その美しき革鞄を見よ。「LEATHER WORKS BROTHER」のCHEVAL(シュヴァル)。

美しい仕上がりと堅牢な作り、丹精込めた丁寧な手仕事で、静かに注目を浴びるレザーブランドがある。LEATHER WORKS BROTHER。文字通り兄弟で作り上げるその革鞄/革小物は、他のブランドにはない色気を漂わせている。この革鞄を見てほしい。CHEVAL(シュヴァル)と名付けられたその革鞄は、1950年代のフランスの郵便局員用のバッグをトレースして、現代に甦らせたものだ。装飾を配した機能美の中に立ち上がる、ふわりと香る艶っぽさ。これこそがLEATHER WORKS BROTHERの真骨頂と言える。彼らのモノ作りの真髄に迫る。

革を使う悦びを、多くの人に知ってもらいたい。

ショールームに併設されている工房。お客さんは、商品を物色しながら、兄弟の手仕事を実際に見ることができる。天井からは、アイデアソースのヴィンテージが吊られ、雰囲気良し

埼玉県狭山市。決して便利とはいえない場所に、レザーワークスブラザー(以下LWB)のショールーム兼工房はある。2015年、阿部龍太郎・興二郎の兄弟によって立ち上げられたLWB、当初は革小物を中心に展開していたが、現在では革鞄も手掛け、アンテナの高い革好きの間で静かな人気を博している。彼らの生み出すレザープロダクツは、全て狭山の工房で作られる「手作り」。裁断、縫製はもとより、革の染色まで自分たちの手で行っている。

「僕たちが大切にしているのは、革の表情です。LWBでは国内タンナーのオリジナルレシピのタンニン鞣しの牛革を使っています。顔料や色止め剤を使わずに、全て染料で仕上げているんです」

そう話すのは弟の興二郎さん。シュヴァルも、興二郎さんがヴィンテージからインスピレーションを得て、デザインしたもの。いい意味で“ムラのある”有機的な質感は、全てLWBの革への飽くなきこだわりの結果なのだ。

染色、磨き、縫製担当の兄の阿部龍太郎さん(写真上)と、デザインから製作全般に携わる弟の興二郎さん(写真下)。革は使い込むことで自分のものになっていく。そこが美しいと興二郎さん

革の染色の工程。タンニンや油分を多く含んでおり染まりにくいが、色の入りやすい革と違い、のっぺりとせずに革の表情が楽しめる
ダークグリーンやレッドチェスナットブラウンなどは、染料を混ぜて自分たちの色を作っているという

「製作するすべての工程はもちろん重要ですが、裁断がいちばん重要だと思っています」と興二郎さん。カットラインがそのまま商品になるため、ごまかしが効かない。まず余白を2〜3㎜とって大まかに粗断ちし、その後に本裁断へと移っていく
天井からは、興二郎さんの革ジャンが多数吊り下がっていた。「バイクに乗るのでライダースは好きですね」と興二郎さん。アメリカ、ヨーロッパどちらも好きで、国のこだわりは特にないとか

普遍的で味わい深いデザインが魅力の「CHEVAL(シュヴァル)」。

1950年代のフランスの郵便局員が使っていたポストマンバッグをベースに作り上げたCHEVAL(シュヴァル)。国内タンナーで鞣したオリジナルレシピの牛革を採用し、一点一点すべて総手縫いによって仕上げられる。写真はチェスナットブラウンで26万8000円〜

ライニングにはディアスキンを採用し、見た目だけでなく堅牢で機能性にも一役勝っている。ポケットの配置も絶妙で使い勝手も良好
CHEVALはすべて受注生産。製造年月日やシリアルNO.が刻印され、所有者の名前の刻印も可能(写真はブラックモデルのもの)
CHEVALを構成するパーツ群と型紙。シンプルな形状のバッグながら、パーツ数は意外と多い。パーツを裁断する際は、革の繊維の方向を常に考えるという。繊維方向を間違えてしまうと、型崩れを起こしたり、使い勝手にも影響が出てしまうのだ
写真奥が1950年代のヴィンテージのフランスのメールバッグで、手前が興二郎さんが使用しているCHEVAL。大きさはA4が入るか入らないかの微妙なサイズ。「オリジナルの大きさのバランスが好きなんです」と、あえてこの大きさにこだわっている

LEATHER WORKS BROTHERのウォレットもまた美しい。

Rude Black

TRUCKER WALLET-01 本体3万7000円〜
WALLET CHAIN-01 1万4700円〜
BELT LOOP-02 double 6000円〜
KEY HOLDER-05 6000円〜

Over-Dyed Black

TRUCKER WALLET-02 本体4万9000円〜
WALLET CHAIN-02 1万5000円〜
BELT LOOP-02 double 6000円〜
KEY HOLDER-05 6000円〜

【DATA】
埼玉県狭山市狭山台1-1-7 鈴木ビル2F
TEL04-2941-2506
営業/10時〜20時
休み/不定休
https://leatherworksbrother.jp

【問い合わせ】
レザーワークスブラザー
TEL04-2941-2506
https://leatherworksbrother.jp

(出典/「Lightning 2023年12月号 Vol.356」)