当時の旅行者が堪能したディナー料理 !? 夢のハワイ航路メニューを再現!

19 世紀末から20 世紀初頭にかけて、太平洋に浮かぶハワイ諸島は観光地としての夜明けを迎えた。カリフォルニアとハワイを結ぶ客船航路──マトソンラインが就航し、一躍観光名所として人気を高めたのだ。そんな輝かしい時代を反映させた、ハワイ航路にまつわるデザインのアロハシャツがある。「マッキントッシュのメニュー柄」だ。

昨年、再復刻のリクエストが絶えなかった名作「マッキントッシュのメニュー柄」がサンサーフより再リリースされた際に、せっかくなのでアロハシャツラバーの料理研究家、森野熊八さんに当時のメニューを再現してもらったのがこの企画。ここから当時に想いを馳せてみてはいかがだろう。

料理研究家・アロハシャツ愛好家 森野熊八さん

一流料理人でありながら自らを料理芸人と称するほど、タレントとしても様々なメディアで料理をユニークに伝える伝道師。一方で生粋のアロハシャツコレクターとしての顔ももつ。

再現するのは、1954年2月11日(木曜日)のディナーメニュー!

サンフランシスコとハワイの間を就航していた豪華客船のマトソン・ライン。今回のシャツの柄にもなっている、フランク・マッキントッシュが表紙絵を手がけた船内レストランで使用された歴代のメニュー表の中から、ご家庭でも再現しやすいメニューを森野熊八さんに選んでもらい、再現料理を作っていただきました!

こちらは1930年代から1950年代にかけて、豪華客船マトソン・ライン号の船内にあるレストランにて提供された当時のメニュー表。“メニュー柄”と呼ばれるアロハシャツのモチーフとなった
サンサーフがこれまで復刻してきたヴィンテージアロハシャツの中で、再復刻リクエストが絶えない作品がこの「マッキントッシュのメニュー柄」だ。1930年代に活躍した画家、フランク・マッキントッシュによる独特なデザインが落とし込まれたもので、こちらは1930年代 後半から‘40 年代にかけて使われたメニューの表紙をモチーフに構成。ホノルルのコウモト・ スポーツウエア社からスタートしたブランド「ホオカノ」の実名ラベルで昨年復刻された

料理名と材料(2人分)

新鮮な鱒のアーモンドソテー
・鱒の切り身(または鮭)
・アーモンドスライス
・レモン汁 少々
・小麦粉 適量
・バッター液 適量 ※小麦粉 大さじ3、溶き卵 1 個分、牛乳(または水)大さじ2を混ぜたもの
・白ワイン 大さじ3
・バター(ソテー用)40g
・バター(ソース用)30g
・ニンニク 1 片
・塩 コショウ 適量

きゅうりのドリア
・キュウリ 1 〜2 本
・ニンニク 1/2 片
・バター 20g
・塩 コショウ 適量

キングカメハメハサラダ
・パイナップル1/6個
・マンゴー 1/3個
・トマト(中サイズ)1個
・レタス  2〜3枚
・クレソン 1束
・アンチョビ(フィレ)1枚
・粒マスタード  大さじ1
・レモン汁 大さじ1
・ハチミツ 小さじ1〜2
・オリーブオイル 適量
・塩 コショウ 適量

各メニューの作り方

新鮮な鱒のアーモンドソテー

1. 鱒 に塩・コショウをして小麦粉をつけ、バッター液を全体につけ、スライスアーモンドを全体につけておく。

2. ニ ンニクを縦半分に切ってフライパンに入れ、ソテー用のバターを入れて中火で加熱し、バターが溶けたら、1 の鱒を皮のついていた面を下にして入れ、焼き色がついたら裏返し、バターをかけながら鱒に火を入れる。

3. 2 の鱒を器に盛り付け、フライパンに残ったバターを、ペーパータオルなどで軽く拭き取り、白ワインを入れて軽く煮詰め、ソース用のバターを入れて混ぜ、塩、コショウ、レモン汁で味を調えて2の鱒にかける。

