今やオールドカーにも「経年変化」が見直されている!? 味わい重視のクルマスナップ。ロサンゼルス編Vol.2

  • 2023.09.09

使い込まれて色褪せたり、独特のヤレた雰囲気になっていくプロダクツの経年変化はどんなモノにも当てはまる。

じつはそれまでは劣化というネガティブな評価がされていたものも、その時代を経ているからこそ生まれる味わいが、最近ではヴィンテージ価値として見直されてきたモノもあるのが昨今。そんな一例がクルマ。

見た目は汚いけれど、それこそが価値という見方もあり、それが今注目されていたりする。

そんな経年変化したクルマを旧車天国であるアメリカのロサンジェルスでスナップする第二弾。アメリカ車が中心になるのはご容赦ください(笑)。

塗り替えるよりも、オリジナルを維持することが新たな価値になっている。

ヴィンテージやアンティークの世界では、たとえば古着や時計、それにクルマやモーターサイクルなどは、当時そのままの雰囲気というのが価値として見出されてきた。先に挙げたプロダクツはどれもリペアができるため、時代を経ても新品同様のレストアが可能。

もちろんレストアをすればピカピカに生まれ変わるわけだけど、それよりも当時のパーツが経年変化したまま現在まで残っていることも価値なのではないかと言われてきている。

事実、クラシックカーなどはリペイントせずに、当時からそのままの経年変化したオリジナルペイントが、塗り直されたクルマよりも高額で取り引きされるなんていう例も少なくない。

今回もそんなオリジナルの雰囲気の残るクルマをロサンジェルスでスナップ。カッコいいと思うか汚いと思うかはあなた次第だけど、ジーンズのタテ落ちやダメージがカッコいいと思える人なら理解できる人も多いのでは。これも価値として認められている世界があることもお忘れなく。

働くクルマも乗用車も、カリフォルニアでは経年変化したオールドカーがたくさん生息する。

1948~1953年モデルのシボレー・ピックアップ。オリジナルのグリーンの塗装はだいぶお疲れ気味だけど、中まで錆びないのがカリフォルニアの日射し。ホイールがピカピカなところを見るとあえてこのボディのまま乗っていることがわかる。

日本では通称「羽根ベン」と呼ばれる1960年代のメルセデスベンツ220Sは、リアにテールフィンがデザインされているのが特徴。ボディのヘコミもそのままだし、ペイントは完全に艶がなくなってしまっているけど、さすがに欧州車はピカピカの方がいいよねという人が多そう。ただ、バンパーのメッキなどはキレイなことから、現状ではこのボディを楽しんでいることが想像できる。

初代となる1960年式のフォード・ファルコン。おそらく当時そのままのフルオリジナルかと思われる1台。4ドアセダンというやる気の無いモデルってのがさらに良い。完全に艶の無くなったボディは完璧なパティーナ。これをベースに中身を一新するのもカッコいい。

VWのレイトバス。正式にはトランスポーターの第2世代なのでT2と呼ばれる。初代のアーリーバス同様に愛嬌のあるルックスとシンプルな機構でカリフォルニアではサーファーたちにも愛用される。とくにサーファーの日常使いになると、ボディカラーは二の次なんていう車両も少なくない。これもずいぶんと塗装が経年変化しているけれど、現役のサーファーズ・ヴィークルとして活躍している。

見た目はこんなだけどしっかりと走っているので機関系はしっかりと整備済だとわかる1955年式シボレー・パネルトラック。ボディはオリジナル塗装のままでも気にしないというオーナーのおかげで、今や貴重な経年変化を確認できる個体になっている

外観はノンレストアでも「味」があればアリなのだ。

あえて、当時そのままの塗装で乗るというスタイルは賛否が分かれるだけに、かなり「好き者」な趣向。でも、ちょっと旧いクルマであれば「ナシ」なことも、30年、40年前のヴィンテージであればスタイルとして「アリ」になってしまうからおもしろい。もちろんキレイにオリジナルの塗装が残っていることは最重要だけど、今後は経年変化したペイントも価値基準としてもっと重要視されていく流れがある。一朝一夕ではできない、年月こそが出せる「味」に、多くの人が気づき始めているってわけだ。クラシックカーやアンティークの世界はだからおもしろいのかもしれない。

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