薄さの中に、クリエイティブのための性能が詰まっている
iPad ProにM5搭載モデルが用意された。M4の時はiPad Proだけが先に搭載して、約半年後になってようやくMacBook Proシリーズが登場したが、今年は、MacBook Pro、Vision Proと一緒にM5を搭載しての登場である。
ある意味多くのMacを凌駕するパワーを搭載しているので、絵を描くにせよ、動画を編集するにせよ、まったく不足はないモデルといってもいいだろう。何百枚のレイヤーを重ねたPhotoshopファイルや、ProRAWの8K動画でも編集できるパフォーマンスだから、クリエイティブの最強マシンだといえる。
ただし、お値段もそれなりで、11インチモデルは16万8800円から、13インチモデルは21万8800円から。それぞれ256GBモデルの価格なので、クリエイティブワークに必要な容量を確保し、Apple Pencil Pro、ケースなどを買い、念のためにアップルケアに入ると、すぐに30〜50万円の買い物になる。まさにプロ向けのモデルだ。
タンデムOLED搭載で美しく高精細なUltra Retina XDRディスプレイ、4スピーカーオーディオ、背面の1200万画素カメラ、表面の1200万画素センターフレームカメラ、最大10時間のWi-Fiでのインターネット利用、ビデオ再生など、なにもかも申し分ない。
グラフィック描画とAI処理の性能をさらに向上
さっそく、Geekbenchにかけて、ひとつ前のiPad Pro(M4)、そして現行のiPad(A16)、iPad mini(A17 Pro)、iPad Air(M3)の性能を計測してみよう。ちょうど、それぞれチップセットが異なるので大変わかりやすい。
右側の3台はそれぞれ、M3、M4、M5なので、性能の推移が非常にわかりやすい。対して左側の2台は、iPhoneのチップセットをベースとしており、iPhoneの性能の高さもよく分かる結果だ。
こうやってグラフにしてみると、パフォーマンスの違いがはっきりする。
同じiPadでも、小学校などでも使われるiPad(A16)と、iPad Pro(M5)にはここまでの差があるのかと思うとちょっと驚く。しかし、iPad(A16)でも日常使用にはまったく不足がないのだから、いかにM5に高い性能が奢られているかよくわかる。
GPUだとさらに差が広がる。M4の計測値がちょっと低く出てしまっていた可能性もあるが(計測時の状況によって、多少増減するので)、それでもM5はグラフィック性能に秀でているのは確かだろう。
次は、ローカルで動作したAIのパフォーマンスを判断するためにNeural EngineをGeekbench AIで計測した。
ここでは、特に量子化の数値において、M4とM5が群を抜いていることがよくわかる。この2モデルがApple Intelligenceが発表されてから発売されたので、やはりAIのニーズが明確になってから、Neural Engineの開発により力を入れたということなのだろう。ここでも、iPad Pro(M5)の性能の高さは際立っている。
外部ディスプレイでも複数ウインドウを操作可能
現行iPadは外部ディスプレイをサポートしているので、Studio Displayに繋いでみた。この状態では、キーボードとマウスが必要になる。
Photoshopの場合は、外部ディスプレイが全体を常時見るためのディスプレイとして機能して、iPad Pro側で作業をするような画面分割になる。
最上位の価格と性能。『高すぎる』と思う人にはiPad Airもお勧め
薄さと性能の高さから、クリエイティブに携わる人にとっては必需品だといえる。最初にも述べたが、お値段の高さだけが気になるところだが……現状の円安が続いている限り、仕方のないところ。
先鋭的な性能が必要でなければ、iPad Air(M3)を買うのもひとつのチョイス。こちらはM3チップを使いながら価格が抑制されているところが素晴らしい。また、こちらも11インチモデルと、13インチモデルが用意されている。
クリエイターとして、日々、ヘビーにiPadを使う人なら、やっぱりiPad Proの性能の高さは心強いだろう。従来のM4との差をかんがみても、iPad Pro(M5)は、『買い』な製品だと思う。
(村上タクタ)
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