「趣味の文具箱」編集長・清水のつぶやき<第2回>これが万年筆の本当の魅力だ!

好きな理由は言葉にできない。
好きな度合いが深いほど、好きを表す言葉はどんどん離れていく。
趣味の雑誌は、それでも言葉(やイメージ)でその趣味の楽しさを表現しようと努め、読者の「好き」に寄り添っていく。

雑誌「趣味の文具箱」は、文房具の楽しさや大切さを語り続けている。ここでは「万年筆の魅力」について、趣味の文具箱が語ってきた言葉を、4回に分けて紹介しよう。

第2回は「多彩なペン先と万年筆インク」について。

万年筆のペン先は、その形や厚み、材質、先端の切り割の長さなどの違いで、微妙にしなり具合が違う。このペン先の状態に、軸の太さ、重心、重さ、握る位置や筆圧などの条件が加わることで、書き味は多様に変化する。さらに、ペン先の加工(めっきなど)によっても、握った時の手の皮膚に伝わる感触が異なってくる。万年筆のペン先やインクを流れ出す構造はとても繊細なので、自分の書き方や持ち方に合った万年筆選びは、とても奥深いものになる。

この奥深い万年筆の筆致を多彩に演出してくれるのが「万年筆インク」の存在だ。インクの色数はとても増えている。水濡れや褪色に強い顔料インクも増えている。またキラキラした粉末が入っているラメ入りインクなども登場している。インクの選択肢が増えることで、万年筆の軸の色や柄とのコーディネートを工夫する楽しみも無限大に広がっていく。透明なスケルトン軸にインクを入れれば、書く時以外でもインク色を視覚的に楽しめ、インクを大人っぽく遊ぶスタイルも多様に広がっている。

この記事を書いた人
清水茂樹
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清水茂樹

編集長兼文具バカ

雑誌「趣味の文具箱」編集長。1965年福島県会津若松市生まれ。文房具に関する雑誌の編集、オリジナル文具の開発を担当。2004年に「趣味の文具箱」創刊し、世界中の文具メーカーの取材を勢力的に続け、最新の文具情報を発信。筆記具や文房具の魅力と、手で書くことの楽しさを伝えている。
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