ファッションデザイナー・コシノミチコさんが語る、アロハシャツの魅力。

世界的に知られるファッションデザイナーであり、自身の名を冠した「MICHIKO LONDON KOSHINO」を主宰するコシノミチコさん。実はサンサーフのアロハシャツを愛用しているとの情報をキャッチ。そこでサンサーフの中野さんを交え、ロンドン在住のミチコさんへリモートによるインタビューを敢行。その想いを尋ねてみた。

「MICHIKO LONDON KOSHINO」ファッションデザイナー・コシノミチコさん

1973年に単身でロンドンに渡る。ロンドンを拠点に活動し、自分の名前を取ったブランド「MICHIKO LONDON KOSHINO」を1986年に設立。以来、欧米のみならず、日本を始めとしたアジア諸国へ進出し成功を納める。また世界で初めてとなるファッションブランドのコンドームをデザインするなど、エイズ撲滅活動に貢献。日本人で初めてBFC(英国ファッション協会)の正式会員に選ばれたファッション界のレジェンド

(聞き手)「サンサーフ」企画・アロハシャツ研究家・中野喜啓さん

高校生の頃、初めてヴィンテージアロハシャツと出会い、ハワイ留学の経験を経てライフワークがアロハシャツ一色に。東洋エンタープライズに入社後、サンサーフディレクターの小林亨一氏からアロハシャツの全てを受け継ぐ

コシノミチコとアロハシャツ。

中野喜啓さん(以下/中野) 「この度はよろしくお願いいたします。さて、コシノミチコさんとサンサーフの出会いといいますか、2018年のケオニ・オブ・ハワイを手掛けたドラ石川さんデザインのアロハシャツを愛用されているとお聞きしまして。そのエピソードをお聞きしたいのですが」

コシノミチコ(以下/コシノ  「エピソードというか、ドラちゃん(ドラ石川さん)が、『こんなの作ってるのよ』って言ってアロハシャツを見せてくれたんです。私が『いや~カワイイね~。これ欲しいわ』って言ったらドラちゃんが『オレンジをミチコさんに着てもらおうと思って持ってきました』ってプレゼントしてくれたんです。それから愛用しています」

中野 「そんなことがきっかけだったんですね。愛用頂けてとても光栄です」

ミチコさん愛用のアロハシャツは、2018年のケオニ・オブ・ハワイでリリースされた作品(KEONI OF HAWAII  ILLUSION OF DELUSION “幻色の妄想” by DORA ISHIKAWA)。デザインはグラフィックデザイナーのドラ石川氏が手掛けた。美しいトーニング(ぼかし)で表現されたハワイ上空の柄は、アロハシャツの概念を覆す存在

コシノ 「そう、その一瞬の『わ~! かわいいね~』という感じで一目惚れ。それで色違いはあるの? って尋ねたら、ブルーがあるって言うから、じゃあそれは売ってくださいって色違いのブルーも手に入れました。このアロハシャツを見ていると、ちゃんとしたこだわりの物作りをしているのがわかります。ここの会社(東洋エンタープライズ)、すごい物作りとマーケティングにこだわりをもってやっているんだなと、感激しました」

中野 「まさかの色買い! ありがとうございます。ミチコさんはトップデザイナーとして長年第一線でご活躍されていますが、他者が手掛けた洋服を見ると、物作り側の視点で見てしまうものなんですね」

コシノ 「アロハシャツひとつとっても、物を作る際の、物に対する考え方がすごいなと思いましたね」

デザインする時はまず色を考える。

中野 「デザイナーという視点でアロハシャツを見たとき、例えばここが美しいとか、こういう風に着こなしたいとか、またどういった所に魅力を感じますか?」

コシノ 「私がデザインをする時は、まず、色を考えます。次にテキスタイルを考えて、グラフィック考えていきます。それが一番先にきて、最後にシェイプやデザインに入っていきます。そういった視点でこのアロハシャツを見たので、『わ~、色が良いな』となったんです」

中野 「色がバーンときますよね!

コシノ 「そうそう。それでしかもね、なんというのかな、色のぼかし、トーニングというんだけど、あれはやっぱり今の技術じゃないとできない訳ですよね。古いものをベースにしていても、ちゃんと現代的な技術を取り入れている。それはすごいなと思いました」

中野 「ちなみに愛用されているアロハシャツとセットアップで着用できるマスクを作られたとお聞きしたのですが、それはどういう経緯だったんですか?

