あのフリーメイソングッズにも市場価値がある? 徹底調査してみた。

「フリーメイソン」。謎に包まれた部分も多く、とかく都市伝説的に語られることも多いが、非常に長い暦を持つ由緒正しい団体だ。そのため、関連グッズのクオリティも非常に高く、会員でなくとも世界中にヴィンテージコレクターも多数存在している。そんな、どこか妖しいけど少し気になる、フリーメイソンの世界に迫ってみよう。

「オールドアート アンティーク&ヴィンテージ」オーナー・近田章さん

古いモノ好きが高じて2006年にアンティークショップを開業。買い付け時にフリーメイソンのリングのクオリティの高さに感動し、10年ほど前からフリーメイソングッズも扱うように。ほかにも、欧米や北欧のアンティークグッズやヴィンテージメガネ、古着なども扱う。アンティークスプーンをカスタムしたオリジナルのアクセサリーも扱う。ちなみに本人はフリーメイソンではない。

【DATA】
old Art Antique & Vintage
愛知県名古屋市緑区大高町伊賀殿3-4
TEL050-3395-3581
営業/12:00~19:00
休み/月・火曜
https://www.old-art.net/

あのフリーメイソンにもヴィンテージの世界が!?

名古屋市緑区にあるアンティークショップ「オールドアート アンティーク&ヴィンテージ」にあるフリーメイソングッズのみを陳列した小部屋。1階は欧米の様々なアンティーク&ヴィンテージアイテムを扱うが、奥の秘密の小部屋を開けるとご覧の通り。冷やかし客を避けるためと、秘密めいたフリーメイソンの世界を楽しんでもらうためにあえて裏に隠しているという。見学は要予約

「フリーメイソン」と聞くと陰謀論とか秘密結社なんてイメージもあるが、実は世界最古で最大の友愛組織と言われる親睦団体。活動内容やメンバーなどの詳細を非公開としているために、とかく都市伝説的に語られることも多いが、その歴史は非常に古い。

メイソン(mason)は英語で石工を意味し、起源は諸説あるが16世紀後半から17世紀初頭のイングランドの石工組合。現在、会員数は世界で数百万人とも言われる。ちなみに、「フリーメイソン」とは個々のメンバーだそうで、組織を指す場合は「フリーメイソンリー」と呼ぶのだそう(ここではわかりやすく ”フリーメイソン” で統一)。長い歴史を持つだけでなく、世界の名だたる名士がメンバーに名を連ねる由緒正しき組織だ。

「オールドアート」には日用品からナゾの品まで種類豊富。詳細は不明ながら400 ~ 500年の歴史を持ち、全世界にロッジ(支部)があるだけに、灰皿やコップなどの日用品から装飾品、壁掛け、アート作品まで新旧実に様々。基本的にロッジが作ったオフィシャルグッズがメインで、なかには個人が作った一点モノもあって、アンティーク品としての価値も高い品が多い

それだけに世界各支部で作られた関連グッズは種類も豊富で、かつクオリティが高いことから、関連グッズのコレクターも多い。名古屋市にあるアンティークショップ「オールドアート」代表の近田章さんもそのひとり。

「最初は普通にアンティークを買い付けに欧米にいくうちにフリーメイソンの指輪に出会いまして。そのクオリティの高さに感動して、そこから集め出しました」

アンティーク品としての価値も高いからファンなら狙い目?

フリーメイソンの団体フリーメイソンリーには様々な流派があるが、有名なスコティッスライトには非公開だが貢献度などによって全33の階級が存在するという。なかでも双頭鷲のエンブレムは最高レベルの32、33階級を示す。こちらの盾に描かれる双頭鷲には33の数字。一体元の持ち主はどんな人なのだろうか、なんて想像を巡らせるだけでも楽しい

近田さんがフリーメイソン関連を扱い始めて約10年前。当初は海外のマーケットやショップを巡っていたそうだが、次第に人脈を広げ、今や本物のメンバーから直接譲ってもらうこともあるそう。

「ただ、世界的にコレクターも多いし、ここ最近は一般人気も高まっているようで、特にリングなどのアクセサリー関連は10年前の3倍の値がつくこともあります」

とはいえ、10Kゴールド使用の1950年代のモノでも3~5万円程度。アンティークの美品で話のネタになる(?)と思えば決して高い買い物ではないだろう。アクセサリー類だけでなく、グラスや灰皿といったお土産品的なモノもあって、なかには1800年代なんていう品もあるから、ファンならずともアンティーク好きなら一見の価値があるはずだ。

フリーメイソンで知られるのがこのシンボルマーク。これはコンパスと直角定規で、コンパスは友情、道徳、兄弟愛を、直角定規は誠実、公正、美徳を表すといわれる。真ん中のGはGod(神)、Geometry(幾何学)などの意味が込められているそう。なお、イギリス系の団体はGが入らないことが多い

ちなみに「オールドアート」では冷やかしの客を避けるために、フリーメイソングッズは店の奥の秘密の小部屋に陳列されているので、見たい人はまずはウェブショップを見た上で相談を。

上はアメリカのスーパーマーケット・シアーズのカタログ通販雑誌に掲載されたフリーメイソンのリングの広告。意外と普通に入手できるモノだったようだ。下はフリーメイソンのアイテムを手がけてきたマッコイ社の150周年を記念して作られたカタログ。こうした資料も価格の鑑定時には役立つそう

市場価格を知る!

