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3万9800円の本格Polaroidカメラ『Polaroid Flip』試してみた

Polaroidから新型『Polaroid Flip』が登場した。同社といえば、高度な機能を満載したPolaroid I-2が記憶に新しいが、Polaroid Flipは、必要な機能を搭載しながら、シンプルな使い勝手を維持しているのが特徴。’80年代の同社製品を思い出させるストロボ部分がフリップアップするデザインを採用している。価格は3万9800円とリーズナブル。

Polaroid Flip Instant Camera
https://vistalvision.jp/pages/polaroid

高性能なI-2より、ずっと手軽な感じが魅力なPolaroid Flip

中高年には’70〜80年代の懐かしい空気感。若者には初期のインスタが現実になったエモさ(実際には順序が逆だが)で、人気のPolaroid。

2000年代にはデジタルカメラの普及などによって、一度は経営破綻したPolaroid。しかし、有志ファンの活動『The Impossible Project』により、オランダのポラロイド工場が救われ、ポラロイドカメラのためのフィルム製造は続けられた。これにより、従来製造されたポラロイドカメラはかろうじて使用し続けることができた。その後、2017年に同社は『Polaroid Original』として復活。新しい製品ラインナップを構築しつつある。日本での公式輸入代理店はVISTAL VISION。

先にレポートしたI-2はオートフォーカスやフルマニュアル撮影など高度な機能を搭載しているが、お値段は12万9800円と少々高価。

新時代のポラロイドカメラ『Polaroid I-2』、4月24日12時にクラファンに登場

新時代のポラロイドカメラ『Polaroid I-2』、4月24日12時にクラファンに登場

2025年10月17日

対して、今回発売されたPolaroid Flipは一部簡素化されてはいるものの、Polaroidらしい、気軽でラフな撮影、その場の温度や湿度などに影響される『手触り感』が重視されている。そりゃ、いろいろ考えるとI-2の方が高機能なんだが、『Polaroidって、もともとこういう気軽なものでしょ?』というラフさがPolaroid Flipの魅力だ。円安の中、3万9800円という値段を実現してくれたのも嬉しい。

『手軽』にするためのユニークなメカニズム

説明をして下さったのは、ハードウェアディレクターのWilliam Duffy杜飛さん。アイルランド出身で、現在台湾の台北でPolaroidのハードウェアの開発チームを率いている。

Polaroid Flipが目指したのは究極に使いやすい『インスタントカメラ』。

複雑な操作なく撮影できて、それでも充分に楽しめるクオリティの写真が仕上がること。

そもそも、古いPolaroidを使ったことのある人はご存知のように、当時のPolaroidの写真は当たり外れが多かった。つまりは、暗いと真黒になったり、ストロボを飛ばすと真っ白になったり、ピントが外れすぎだったり。

それを、ほどほどの当たり度合いにする仕組みを持っているのが本機だ。特徴的なフリップカバーはレンズを守ると同時に、本体をラフに首から下げたり、バッグに突っ込むことを許容してくれたりする。内蔵されている大型のストロボは1灯で、距離を問わず均質な光を提供することを目標に設計されており、対象物までの距離や、周囲の明るさに応じて、自動で光量を調節してくれる。

ユニークなのは4枚のレンズをリボルバー式に回転させて使う仕組みだ。

多くのPolaroidはパンフォーカスというどこにも漠然とピントが合うような構造。裏返すと、全域で漠然としか合焦しない。対してI-2はオートフォーカスを内蔵しているが、そのために高価になってしまっている。

対して、Polaroid Flipは4枚のレンズを切り替えることで、それなりにピントが合っている場所を増やす構造になっている。具体的には、65cm、85cm、120cm、250cmにピントが合うレンズが自動的に切り換わるという仕組み。ピッタリ合う距離以外も、それなりに合っている……という大ざっぱな仕組みだ。

普段、瞬時に、mm単位で合焦する最新カメラを使っていると、なんとも大ざっぱな仕組みだと思ってしまうが、だからこそ生まれる作品性というものもある。これがカメラの面白いところだ。

フリップした部分には小さなディスプレイが設けられており、バッテリー、ストロボ発光などの状態を目視できる。また、スマホアプリを連携させれば、手動でフォーカスレンジを切り替えたり、絞りやシャッタースピードを変えたり、二重露光を行なったりできる。

フリップ構造は’80年代のPolaroid 660や、Cool Cam 600をモチーフにしているそうだ。閉じれば塊感のある持ち運び用の形態になり、開けばレンズ、測距装置、ストロボなどが表に出る。良いアイデアだ。

あまり『エモいカメラ』には興味のない筆者だが、これは欲しいと思った。撮ったり撮られたりしているうちに、つい笑顔になるカメラだ。筆者も撮ってもらった(塩澤一洋さんありがとうございます)。

唯一の問題は、フィルムがお安くないことかなぁ……。たくさん売れて、フィルムの値段が手ごろになればいいのになと思う。

(村上タクタ)

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村上タクタ
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村上タクタ

おせっかいデジタル案内人

「ThunderVolt」編集長。IT系メディア編集歴12年。USのiPhone発表会に呼ばれる数少ない日本人プレスのひとり。趣味の雑誌ひと筋で編集し続けて30年。バイク、ラジコン飛行機、海水魚とサンゴの飼育、園芸など、作った雑誌は600冊以上。
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