ウエスコジャパン代表、岡本氏のバイクライフに迫る!

ヴィンテージレザーへの憧れから、宝探しを続けるうちに興味はバイクへ飛び火した。ウエスコジャパン代表、岡本氏の愛車はスタイルやメーカーの垣根なく、個性的なラインナップが揃う。そして、すべてが置き物ではなく、日常的な乗り物としての機能を果たし、時には仲間とツーリングを楽しみ、時にはレースや大陸横断に挑む……。それぞれのヴィンテージバイクの背景にあるカルチャーを探求するかのように純粋に愛車と向き合う岡本氏のバイクライフに密着。

「WESCO JAPAN」代表・岡本直さん|2003年にCyclemanを創業し、2004年からWESCO JAPANをスタート。様々なバイクを愛し、国内の草レースへの参戦や大陸横断などにも挑戦している

バイクで走らなければ見えない景色がある。

岡本氏の大陸横断のパートナーはウエスコジャパンのディレクター、河北氏。ウエスコジャパン創業時からの右腕的存在だが、趣味でバイクやクルマをいじる経験値を活かし、専属メカニックとして岡本氏に同行。約8500㎞の旅を共にした

ストック、チョッパー、レーサーなど……。岡本氏の愛機のスタイルは筆舌に尽くしがたいほど様々だ。今回は、岡本氏がスタイルに捉われることなくヴィンテージバイクにのめり込む魅力と、約5年前に実現したアメリカ横断を中心に話を伺った。

「元々旧い革ジャンとブーツが大好きで、’90年代後半頃からアメリカのヴィンテージバイク系スワップミートを巡って宝探しをしていました。そこで触れた数多くのバイクや、それに跨る人たちのカルチャーに憧れを抱いていた頃に、船場の岡田さんと出会い、一気に沼にはまりました(笑)」

ヴィンテージH‐D専科、船場との出会いからさらにのめり込んでいくわけだが、その興味はヴィンテージバイクに纏わる様々なカルチャーに向かった。中でも気になるのは約5年前に実行した大陸横断のエピソード。それは’20年代までのバイクで大陸横断するキャノンボールレースに合わせて行われた。

しかし、レース参加者のコースは東から西へ横断するが、岡本氏はレースが始まる1週間前にCB750で西から東へ走り、その翌日からレースと同スケジュールにて’28年JDで東から西へ走るという大陸横断〝往復〞に挑戦。片道でも想像し難いほどに過酷なはずだが、自らその倍の距離に挑んだのだ。

「まず最初は、往路をキング(CB750)でロスからメイン州ポートランドまで約5000キロを7日間で走りました。ラスベガスの熱風やユタ、コロラドの雄大な大自然、ロッキー山脈越え、ネブラスカで竜巻、嵐に遭遇、アイオワのどこまでも続くコーン畑、大都会シカゴの大渋滞など、メイン州までの道のりは楽しいことも大変なこともあったけど、最も苦労したのは乗車時間と姿勢です。

キングは前傾姿勢で腕に全重力がかかるうえにスロットルが重いので、体中が悲鳴をあげていました。そして、メイン州ポートランドに到着した翌日からJDに乗り換え、今度はオレゴン州ウエスコ本社を目指しました。JDは乗る姿勢は楽ですが、なにせ’90年前のバイクなのでトラブルがない日はほぼなく、最後にはエンジンを降ろすことに。

修理のためイチかバチか飛び込みで何百キロも移動することもあったけど、どこに行っても親身に対応していただき、現地の人々に助けられ、なんとかウエスコ本社まで辿り着きました。大陸横断で得た一番の宝物は国や人種を越えた人間の優しさ素晴らしさを再確認できたことでした」

岡本氏がバイクに乗る際に愛用するギアがこちら。ヘルメットはすべて’60sで、左からBUCO Dragon、BELL 500-TXカスタム、BELL SHORTY

トラブルによって走行できなかったエリアはあるものの、肉体的にも精神的にも過酷なヴィンテージバイクで約8500㎞以上の大陸横断往復を実現。そして、大きな夢を叶えた後も岡本氏の好奇心は冷める事無く、最近は現行アドヴェンチャーバイクや旧いカブにも興味が向いているようだ。

「最近は、自然体で乗りたい時に乗りたいバイクに乗るという感じで、家の近くの山道や林道を探求したり、山からの景色をのんびり楽しんだりしています」

バイクを通して様々な人と出会い、人生の経験を積む岡本氏のバイクへの情熱はまだまだ衰える事はなさそうだ。

上の2モデルはハイライナー(右)とボス(左)で、どちらも’50s。ハイライナーは創業間もない頃の営業で履いて歩き回っていたブーツなのだとか
最近バイクに乗るときに履くことが多いのは、下の写真の100周年アニバーサリーとして企画されたセンチュリーボス

レザージャケットはゴートスキンのキャスケードとSHIP JOHN別注のラングリッツレザーズ

【愛車①】1928 H-D JD Cut down

“カットダウン”の元祖として知られるレジェンドビルダー、SAM OPPIEが1920s後半から’30s初頭にビルドしたJD TTレーサー。J系モデルの腰高なフレームを大胆にカットして、車高を低くクイックな操作が可能な軽快なフォルムを実現。当時SAM OPPIEによって24台のカットダウンが作られたと言われているが、現存車両は言うまでもなく超希少。長距離を得意とするスタイルではないが、メイン州ポートランドからオレゴン州への大陸横断に挑んだ相棒だ。

