ラングラーは、軍用ジープのDNAを持った直系フラッグシップモデルなのだ。

昔の人(BMWをベンベーと呼んでた世代)は四角い4WDはすべてジープと言っていたけど、ジープはあくまでもブランド名で、その中にいろんなモデルが存在する。その中でもフラッグシップモデルといえばジープ・ラングラーの存在。ジープそのものの歴史は戦前までさかのぼるけれど、ラングラーの登場は1980年代。といってもそのDNAは初代ジープを受け継いだ骨太なオフロードカーという性格は変わらない。そんなラングラーを歴史を振り返りながら現行モデルまで深掘りしてみよう。

MBジープの流れを汲むジープ本来の姿。

1942年式ウィリスMB。アメリカ軍の厳しい規定をクリアした高機動車として生まれた元祖ジープ。Photo by Stellantis
2023年式ジープ・ラングラー・ルビコン392 20thアニバーサリーエディション。現在のラングラーも初代ウィリスMBの面影を残している。Photo by Stellantis

そもそも軍用車として開発されたジープは1941年にウィリスがMBを開発し実戦に投入されたことがそのルーツ。その走破性の高さ機動力によってすぐに1945年に民間用にMBの技術を使って生まれたのがジープCJだ。

CJとはシビリアンジープの頭文字で、これがラングラーのルーツになっている。スクエアなボディに前後独立して張り出したフェンダー、フロントにあるタテスリットのグリルなど、現在のラングラーにも受け継がれるデザインはまさにヘリテージ。

軍用車の生産背景を使って民間用として生まれたCJ(シビリアン・ジープ)。写真は1955年式ウィリスCJ-5。このころはまだ機能特化したクルマという性格が色濃く出ている。Photo by Stellantis

といってもその特殊な性格だったため、多くの人には受け入れられない時期もあった。そこで街乗りでも悪路でも楽しめるモデルとして投入されたのがジープ・ラングラーだった。その歴史を世代別に深掘りしてみよう。

第1世代 唯一角目のYJラングラー。1987~1996年。

Photo by Stellantis

ウィリス・オーバーランド社、カイザー社、AMC社(アメリカン・モーターカンパニー)と製造権が移っていったジープ。まさにAMCの最後の時代に登場したのが初代ラングラーであるYJだ。それまで存在していたジープCJ-7の後継モデルとして開発され、伝統の丸目2灯ではなく角目モデルになり、明らかに新たなモデルとしてのデザインで登場した。

性能面ではCJ-7よりもホイールベースを延長し、悪路走破性よりもオンロードでの走行性能を重視したモデルになった。開発はルノー傘下だったAMCで行われ、初代モデルは製造権が変わったクライスラー社だったが、エンジンなどはAMC製の4気筒、6気筒を搭載し、多くのパーツが先代のCJ-7から流用されていた過渡期のモデルだった。

ボディは2ドアコンバーチブルのみで、幌かハードトップのチョイスができた。

第2世代 ルビコンモデルも生まれたTJラングラー。1996~2006年。

Photo by Stellantis

ジープ元来の丸形ヘッドライトに戻された第2世代であるTJ。エンジンは4気筒モデルがAMC時代から引き継いだ2.5リッター、後年にはクライスラー製の2.4リッター直列4気筒に。6気筒モデルのエンジンはAMC時代からの4リッター直6で、同型のエンジンはチェロキーやグランドチェロキーとも共通のエンジンだった。

2003年にオフロード走破性を高めた専用装備を持ったルビコンが登場、さらに2ドアながらホイールベースが10インチ延長されたアンリミテッドが2004年に登場した。

ボディは2ドアコンバーチブルとハードトップの2種類。

第3世代 4ドアモデルが登場したJKラングラー。2007~2017年。

Photo by Stellantis

世の中のSUVの台頭を受けてモデルチェンジした3世代目のJKはラングラー初の4ドアモデルが登場し、本格オフローダーとしてだけでなく、悪路も得意なSUVとしての性格も持つモデルとして進化した。

発売は当時ジープの製造権を持っていたダイムラー・クライスラー社からになる。4ドアモデルはホイールベースが延長され、先代同様のアンリミテッドの名前を冠して販売された。このモデルの登場で日本でもラングラーの売り上げが拡大した功労者(車)ともいえる。

デザインでは伝統の丸目、7スロットグリルは継承され、ヘッドライトの下に丸形のマーカーランプがデザインされるのが特徴になっている。エンジンも刷新され、3.8リッターV6になった。

第4世代 幅広いラインナップのJLラングラー。2018年~現在。

Photo by Stellantis

2014年にフィアットとクライスラーが合併し、フィアット・クライスラー社(FCAグループ)の元で登場した第4世代。先代のキープコンセプトながら、様々な部分が刷新された。

2021年にはFCAグループがオランダのステランティス社の傘下となるなか、ジープの販売は変わらず継続された。

このモデルのトピックスとしては2021年にはPHEV(プラグインハイブリッド)モデルになるラングラー4xe(フォー・バイ・イー)が登場。スクエアでクラシカルなフォルムながら環境性能にも配慮しながらも、同年には6.4リッターのV8エンジンを搭載するラングー・ルビコン392も発表。

現在でも充実したラインナップによってあらゆるジープ愛好家に向けた販売戦略を取っている。アメリカでは2ドア、4ドアのボディバリエーションがあるが、日本国内では4ドアモデルのみになっている。

現在搭載されるエンジンは3.6リッターV6、2リッター直4ターボ、6.4リッターのV8だが、日本国内では2リッター直4ターボのみになっている。

日本は2000ccのみの展開。後悔しないために知っておきたい新車価格や燃費、それに中古車の実情とは?

現在日本の新車では「アンリミテッド」と呼ばれる4ドアモデルのみ(エンジンは直列4気筒ターボの2リッターのみ)の販売で、830.0~905.0万円、ルビコン4xeは1030万円となっている。もはやジープも気軽に新車で購入できるモデルではなくなっている。

気になる燃費はレギュラーガソリンでグレードにもよるが10~11km/Lと2023年式モデルでは公式アナウンスされている。ラングラーのアンリミテッド(4ドア)は正規輸入がされているだけでなく、日本未発売のモデルも並行輸入で輸入された車体もあるので、日本国内でも他のアメリカ車に比べて流通量も多い。そういう意味では中古モデルという選択肢も豊富にあるアメリカ車だといえる。

ラングラーでいえばYJやTJはもはやヤングタイマーな年式のクルマの部類。メンテや修理などのパーツはディーラーでは扱いが無く、クラシックジープを専門に扱っているショップであればメンテやカスタムは可能なので、専門店を頼るしかないが、しっかりと整備すればクラシックジープ独特の走りを楽しめる。

アメリカ車=V8エンジンという図式にこだわらなければ、アクティブな趣味を謳歌するには最適のモデルといえる。

この記事を書いた人
ラーメン小池
この記事を書いた人

ラーメン小池

アメリカンカルチャー仕事人

Lightning編集部、CLUTCH magazine編集部などを渡り歩いて雑誌編集者歴も30年近く。アメリカンカルチャーに精通し、渡米歴は100回以上。とくに旧きよきアメリカ文化が大好物。愛車はアメリカ旧車をこよなく愛し、洋服から雑貨にも食らいつくオールドアメリカンカルチャー評論家。
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