モトクロスが流行した’60年代〜’70年代の「シュウィン」の自転車がいま気になる!

ヴィンテージ自転車のシーンでは不動の人気を誇るSCHWINNだが、その中でも今注目したいのがアメリカのモトクロスブームと共に誕生したスクランブラー。オールドスクールなスクランブラーで都会を軽快に駆け抜けるスタイルに注目!

ストリートに溶け込む、シュウィンのスクランブラー。

近年のストリートの自転車事情を考えると、移動ツールの性能としてはロードバイクが主流だが、都会的なファッショニスタたちにはコンパクトで扱いやすいオールドBMXが人気の様子。

スティングレイをオフロード仕様にカスタムしたスクランブラー。(※実際に公道で乗る場合は前後ブレーキの装着が必要になります)

そこでいま新たに注目したいのが、ヴィンテージ自転車の専門ショップ、スクリーミングウィールズが密かに提案するシュウィンのスクランブラーだ。BMXのルーツと言われるもので、’60年代中頃、バイクのモトクロスブームと同時にスティングレイをダート仕様にモディファイするスタイルが誕生。

それは瞬く間にストリートに浸透し、シュウィンの後の純正モデルにも反映された。それほどスクランブラーは大きなムーブメントとなったのだ。

クラシカルなファッションとの相性も良く、軽快な操作性を持つシュウィンのスクランブラーが都会派コミューターのネクストスタンダードになる予感!?

今回お話を伺ったのは・・・「スクリーミンウィールズ」代表・井上秀明さん

井上さんの周りでは今スクランブラーが流行中だと言う。ベースボールシャツを主役としたスポーティなコーディネイトが、クラシカルなスクランブラーによく似合う。

1969 Schwinn Sting-Ray”Scrambler Custom”|時代感を忠実に守り、当時の流行を蘇らせるカスタム。

’60s〜’70sに流行したスティングレイベースのスクランブラーカスタムを再現したスタイル。おそらく当初は親子でダート遊びをするために子供用の自転車を改造したものだと思われるが、大衆に浸透し、メーカーがストリートの流行を取り入れる足がかりとなった。スティングレイのシルエットを崩すことなく、パーツ単位のカスタムで完成させられるのも魅力だ。

スクランブラー用のフロントフォークに装着したハンドルは、補強のブレースバーにSTレーシングのパッドを備えた オフロード仕様。ハンドルだけでも雰囲気は大きく変わる
ダートでは着座位置を変更できるフラットなシートが最適。このシートは’80年代のシュウィン・ハリケーンから流用
スティングレイのホイールは28本スポークだが、BMXに合わせて36本スポークに変更し、耐久性を高めている
スプロケが別体のクランクは、コースに応じてギア比を素早く変えるためのレーシングパーツだ

アメリカのカスタムショップ、RICK’S BIKE SHOPが製作した旧い写真を使用したカレンダーの5月のページにはスクランブラーにカスタムしたスティングレイに乗る若者の姿が映っている。Rick Twomeyというフォトグラファーの写真で、’70年代に撮影したものだと思われる

1976 Schwinn Scrambler|ストリートの流れを汲んで登場したファクトリーカスタム。

先述のスクランブラーブームをメーカーが読みとって、ダート仕様の装備を持つ純正モデルとして1975年に登場したスクランブラー。ノーマルのままでスタイリッシュなフォルムとスポーティなスペックを併せ持つマシンとして人気を博した。18万1440円

バナナシートとシッシーバーはスクランブラーの専用パーツ。
ブロックタイヤを純正装備。こちらもスクランブラーの専用設計。
センターブレース付きのハンドルがダートスタイルの象徴。
メインフレームにはSCRAMBLERのデカールが残る

純正カタログに掲載されるスクランブラー。左ページの’77年式クルーザーと比べると、ハンドルの仕様 やタイヤの変更がスタイルの肝となっていることがわかる

1979 Schwinn Harricane|5速ギアでツールとしての性能を高めたストリートスクランブラー。

スクランブラーの後継モデルとして、1978年にデビューしたハリケーン。最も大きな変更はステム部分にシフトが取り付けられ、5速ギアが採用された点。オフロード走行ではなく、ストリートでの性能を意識したアップデートが施された。19万4400円

日本のシマノ製5速ギアを流用。ダートレースでは5速は必要ないためダートスタイルを公道に落とし込んだモデルであることがわかる
スクエアに近い形状のフラットシートはハリケーンの専用設計

1970年代後半の純正カタログにはダート仕様のハンドルやフォークなど、スクランブラーにカスタムするためのアフターパーツが掲載されている

シュウィン、オールドBMXを扱う頼れるスペシャルショップへ。

シュウィンを始め、アメリカ製のオールドBMXやクワハラなどヴィンテージを多数取り扱うスクリーミンウィールズ。販売車両に加えて、アフターパーツも豊富に揃えるのでカスタムのオーダーも可能だ。

店内にはヴィンテージのカスタムパーツが所狭しと吊り下げられている。モーター系のメーカーの旧いステッカーやパッチを豊富に揃えているのも魅力だ。

スクランブラーを象徴するブレースハンドルをモチーフとしたユニークなグラフィックのオリジナルのTシャツは、まさに今の気分にピッタリ。各3240円

【DATA】
スクリーミンウィールズ
東京都目黒区上目黒2-37-12 ブラウンエイト 1F
TEL03-6303-2985
営業/12:00〜20:00
休み/月曜
http://screaminwheels.com

(出典/「Lightning 2019年6月号 Vol.302」)

