青春再び! 『湘南爆走族POP-UP ―走り屋たちの帰還祭 Since 1982―』吉田聡先生にインタビュー!

1980年代に一世を風靡した青春漫画『湘南爆走族』が、全国3都市で開催されるPOP-UP STORE『湘南爆走族POP-UP ―走り屋たちの帰還祭 Since 1982―』として帰ってくる! オリジナルグッズや複製原画展もあって、ファンなら胸アツの内容だ。作者の吉田聡先生は「地上波でアニメ化もされず、口コミだけで広まったんですよ」と当時のことを振り返る。藤沢で描いていた頃の話や、原画に込めた色のこだわり、POP-UP STORE限定グッズの制作裏話まで、40年経っても色あせない“湘爆”の世界を語ってくれた。

※吉田聡の「吉」は正しくは「土」「口」


(C)Satoshi Yoshida

読者が育てた伝説の青春漫画

Q. 今回、POP-UP STOREが開催されるということで、これは作品が長く愛されている証ですよね。

おっしゃる通りですね。『湘南爆走族』は地上波でアニメ化されたことがないんですよ。当時は口コミだけで広まった作品なんです。オリジナルビデオアニメは作っていただきましたが、地上波ではスポンサーがつかなかった。バイクメーカーはテレビCMをほとんど流さないし、PTAの“三ない運動”の影響も大きかった。タイトルだけで『とんでもない漫画だ』と敬遠されることもありました。本当に読者の方々が口コミで広めてくれたおかげで、ここまで来られたと思っています。

Q. 広まり方がよかったんですね。

そうなんです。連載誌自体の売れ行きが、ものすごく良くなくて。だから本屋さんに置いてないんですよ。友達に『お前の本、どこで売ってんだよ』って言われるくらいで(笑)。デビュー当時だから、描かせてもらえる舞台があること自体はありがたいはずなんですけど、『次のチャンスをなんとか掴まなきゃ』って必死でしたね。しがみついてでも続けなきゃと思ってました。

Q. POP-UP STOREではたくさんの複製原画が展示されます。見どころを教えてください。

見どころといえば全部かな(笑)。1巻を描いていた頃は藤沢の団地に住んでいて、デザインの学校に通いながら色を塗っていたんですけど、当時、先生に『お前、クスリやってんだろ』なんて言われたこともある(笑)。顔も普通に肌色で塗るのは面白くないから、ピンクで塗ったりとかしてましたね。

(C)吉田聡

Q. 素面じゃ描けないような色づかいですね。

地元の友達で東京芸大に行ったやつがいて、彼にいろんな塗り方を教わったんです。「汚い色なんてない。隣に置く色次第で、汚くも綺麗にも見えるんだ」って言われて、その言葉がすごく響きましたね。「SKIN HEADの憂鬱」(電子版9巻第4話)の扉絵なんかは、最初は赤や黄色のポスターカラーで塗っていたんですが、気に入らなくて全部黒の墨汁で上から塗り潰しちゃった。それでも納得いかなくて、コンパスの針でガーッと削ったら下の色が出てきて……偶然だけど、まるで岡本太郎の“爆発”みたいになったんです。

(C)吉田聡

それから麻雀をやっていて気づいたこともあって。麻雀卓って緑色でしょ。ずっと打っていると、真っ白な壁がピンクに見えてくる。あれが補色なんですよ。緑にピンクを混ぜるとグレーになる。そういうのを麻雀から学んだんです(笑)。

Q. 伺っていてちょっと勉強になった気がします。

そうやって、“あれ?”って思いながら覚えていくもんなんですよ。だから見どころって聞かれると、そういう“気づきの積み重ね”ですかね。

Q. 連載って基本モノクロだから、たまに巻頭カラーを見ると、“この人のカラーはいいな”って思う時と、“ただ色がついただけだな”って感じる時があります。

それは学校教育の影響が大きいんじゃないかな。無難に肌色で塗りましょう、とかね。ちょっと脱線しますけど、小学校2年くらいの頃にね、家の近所にもまだ原っぱがたくさんあって、そこで大学生くらいのお兄ちゃんが油絵を描いていたんです。すすきの野原に、太陽を描いていて。俺が「お兄ちゃん、そこに太陽なんてないよ」って言ったら、「いいんだよ。俺の中にはあるんだ」って。それを聞いた時は本当に衝撃でした。「太陽がそこにあるから描くんじゃない、自分の中にあるから描くんだ」って。スゲェこと言うなって思った。でも学校に行くと「上手に塗れましたね」なんて言われるでしょう。俺、小学生の時に鉛筆で描いた絵が市の展覧会に出されそうになったんだけど、結局「ダメだ」って言われたことがある。特に色に関しては劣等生だった。でも俺は“ない太陽”を描けた。見えなくても、そこにあると思ったものを描く。それが子どもの頃の原体験なんです。学校では絶対に評価されないことですけどね。そういう体験があるから、いま原画を見ると“ヘタウマ”みたいな味わいを自然に出そうとしている部分があるのかもしれません。

