木工アーティスト直伝! 座れる筋トレ道具用収納ボックスをDIYする!

築50年の平屋を自分好みのテイストにDIYしている木工アーティストの村山じゅんさん。賃貸なので大きな工事はできないが、その分試行錯誤しながら自分の作りたいモノを思いつきでどんどん作れる楽しみがある。そして新たにベンチスタイルの収納ボックスを作るというので、その作り方も教えてもらってきた。

まずは、壁からインテリアまでぜんぶDIYな家を拝見!

4年前、木工アーティストとして独立したときに移り住んできた横須賀。“海の見える家で、サーフボードをシェイプするのが夢”という村山じゅんさんは、築50年の昭和チックな平屋を借りて、趣味であるサーフィンや海をコンセプトに、壁からインテリアまですべて自分で作っている。

玄関を入ると目隠し用の壁がある。これも自分で作ったもので、ギターや文房具、ビーチサンダルなど見せる収納としても活用

賃貸だから壁や床をはがしたりはできない。それゆえ、基の壁から少しだけ離して木材を並べて新しい壁を作り、床も同じように基の床の上に板を並べて好みの床にした。もちろん、収納やソファ、インテリアもすべてお手製。木工アーティストならではの技術とアイデア、そしてセンスを活かし、カッコイイ家具をいとも簡単に作り上げてしまうのだ。

玄関口には、表札からスケートボードインテリア、スマイル、すのこのシューボックスなどを設置。もちろんすべてDIYによる手作り

「独立した当初は、まったくお金がなかったから全部自分で作るしかなかったんだよね。でも、前より自分らしく暮らせている」

サングラスやアクセサリーの収納兼ディスプレイとして制作したサボテン型のインテリア。砂を入れてビーチ風にアレンジしているところもユニークだ

自宅に併設して、アトリエも一から作ってしまった。最初は小さな小屋と外に作業台があるだけだったが、今ではウッドデッキとシャワーまで作るというこだわりよう。必要なものやあったらいいなと思うモノはすべて自分で作る。仕事の合間に、空間作りも楽しんでいるのだ。

キッチンの天井近くにあるブリキのプレートは、購入したもの。「903」は村山さんが木工アーティストとして独立した日だそうだ
Ballのメイソンジャーを使った照明。中にシーサンドを入れたりとアレンジしてもOKだ。優しい柔らかい光に癒やされる
展示会などでもらった花をドライフラワーにしてインテリアにしている。壁や梁など随所にディスプレイして空間のアクセントに

座れる収納ボックスを作ってみよう!

“体が資本!” という村山さんは、最近筋トレに余年がない。そんな筋トレグッズが徐々に増えるにつれ、収納についても考えていた。そこでベンチとしても使える収納ボックスをDIYしてみる。

現在、使用している筋トレグッズは段ボールの箱に収納されている。一応整理はされているけれど、やっぱりカッコ悪い。これをすっきり収納したい!

まずは設計図を描いてみる。置きたい場所を決めてそれに合わせてサイズを設定すると、「あ、出っ張っちゃった……」みたいなことがなくなるぞ。

1.木材をカットする。

使用するのは1×4材。540㎜を16枚、320㎜を8枚をそれぞれ丸ノコでカットする。ホームセンターで購入する場合は、あらかじめカットしてもらうことも可能だ。

2.細かく採寸しつつカットする。

ボックスの高さを335㎜にしたい。1×4材は幅が89㎜なので4枚組み合わせると21㎜オーバーしてしまう。その余分な長さをカットするという細かさ。

3.ボンドで接着。

1×4材のつなぎとして内側に角材(柱)を設置することで強度が増す。長さ335㎜にカットした角材に1×4材を木工用ボンドで装着し、角から15×15㎜のところに印を付ける。

4.ビスを打つ。

ビスを打つ前にビットで穴を開ける。

ビスの頭が木材に埋まるように少し大きなビットでビスの頭分の穴を広げる。

1×4材と角材をビスで留める。木工アーティストならではの細かな作業が光る。

5.ビスで止めながら組み立てていく。

天面以外の面を木工用ボンドで固定しながら1×4材で組み立てていく。ビスを打つときは先に打ったビスが当たらないように、少しずらしながら打つようにしよう。

6.底面も同じように組み立てる。

底面も同じように1×4材で組み立てる。底面は見えない部分なので、例えば木材の色がバラバラな1×4材をここで使用するのがいいだろう。

7.ボディ完成!

側面と同じように、底面も木工用ボンドで固定してからビットで穴を開け、ビスを打つ。これでボディの組立は完了。

8.かんなで削る。

角張った角に丸みを付ける。

木には縦に繊維が入っているので、角に対して真っ直ぐにカンナをかけてしまうとガタガタになってしまう。斜めにカンナをかけるのがポイントだ。

9.サンディングする。

表面をサンディングする。電動サンダーを押しつけながら移動させまんべんなくかけよう。

左側がサンディングをした面で、右側がしていない面。仕上がりが全然違う!

10.紙やすりをかける。

カンナで削った角を紙やすりで滑らかにしていく。これをするとしないとでは、手触りが断然変わってくるので、ぜひ試してみて!

11.蓋を作る。

開閉式の蓋を作る。まず1×4材をつなげるための固定柱を用意。長さは310㎜。4枚の1×4材を並べて端から25㎜ずつ内側に印を付けて、固定柱を設置する場所を決めビスで留める。

12.角を丸くする。

手順8〜10と同じように、角はカンナで丸みをつけて、そのあとサンディングして滑らかにする。仕上げに紙やすりを使ってより滑らかにしていこう。

13.塗装する。

蓋をボディに装着する前に、木の温もりと味わいを引き出すワトコオイルを木目に沿って塗っていく。

その後ウエスを使って余分なオイルを拭き取る。ダークウォルナットを使用。

14.キャスターを蝶番を取り付ける。

底面にキャスターを装着する。キャスターは前2個を回転式に、後ろ2個を固定式にするとスムーズに動く。

次に蓋とボディを蝶番で繋げる。今回使用したのはウエスタン蝶番。

15.蓋の仕上がりをチェック。

蓋を制作するときのポイントは、開けるときに指が引っかかるように、少しだけボディからはみ出るくらいのサイズ感にすること。この少しの気遣いが開閉をしやすくする。

16.ペイントするためトレースする。

仕上げに文字をペイントをしてみる。あらかじめプリントしておいた文字入りの紙をマスキングテープで留め、その下にカーボン用紙をセットし、鉛筆で文字をなぞる。

17.ペイントする。

蓋に文字が転写されるので、好みの色を筆を使ってペイントしていく。

手作り感も加わって、いい感じの仕上がりに!

完成!

無造作に置かれた筋トレ道具もすっきり収納できた。

(出典/「Lightning 2020年9月号 Vol.317」)