この記事を書いた人
サカサモト
この記事を書いた人

サカサモト

アメカジ系動画ディレクター

Lightning、2nd、CLUTCH Magazineの公式YouTubeチャンネル「CLUTCHMAN TV」のディレクター。元Lightning副編集長ということもあり、クルマ、バイク、ミリタリーなど幅広い分野に精通。現在はもっぱら動画作成機材に夢中。ニックネームは、スキンヘッドにヒゲ面をいう「逆さ絵」のような顔に由来する。
SHARE:

Pick Up おすすめ記事

【UNIVERSAL OVERALL × 2nd別注】ワークとトラッドが融合した唯一無二のカバーオール登場

  • 2025.11.25

これまでに、有名ブランドから新進気鋭ブランドまで幅広いコラボレーションアイテムを完全受注生産で世に送り出してきた「2nd別注」。今回もまた、渾身の別注が完成! >>購入はこちらから! 【UNIVERSAL OVERALL × 2nd】パッチワークマドラスカバーオール アメリカ・シカゴ発のリアルワーク...

今っぽいチノパンとは? レジェンドスタイリスト近藤昌さんの新旧トラッド考。

  • 2025.11.15

スタイリストとしてはもちろん、ブランド「ツゥールズ」を手がけるなど多方面でご活躍の近藤昌さんがゲストを迎えて対談する短期連載。第三回は吉岡レオさんとともに「今のトラッド」とは何かを考えます。 [caption id="" align="alignnone" width="1000"] スタイリスト・...

グラブレザーと、街を歩く。グラブメーカーが作るバッグブランドに注目だ

  • 2025.11.14

野球グローブのOEMメーカーでもあるバッグブランドTRION(トライオン)。グローブづくりで培った革の知見と技術を核に、バッグ業界の常識にとらわれないものづくりを貫く。定番の「PANEL」シリーズは、プロ用グラブの製造過程で生じる、耐久性と柔軟性を兼ね備えたグラブレザーの余り革をアップサイクルし、パ...

【ORIENTAL×2nd別注】アウトドアの風味漂う万能ローファー登場!

  • 2025.11.14

これまでに、有名ブランドから新進気鋭ブランドまで幅広いコラボレーションアイテムを完全受注生産で世に送り出してきた「2nd別注」。今回もまた、渾身の別注が完成! >>購入はこちらから! 【ORIENTAL×2nd】ラフアウト アルバース 高品質な素材と日本人に合った木型を使用した高品質な革靴を提案する...

決して真似できない新境地。18金とプラチナが交わる「合わせ金」のリング

  • 2025.11.17

本年で創業から28年を数える「市松」。創業から現在にいたるまでスタイルは変えず、一方で常に新たな手法を用いて進化を続けてきた。そしてたどり着いた新境地、「合わせ金」とは。 硬さの異なる素材を結合させるという、決して真似できない新境地 1997年の創業以来、軸となるスタイルは変えずに、様々な技術を探求...

Pick Up おすすめ記事

グラブレザーと、街を歩く。グラブメーカーが作るバッグブランドに注目だ

  • 2025.11.14

野球グローブのOEMメーカーでもあるバッグブランドTRION(トライオン)。グローブづくりで培った革の知見と技術を核に、バッグ業界の常識にとらわれないものづくりを貫く。定番の「PANEL」シリーズは、プロ用グラブの製造過程で生じる、耐久性と柔軟性を兼ね備えたグラブレザーの余り革をアップサイクルし、パ...

時計とベルト、組み合わせの美学。どんなコンビネーションがカッコいいか紹介します!

  • 2025.11.21

服を着る=装うことにおいて、“何を着るか”も大切だが、それ以上に重要なのが、“どのように着るか”だ。最高級のプロダクトを身につけてもほかとのバランスが悪ければ、それは実に滑稽に映ってしまう。逆に言えば、うまく組み合わせることができれば、単なる足し算ではなく、掛け算となって魅力は倍増する。それは腕時計...

着用者にさりげなく“スタイル”をもたらす、“機能美”が凝縮された「アイヴァン 7285」のメガネ

  • 2025.11.21

技巧的かつ理にかなった意匠には、自然とデザインとしての美しさが宿る。「アイヴァン 7285」のアイウエアは、そんな“機能美”が小さな1本に凝縮されており着用者にさりげなくも揺るぎのないスタイルをもたらす。 “着るメガネ”の真骨頂はアイヴァン 7285の機能に宿る シンプリシティのなかに宿るディテール...

この冬買うべきは、主役になるピーコートとアウターの影の立役者インナースウェット、この2つ。

  • 2025.11.15

冬の主役と言えばヘビーアウター。クラシックなピーコートがあればそれだけで様になる。そしてどんなアウターをも引き立ててくれるインナースウェット、これは必需品。この2つさえあれば今年の冬は着回しがずっと楽しく、幅広くなるはずだ。この冬をともに過ごす相棒選びの参考になれば、これ幸い。 「Golden Be...

スペイン発のレザーブランドが日本初上陸! 機能性、コスパ、見た目のすべてを兼ね備えた品格漂うレザーバッグに注目だ

  • 2025.11.14

2018年にスペイン南部に位置する自然豊かな都市・ムルシアにて創業した気鋭のレザーブランド「ゾイ エスパーニャ」。彼らの創る上質なレザープロダクトは、スペインらしい軽快さとファクトリーブランドらしい質実剛健を兼ね備えている。 日々の生活に寄り添う確かなる存在感 服好きがバッグに求めるものとは何か。機...