キュウリのドリア添え

1. キ ュウリは食べやすい大きさに切り、ニンニクは薄い輪切りにしておく。

2. フ ライパンにバターと、1のニンニクを入れて中火で加熱し、バターが溶けたらキュウリを入れて軽く炒め、塩、コショウで味を調える。

キングカメハメハサラダ

1. パ イナップル、マンゴー、トマトは、食べやすい大きさに切り、レタスは、食べやすい大きさにちぎり、水にさらして水気を切り、クレソンは、葉の部分を摘み取り、それぞれ冷蔵庫で冷やしておく。

2. ア ンチョビをみじん切りにしてボウルに入れ、粒マスタード、レモン汁、ハチミツ、オリーブオイルを入れて混ぜ、塩、コショウで薄めに味を調えておく。

3. 2 のボウルに、1のトマト、レタス、クレソンを入れて和え、パイナップルとマンゴーを入れて軽く和え、塩、コショウで味を調えて器に盛りつける。

完成!

見た目にも美しい芸術的なルックス。豪華客船で旅行ができるアメリカの富裕層が食していたという時代背景を考えると、それも納得の出来ばえ。

60年以上前のリアルな豪華客船メニューが現代に蘇る!

箸で簡単にほぐれるほどの柔らかさに、アーモンドスライスの食感とバターの香りが食欲をそそるこの逸品。熊八さんは食材選びにも調理法にもポイントがあると話す。

実際にマトソンラインで振る舞われていた料理のメニュー表がこちら。メニューは数多くあるものの、当時の豪華客船ではフランス料理が基本となる。そこで熊八さんには“家庭で再現できる” を念頭におき選択、再現してもらった

「まず家庭で作れると言うことを念頭にこの料理を選びました。その理由のひとつが食材で、実は今回鱒と言いながらも鮭を使っています。と言うのもこれらは元々同じ魚で、卵からかえって海に出て帰ってきたのが鮭、川に留まったのが鱒なんです。ただ産卵の関係で絶対的な数が違うので、手に入れやすい鮭を選びました。あとは刺身で食べられる新鮮なものを使うことも大事。料理に自信がない人ほど使った方がいいですね。そうすれば万が一、中が焼けていなくても安心して食べれます。肉も豚ではなく牛を使った方が生で食べられる安心感があるのと一緒で、食材選びはそういうことを考えるとリスクが減ります」

ソテー後にソース用のバターを最後に振りかければ完成だ!

さらに調理法に関しても当時の面影が色濃く残る方法を教えてくれた。「バッター液というのは最近の料理ではあまり使わないんですよ。ただすごく粘り気があるので衣がよりしっかりつくと言う特徴があるんです。今回魚につけるのはアーモンドスライスでパン粉よりもつきにくいので、とても相性が良いんですね。あと火力は必ず中火にすること。焦げ付かず見た目も綺麗に仕上がります。強火をやめたら料理は失敗しなくなりますよ」

(出典/「Ligthning 2021年8月号Vol.328」)

この記事を書いた人
Lightning 編集部
この記事を書いた人

Lightning 編集部

アメリカンカルチャーマガジン

ファッション、クルマ、遊びなど、こだわる大人たちに向けたアメリカンカルチャーマガジン。縦横無尽なアンテナでピックアップしたスタイルを、遊び心あるページでお届けする。
SHARE:

Pick Up おすすめ記事

【UNIVERSAL OVERALL × 2nd別注】ワークとトラッドが融合した唯一無二のカバーオール登場

  • 2025.11.25

これまでに、有名ブランドから新進気鋭ブランドまで幅広いコラボレーションアイテムを完全受注生産で世に送り出してきた「2nd別注」。今回もまた、渾身の別注が完成! >>購入はこちらから! 【UNIVERSAL OVERALL × 2nd】パッチワークマドラスカバーオール アメリカ・シカゴ発のリアルワーク...