リングで多いのが10Kゴールドのタイプ。年代や装飾のクオリティにもよるが2万円台後半~5万円程度。ほかにも時計や雑貨、古着と多岐に渡るが、どれも同年代の同じモノと比べてもそれほど高くもないから、アンティーク品として気に入ったデザインを入手するのはオススメといえる。ただレアな一点モノとなると価格は時価となるが、コレクターでない限り深入りしない方がよさそうだ。

リング

アメリカ製ゴシック社のゴールドメンズリング。1950年代製。正面のオニキスにはシンボルマークが装飾されるほか、サイドの彫刻にはダイヤが埋め込まれている。7万8000円
アメリカ製の10Kゴールドリング。大ぶりのブラックオニキス全面を覆うようにシンボルマークがあしらわれた見た目にもインパクトのある1品。1970年代製。4万7800円
フリーメイソンの関連団体であるテンプル騎士団をルーツとしたデモレーインターナショナルの紋章をあしらったリング。非常に凝った作りの希少品。1960年代製。9万2000円
フリーメイソンでは貢献度などによって(詳細は不明)全33の階級が設けられているが、こちらは32階位を示す双頭鷲が刻まれたゴールドリング。1960年代製。6万8000円
アメリカではフリーメイソンと並ぶ代表的な秘密結社であるオッドフェローズの10Kゴールドリング。友愛(Friendship)、愛(Love)、真実(Truth)の頭文字が入る。5万4800円

グラス

アンティークのグラス。グラスにニューオーリンズと1910の文字 が入ることから1910年製のニューオーリンズ支部のものだと思われる。なぜワニなのかは不明。1万4800円
1909年製シュライナーのグラス。ルイズビルとピッツバーグという地名が入る。持ち手部分はアラビア剣で、ステムは4枚の葉をあしらった形になっている。1万2800円
シュライナーのグラス。グラス下部の刻印から1905年6月に製造されたと思われる。アラビア剣の持ち手が3つと場所は不明だが陸橋の絵があしらわれている。1万2800円

アパレル

フリーメイソンの関連団体のひとつで、伝統儀式よりも娯楽性を重視する組織であるシュラインクラブのブルゾン。アメリカらしいデザイン。1970 ~’80年代。1万2800円
シュライナーズクラブの半袖シャツ。タグからパナマの支部の製作と思われる。襟の先端ののアクセサリーや前面に入れられた刺繍など手の込んだ作りになっている。1万2800円
1970 ~’80年代のフリーメイソンシュライナーのナイロンジャケット。衣類に限らずダミー品も多いがこちらは実際にフリーメイソンのメンバーから譲り受けた実物。1万2800円

ウォッチ

ウォルサムの1960年代製手巻きトライアングルウォッチ。ベルトも純正。こちらにもインデックスにはフリーメイソンのシンボマークのほか関連する品があしらわれる。18万円
1950年代のハミルトン製で会員限定品。文字盤のインデックス部分にはシンボルマーク、石工職道具や聖書などがあしわられるほか、針にも装飾が施されている。5万9800円

ユニークグッズ

手紙や書類などに刻印をスタンプするエンボッサー。年代は不明だが年代物なのは間違いない。中央にはシンボルマーク、周りにはスプリンググリーク支部の文字が見える。1万4800円
1970年代製のスズ製のトレイ。フリーメイソンの最高位である33(階位)の数字と双頭鷲が施される。アメリカウェンデルオーガスト社の製品でハンドメイドの逸品。1万4800円
恐らく1980年代製と思われる灰皿。シンボルマークのコンパスは真理、直角定規は道徳を象徴する。中央の「G」は神(God)と幾何学(Geometry)を意味する。9800円
年代や使用目的の詳細は不明だが恐らく聖書をモチーフにしたものだと思われるスタンプ的な品。使い方も不明だが信頼できるコレクターから入手したレアアイテム。ASK

組織としての歴史と風格を感じさせるクオリティの高い品々。歴史が長いだけにアイテムは種類数ともに豊富だが、コレクターも増加傾向で、人気のアクセサリー類は10年前に比べるとその価格は3倍近くになったモノもある。アンティーク品としての価値も考えれば今後も価値は高まっていくといえそうだ。

※情報は取材当時のものです。現在取り扱っていない場合があります。

(出典/「Lightning2021年12月号 Vol.332」)

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