今回は冬型に人気種「亀甲竜」を紹介。
初心者にも、初めての冬型塊根にもおすすめの品種。
今年の夏は猛暑日も多く、まだまだ暑い日が続いておりますが、お盆を過ぎたあたりからは、冬型の塊根植物も徐々に動きが見えてくるころ。
今回ご紹介する「ディオスコレア・エレファンティペス」は、冬型塊根に分類される代表的な品種のひとつであり、日本では「亀甲竜」という和名で親しまれています。
属名のディオスコレアは、古代ギリシャ時代の医者、植物学者であるペダニウス・ディオスコリウスの名に由来していて、小種名のエレファンティペスはラテン語で「象の足」といった意味を持っています。
ちなみに「冬型塊根」とは、秋から春に掛けての涼しい時期に成長する品種のことを指します。基本的に暑い夏は休眠期であり、夏の終わりから初秋あたりに芽吹き始めます。
そのような冬型塊根の中でも、亀甲竜はやや早めに目覚める品種であり、個体によっては盛夏に目覚め始める場合もあります。
成長とともに亀裂が現れるコルク質の表皮。
和名の「亀甲竜」(きっこうりゅう)の名のとおり、亀の甲羅を思わせる亀裂が特徴的な塊根部。
株が小さなうちは表皮に亀裂もなくツルっとした雰囲気ですが、成長とともに表皮がひび割れていき、亀の甲羅の様な姿となります。
この亀裂にも特徴があり、亀の甲羅のように浅くひび割れる「浅裂:せんれつ」に対し割れが深く、先端が突起の様になる「深裂:しんれつ」と呼ばれるタイプも存在します。
これは育成環境や、管理方法で変化するものではなく、遺伝による特徴とされています。
画像の個体は、塊根幅が5㎝程度の小さなサイズですが自生地では1ⅿほどに成長する大きな個体も存在します。参考上代:9790円
生育期には旺盛に蔓を伸ばします。
蔓性の植物である亀甲竜は、生育期に蔓をぐんぐんと伸ばします。蔓の成長は早いため、気付いたら棚の柱や近くに置いてある植物に巻き始めたりすることも。
この蔓は、洋ランに使用する「洋ラン線」などを曲げて支柱にし誘引することもできます。支柱に誘引することで蔓もスッキリと収まり、見栄えが良くなるだけではなく、スペース的な面でも管理がしやすくなります。
ハート形の葉は女性にも人気。
ゴツゴツとした甲羅の様な塊根のインパクトが強い亀甲竜ですが、生育期の蔓から展開するハート形の葉も可愛らしく、女性の方にも大変人気があります。
このハート形の葉は、亀甲竜を含むディオスコレア属に見られる特徴です。今回ご紹介している、ディオスコレア・エレファンティペスの自生地は南アフリカで、別名「アフリカ亀甲竜」とも呼ばれますが、ディオスコレア属の仲間は全世界の熱帯地域に自生しています。
有名な品種では、メキシコやパナマに自生するディオスコレア・メキシカーナがあります。メキシカーナの姿は、アフリカ亀甲竜とよく似ていますが、別名「メキシコ亀甲竜」と呼ばれ、こちらは暖かい季節に成長する夏型の塊根植物になります。
実生株は入手もしやすくオススメです。
南アフリカの現地球を見かけることもある、ディオスコレア・エレファンティペスですが基本的には実生株の流通が多い品種です。
小さな実生株でも特徴的な亀裂が表れている個体は多く、予算的にも手頃でオススメです。参考上代:5500円
今回は、少し早めに冬型塊根の亀甲竜をご紹介させていただきました。厳しい暑さも少し穏やかになる夏の終わりから秋にかけては、まだ休眠前の夏型と休眠明けの冬型が同時に楽しめる、植物愛好家にとっても夢のような季節です。
初めての冬型塊根としてもオススメのアフリカ亀甲竜ですが、塊根植物の育成未経験の方にもオススメの品種です。
【DATA】
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