生誕70年の節目にさらに生まれ変わるコルベット。アメリカを代表するピュアスポーツカーは進化し続ける。

もはやアメリカ車のアイコン的存在とも言えるシボレー・コルベットの進化が止まらない。2020年に世紀のフルモデルチェンジをした第8世代がさらなる進化を遂げると発表された。そんなニュースが気にならないはずがない。

8世代目コルベット(C8)の進化が止まらない。

来年の話をすると鬼が笑うと言うけれど、自動車業界は来年、さらにその先まで見据えて新たなモデルを模索する。自動車は簡単には生産できないプロダクツなだけに、計画から開発、そして生産、販売するまでの年月は壮大なプロジェクトになるわけだ。まだ2023年になったばかりだというのに、すでに2024年の話も当たり前。

2024年のニュースと言えばアメリカで生まれた純血スポーツカーであるシボレー・コルベットが70歳。1954年式として(発表は1953年)当時では革新的だった軽量なFRP製ボディを擁し、2シータースポーツとして生まれたコルベット。発売初年度はブルーフレームと呼ばれた直列6気筒を搭載したけれど、すぐにOHV(オーバーヘッドバルブ)のV8エンジンを標準搭載。軽量でコンパクトなボディに力強いV8エンジンを載せることでその走りが遅いわけがない。オイルショックも日本やヨーロッパメーカーの攻勢にも屈せず、その個性的なボディデザインもあって、今もアメリカン・ピュアスポーツカーの地位を不動にしている伝統的なモデルになっている。

ミッドシップレイアウトによってロングノーズは強調されなくなったが、後輪の前に大きくデザインされたエアスクープが特徴になっている第8世代のコルベット

そんなコルベットのビッグニュースは、現行モデルである第8世代でそれまでのフロントエンジン・リア駆動から、ミッドエンジン・リア駆動へと大幅にレイアウト変更をしたこと。これによって、フロントエンジン搭載の最終モデルがプレミア価格になったというのも皮肉だけれど、それまでの伝統を刷新してまでパフォーマンスを向上させたことで、日本や欧州のスーパーカーとはひけを取らない世界基準のスーパーカーといえるスペックへと生まれ変わった。

そして生誕70周年となる2024年はさらなる改革が。なんと伝統の後輪駆動から電動4WD化するという。いわゆるハイブリッドで、ガソリンエンジンで後輪を駆動させ、電動モーターで前輪を駆動させるというシステムを採用。もちろん電動モーターだけの走行も可能で、時速70km以上のEV走行(ステルスモードと名付けられてる)ができる。

ミッドシップによってリアが伸びやかなフォルムに。上から見るとキャビンが絞れ込まれたいわゆる「コークボトルライン」はキープし、伝統的なコルベットらしいフォルムは継承している

コルベットの第二世代から使用されている名前スティングレイ(Stingray)にちなんで、Erayと名付けられたこのモデル。北米では2024年モデルとして2023年内には発売される予定。

電動モーターを搭載したErayという名にちなんでエイ(Ray)をイメージしたエンブレムが装備される
内装は巨大なスクリーンを右に装備した現代的なデザイン。ステアリングが円形ではないところもモダンな印象。走行時の車両の状態などが表示され、ドライバーの気持ちを高めてくれる
スポーツカーらしい前後に走るストライプはエレクトリックブルーストライプというパッケージ。2024年モデルとして2023年中に販売される予定。ボディスタイルはクーペとコンバーチブルが設定され、価格は10万4295ドル(1400万円前後)からと発表されている

といってもメインとなるミッドシップレイアウトのエンジンは自然吸気の6.2リッターになるOHV-V8(495馬力)。DOHCとかターボとかにも目もくれず、伝統的なアメリカ車らしさは残している。電動モーターを組み合わせても、OHVのV8エンジンは譲らない。そんなところにアメリカ車の哲学を感じる進化になっているだけに、往年のファンにも受け入れられるに違いない。

この記事を書いた人
ラーメン小池
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ラーメン小池

アメリカンカルチャー仕事人

Lightning編集部、CLUTCH magazine編集部などを渡り歩いて雑誌編集者歴も30年近く。アメリカンカルチャーに精通し、渡米歴は100回以上。とくに旧きよきアメリカ文化が大好物。愛車はアメリカ旧車をこよなく愛し、洋服から雑貨にも食らいつくオールドアメリカンカルチャー評論家。
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