グラブレザーと、街を歩く。グラブメーカーが作るバッグブランドに注目だ

  • 2025.11.14

野球グローブのOEMメーカーでもあるバッグブランドTRION(トライオン)。グローブづくりで培った革の知見と技術を核に、バッグ業界の常識にとらわれないものづくりを貫く。定番の「PANEL」シリーズは、プロ用グラブの製造過程で生じる、耐久性と柔軟性を兼ね備えたグラブレザーの余り革をアップサイクルし、パ...

スペイン発のレザーブランドが日本初上陸! 機能性、コスパ、見た目のすべてを兼ね備えた品格漂うレザーバッグに注目だ

  • 2025.11.14

2018年にスペイン南部に位置する自然豊かな都市・ムルシアにて創業した気鋭のレザーブランド「ゾイ エスパーニャ」。彼らの創る上質なレザープロダクトは、スペインらしい軽快さとファクトリーブランドらしい質実剛健を兼ね備えている。 日々の生活に寄り添う確かなる存在感 服好きがバッグに求めるものとは何か。機...

時計とベルト、組み合わせの美学。どんなコンビネーションがカッコいいか紹介します!

  • 2025.11.21

服を着る=装うことにおいて、“何を着るか”も大切だが、それ以上に重要なのが、“どのように着るか”だ。最高級のプロダクトを身につけてもほかとのバランスが悪ければ、それは実に滑稽に映ってしまう。逆に言えば、うまく組み合わせることができれば、単なる足し算ではなく、掛け算となって魅力は倍増する。それは腕時計...

Pick Up おすすめ記事

今こそマスターすべきは“重ねる”技! 「ライディングハイ」が提案するレイヤードスタイル

  • 2025.11.16

「神は細部に宿る」。細かい部分にこだわることで全体の完成度が高まるという意の格言である。糸や編み機だけでなく、綿から製作する「ライディングハイ」のプロダクトはまさにそれだ。そして、細部にまで気を配らなければならないのは、モノづくりだけではなく装いにおいても同じ。メガネと帽子を身につけることで顔周りの...

2025年秋冬、「ジェラード」から厳選されたヴィンテージモチーフが息づく至高のコレクションが到来!!

  • 2025.12.12

2025年秋冬、ジェラードらしいネイティブアメリカン、ミリタリー、クラシックなワークウエアなど、厳選されたヴィンテージモチーフが息づく至高のコレクションが到来。Lightningがその中からおすすめアイテムを厳選して紹介する。 Salem Coat [Lot No_AG12420] 6年ぶりのリリー...

上野・アメ横の老舗、中田商店のオリジナル革ジャン「モーガン・メンフィスベル」の凄み。

  • 2025.12.04

ミリタリーの老舗、中田商店が手掛けるオリジナルブランド、「MORGAN MEMPHIS BELLE(モーガン・メンフィスベル)」。その新作の情報が届いたぞ。定番のアメリカ軍のフライトジャケットから、ユーロミリタリーまで、レザーラバー垂涎のモデルをラインナップしているのだ。今回は、そんな新作を見ていこ...

時計とベルト、組み合わせの美学。どんなコンビネーションがカッコいいか紹介します!

  • 2025.11.21

服を着る=装うことにおいて、“何を着るか”も大切だが、それ以上に重要なのが、“どのように着るか”だ。最高級のプロダクトを身につけてもほかとのバランスが悪ければ、それは実に滑稽に映ってしまう。逆に言えば、うまく組み合わせることができれば、単なる足し算ではなく、掛け算となって魅力は倍増する。それは腕時計...

決して真似できない新境地。18金とプラチナが交わる「合わせ金」のリング

  • 2025.11.17

本年で創業から28年を数える「市松」。創業から現在にいたるまでスタイルは変えず、一方で常に新たな手法を用いて進化を続けてきた。そしてたどり着いた新境地、「合わせ金」とは。 硬さの異なる素材を結合させるという、決して真似できない新境地 1997年の創業以来、軸となるスタイルは変えずに、様々な技術を探求...