背景にあるのは、アメリカのF1人気
もともと、アメリカではオーバルトラック(バンクを持つ楕円のコース)でのレースが一般的で、複雑なコースを持つF1のレースは不人気だった。F1はFIA(国際自動車連盟)がフランスにあり、多くのチームの本拠地がイギリスにあることからも分かるように、基本的にヨーロッパ大陸を中心としたレースだった。
だから長らくアメリカでは人気がなく、古くからのF1ファンには、閑古鳥が鳴くアメリカGPを「空いていて羨ましい」と思った経験を持つ人も多いと思う。しかし、近年FOM(Formula One Management=F1世界選手権の放映権管理・マネジメントなどを統括する)をリバティメディアが買収して以来、アメリカでのF1人気はうなぎ登り。
今年(2025年)も、一国一レースの前提を曲げて、アメリカではマイアミGP、アメリカGP、ラスベガスGPの3戦が開催されるし、HAASというアメリカ国籍のチームはあるし、来年からはキャデラックも参戦するというほど、アメリカでのF1人気は盛り上がっている。現在はアメリカ人ドライバーはいないが、当然近いうちにスポンサーの意向を受けてアメリカ人ドライバーの参戦もあることだろう。
アメリカGPにティム・クックが行っているかも?
アップルが今日このニュースを発表したのは、今日から第19戦のアメリカGPが、テキサス州のサーキット・オブ・ジ・アメリカズで開催されるから。このタイミングでの発表は、レースをおおいに盛り上げるだろう。
もしかしたら、現地にティム・クックCEOが行って発表を行ったり、チェッカーフラッグを振ったりなんていうことも行われるかもしれない。
もちろん、この契約は、今年放映された『F1 The Movie』の成功を受けてのことだが、もしかしたらこの放映権獲得がメインで、あの映画はApple TVでのF1放映の呼び水だったのかもしれない。
アップルの発表によると『Apple TVはF1を包括的に配信し、すべてのプラクティス、予選、スプリントセッション、グランプリをApple TV加入者に提供します。また、一部のレースとすべてのプラクティスセッションは、シーズンを通してApple TVアプリで無料で視聴できます』となっているので、予選と決勝は有料配信なのかもしれない。
Apple News、Apple Maps、Apple Music、Apple Fitness+でも関連コンテンツが提供され、 iPhone向けの無料アプリ「Apple Sports」では、シーズンを通して各グランプリの予選、スプリント、決勝のライブアップデートに加え、リアルタイムのリーダーボード、シーズンドライバーとコンストラクターの順位表、ロック画面でフォローできるライブアクティビティ、iPhoneのホーム画面用専用ウィジェットが提供されるとのこと。
となると気になるのが、日本での配信だが……今回の発表は『アメリカでの独占放映権を獲得』だから、日本は関係なさそう。
従来通り、日本での放映はDAZNとフジテレビNEXTなのか? 日本のApple TVでも見られるのかどうか? については、今のところ情報はない。普通に考えると、契約は国ごとに厳しく制限されるだろうから、日本のApple TVで見られる可能性は低いと思うが……どうなるか、見てみよう。
大ヒットとなった映画『F1/エフワン』は、12月12日からApple TV契約者は無料で見ることができる。
(村上タクタ)
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