コシノ 「コロナのパンデミックが始まったとき、この国(ロンドン)というのはあまりマスクが売ってないわけ。それで自分の作品に長いことずっと使い続けている生地がちょうどマスクにできる生地だったんですよ。だから自粛中のロンドンのアトリエで、毎日自分でカットして、毎日自分で縫って。

それをマスクがない友達たちにダーッと送るわけ。36歳の小さい子供もいるから、みんなに送るの。それがすごく喜ばれてね。『マスクが無くてどうしようと不安に思っていたけど、作ってくれてありがとう!』ってすごくみんなに感謝されたんです。

でもその手作りマスク、私がハサミでカットしているだけだから、使ううちに生地の端が解れてくるわけです。だから『そうなったら洗わないです ぐ捨てて、それでなんぼでも作ってあげるし、送ってあげるから』って言って。そんな経緯でマスク作りが始まりました。だから色がもう十何色とあるのね、色をテーマに作っていたから」

中野 「あの時ってマスクが買えなかったですもんね」

コシノ 「そう、だから作るしかなかった。そこで色を変えたり色使いにしたりとか、いろんな色合いの生地を選んでマスクを作っていて。世界はパンデミックでロックダウンになってみんながつらい時期だったけど、マスク作りがものすごく楽しくて。みんなが嬉しいって言ってくれたこともあって、作ったマスクはあっちこっちに送りました。日本にもたくさんのマスクを送ったんですよ」

中野 「日本にも送られたんですね」

コシノ 「そう、それで友達に、みんなにあげてって配りました」

もしアロハシャツを作るなら?

中野 「なるほど、とても意義のある社会貢献ですね。多色をテーマにしているのも素敵です。ミチコさんがもしアロハシャツを作るなら、どんな色やデザインにします?」

コシノ 「私はテキスタイルデザインもやってますから、私風のテキスタイルにというか。今のファッションの流れを加えたテキスタイルに、スポーツ系を意識したような、そういう感じのアロハシャツにしたいなと思います」

中野 「考え方が面白いですね。僕はアロハシャツって言うとやはり旧きよきハワイのイメージが強いんですけど、そこにスポーツとかファッションの流れを加えるのが新鮮です」

コシノ 「普通のアロハシャツというと、花の大きいハイビスカスのアレを想像するんだけど、ドラちゃんが作ったアロハシャツを見て、『わー、すごい』って思いました。それだったらね、自分が想ったものでアロハシャツができるんじゃないかと思って。それにハイビスカスやヤシの木のデザインはもう沢山あるし、『私がやらなくてもええやん』って(笑)」

中野 「なるほど(笑)。アロハシャツのデザインに今の熱や想いみたいなものを込めるんですね」

コシノ 「そう、しかも時代の流れってありますよね? これからこういう感じの時代の、こういう流れになっていくというのを。それを意識したテキスタイルを考えたい」

中野 「それはすごいアロハシャツになりそう! いつかミチコさんがアロハシャツを作るとき、ご一緒に物作りできたら楽しそうですね。本日は良い刺激をいただき、ありがとうございました!!

アロハシャツの色味と合わせたお手製マスク!

ミチコさんお手製のマスク。未曾有の状況下となった新型コロナウイルスによる感染拡大に対し、自粛の中ロンドンアトリエにて手製のマスクを作りはじめ、各方面へ社会貢献として無償提供をおこなった。愛用するアロハシャツ“ILLUSION OF DELUSION” のカラバリと合わせてセットアップとなるカラーをチョイス。

※この記事に掲載されているアイテムは現在販売されていません。

【問い合わせ】
サンサーフ(東洋エンタープライズ)
TEL03-3632-2321
http://www.sunsurf.jp

(出典/「Lightning 2021年7月号Vol.327」)

この記事を書いた人
ADちゃん
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ADちゃん

ストリート&ミリタリー系編集者

Lightning本誌ではミリタリー担当として活動中。米空軍のフライトジャケットも大好きだけど、どちらかといえば土臭い米陸軍モノが大好物。そして得意とするミリタリージャンルは、第二次世界大戦から特殊部隊などの現代戦まで幅広く網羅。その流れからミリタリー系のバックパックも好き。まぁとにかく質実剛健なプロダクツが好きな男。【得意分野】ヴィンテージ古着、スケートボード、ミリタリーファッション、サバイバルゲーム
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