初モノづくしのPOP-UP STORE限定グッズ

Q. POP-UP STOREで販売されるアクリルスタンドは、それ用に画を描き下ろしされたとのことですが、出来上がりを見ていかがでしょうか?

湘爆はね、これいつも“塊”で描くんですよ。バラバラでは描かない。5人の配置も決まっていてね。これを1人ずつ描こうとすると、まずマルの足が長くなってしまう(笑)。漫画にはコマがあるから、足を描かなくて済む場面も多いんです。でも、個別に描いて全員並べるといろいろと不都合が出てきちゃう。だから塊で描くんですよ。なので今回は描くの難しかったね(笑)。

アクリルスタンド5種 (C)Satoshi Yoshida

Q. じぇんとる麺のアクスタについては?

これは描くの楽しかったです。めちゃくちゃ可愛い。これは大人の皆さんが飾っても、奥さんに怒られないんじゃないですか(笑)。よくできていますね。

アクリルスタンド 茂岡 義重
(C)Satoshi Yoshida

Q. 作中のラーメンがカップ麺になりました!

漫画家の夢ですよ。HIKAKINみたいじゃない?(笑)。最近のカップ麺ってどれも美味しい。日本のカップ麺市場って今、黄金時代なんじゃないかな。それはともかく40年前の自分には信じられないね。「40年後、お前は湘爆のことでインタビューを受けて、シゲのラーメンの話をしているぞ」って(笑)。でも幸せなことです。頑張ってきてよかった。

「じぇんとる麺」のシゲさん特製醤油ラーメンやどんぶり、粗品タオルも!

Q. さて、開催場所は横浜となんば、そして博多もあります。

そうなんですよ。僕、湘南出身って言ってますけど、生まれそのものは博多、九州なんです。2歳のときに湘南に引っ越したんですよ。

Q. 今回の開催も、マルイさんから快諾いただいたとか。

恐れ多いですね。こうして声をかけていただけるなんて、ホントにありがたい。身にあまる思いです。

Q. では最後に、開催に向けてのお気持ちを聞かせください。

そうですね。ありがたいことですね。ホントに感謝してます。皆さんのおかげ。ありがたいことです……って、それだけじゃダメかな(笑)。

インタビューのあと、「面白い漫画を描いてお返ししますんで」と笑顔で語ってくれた吉田先生。感謝の気持ちを繰り返し口にする姿からは、作品を長く愛してきたファンへのまっすぐな思いがにじみ出ていた。

『湘南爆走族POP-UP ―走り屋たちの帰還祭 Since 1982―』

2025年11月1日(土)〜11月9日(日)
会場:マルイシティ横浜 4F イベントスペース
住所:神奈川県横浜市西区高島2-19-12

2025年11月28日(金)〜12月7日(日)
※最終日のみ17:00営業終了
会場:なんばマルイ 7F イベントスペース
住所:大阪府大阪市中央区難波3-8-9

2025年12月12日(金)〜12月21日(日)
会場:博多マルイ 5F イベントスペース
住所:福岡県福岡市博多区博多駅中央街9-1

「湘南爆走族 POP-UP -走り屋たちの帰還祭 SInce 1982-」特設サイト

POP-UP STORE限定グッズをいくつかご紹介!

湘爆の象徴、ワンスターをあしらったシャワーサンダル
こちらはフタ付きのタンブラー
ピンバッジもあるぞ!
合皮キーホルダーは愛車のキーにもどうぞ!
エアーフレッシュナーはクルマやお部屋に!
チームステッカーのビッグタオル。エアーフレッシュナー同様、4種あり!
会場購入限定特典のショッパーはもちろん描き下ろしの5人!
この記事を書いた人
昭和40年男 編集部
この記事を書いた人

昭和40年男 編集部

1965年生まれの男たちのバイブル

『昭和40年男』は、昭和40年(~41年3月)生まれの男性のための情報誌。誌面では同年齢の活躍を紹介したり、そろそろ気になってくる健康面をサポートする記事の他、かつて夢中になったあれこれを掘り下げる記事を多数掲載!「故きを温ね新しきを知る」──本誌は、昭和40年生まれのための温故知新を提供できる存在になるべく、「ノスタルジックな想い出が呼ぶ共感」を「明日を生きる活力」に変えることを命題に誌面づくりに奮闘中!!
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