめ
後味:長く続く

DATA
Chet(チェット)
住所:東京都昭島市宮沢町1-1-4
連絡先:TEL042-545-3870
営業時間:11:0019:30(場合によって19:00)
定休日:木曜日
駐車場:なし
公式HP:なし
SNS:なし
席数:8
ホールセール:あり
豆販売:あり
豆通販:なし
テイクアウト:なし
デカフェ:なし
ドリップバッグ:なし
セミナー:なし
器具販売:なし

※情報は取材当時のものです。現在取り扱っていない場合があります。

(出典/別冊Lightning Vol.215「東京コーヒーロースターズ」

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