フレームの加工によるネック位置の低さや、薄く短く加工されたフューエルタンクを備えるシャープなフォルムがカットダウンの特徴。初めてこの車体を見た時、ウエスコのロゴと似たタンクの菱形ロゴにシンパシーを感じたのだとか。

100年近く前のバイクで挑む大陸横断の旅は当然トラブル続き。初日からタンクにヒビが入りガスが漏れたり、マグネトーが故障したり……トラブルはほぼ毎日続き、ピストンが割れて道中でエンジンをおろした日もあったそう。バンの荷台でエンジンをおろし、パーツを持っているショップを飛び込みで探して、無事ゴール地点のオレゴンに辿り着いた。

この記事を書いた人
CLUTCH Magazine 編集部
この記事を書いた人

CLUTCH Magazine 編集部

世界基準のカルチャーマガジン

日本と世界の架け橋として、国外での販路ももつスタイルカルチャーマガジン。本当に価値のあるモノ、海外記事を世界中から集めた、世界基準の魅力的コンテンツをお届けする。
SHARE:

Pick Up おすすめ記事

毎日のそばに、エル・エル・ビーン。秋の定番、フィールド・コートとフランネル・シャツ

  • 2026.10.16

毎日の服に、特別な理由はいらない。気兼ねなく着られて、どんな装いにも自然となじむ。そんな日々のワードローブを支えてくれるのが、エル・エル・ビーンだ。今回は秋の定番、フィールド・コートとフランネル・シャツを着て街へ出た。 100年を超えて今日もいつもの日常着 朝、玄関を出るときに手が伸びて、休日にもつ...

今季の「Lee」はブランケット付きジャケットに注目せよ!

  • 2026.10.19

シグニチャーモデル「101」が101周年を迎えるなど、アメカジ好きに多くの話題を提供してくれるLee。そんなアメリカンデニムを代表する同ブランドの注目の新作は、ブランケットを携えたワークジャケットだ。普遍的なデザインと保温性に優れるという機能を備えるこの秋冬の相棒となる逸品を紹介する。 Leeのシグ...

「Wrangler(ラングラー)」の名作、スタッズを纏う。レザーラバー垂涎スウェードモデルも登場!

  • 2026.10.19

ワークウエアとしての機能だけでなく、ファッション的視点を取り入れることで独自の立ち位置を築いてきた3大ブランドのひとつでありデニム界の異端児・Wrangler。そんな彼らの受け継がれし不朽の名作に“スタッズ”が施された特別モデルが登場した。 “スタッズ”で作るネオ・ウエスタンスタイル ラングラーとい...

ネイティブアメリカンの美しき手仕事。伝統を守りながらもモダンな表現を得意とする現代作家を紹介!

  • 2026.10.08

ネイティブアメリカンのヴィンテージや工芸品を通して、彼らのカルチャーを伝えるCORNERS。今回は伝統的な手法を守りながらも、モダンな表現を得意とする現代作家をピックアップ。もの作りが乏しくなった今の米国だからこそ、余計に強く輝いているのだ。 Pamela Brown 1868年から続くナバホ族の織...

世界中で探し求める最上の素材。「THE FAT HATTER」秋冬コレクションをクローズアップ!

  • 2026.10.07

日本が世界に誇るハッターであるTHE FAT HATTERの秋冬コレクションをクローズアップ。今回のシューティングでは、それぞれの正義や美学をぶつけ合う場に向かう男たちを表現。彼らの強い決意と威厳を表現したような力強いハットが、精悍な雰囲気を醸し出している。ハットの良し悪しを大きく左右するフェルトは...

Pick Up おすすめ記事

バガブージャケット、40年目の原点回帰。現代に蘇った名作ジャケットの魅力とは?

  • 2026.10.20

1986年に誕生した〈コロンビア〉の名作「バガブージャケット」が、今年で40周年を迎えた。その機能とデザインは、フィールドだけでなく街へも広がっていった。40周年となる2026年、その原点を振り返りながら、現代に蘇った[バガブージャケット]を見ていこう。 Bugaboo II 1986 Interc...

ガレージ、インテリア、リフォームまで! 趣味人のための、物件案内。

  • 2020.01.20

好きなものと暮らす、理想の城を手に入れよう。 家は、ただ暮らすためだけの場所じゃない。 どこに住むか、どんな空間にするか、そこで何を楽しむか。 ガレージハウスやアメリカンハウス、趣味部屋、インテリア、リノベーションまで、 「Lightning」ならではの視点で趣味人の理想の住まいを紹介する。

#PR

「Wrangler(ラングラー)」の名作、スタッズを纏う。レザーラバー垂涎スウェードモデルも登場!

  • 2026.10.19

ワークウエアとしての機能だけでなく、ファッション的視点を取り入れることで独自の立ち位置を築いてきた3大ブランドのひとつでありデニム界の異端児・Wrangler。そんな彼らの受け継がれし不朽の名作に“スタッズ”が施された特別モデルが登場した。 “スタッズ”で作るネオ・ウエスタンスタイル ラングラーとい...

毎日のそばに、エル・エル・ビーン。秋の定番、フィールド・コートとフランネル・シャツ

  • 2026.10.16

毎日の服に、特別な理由はいらない。気兼ねなく着られて、どんな装いにも自然となじむ。そんな日々のワードローブを支えてくれるのが、エル・エル・ビーンだ。今回は秋の定番、フィールド・コートとフランネル・シャツを着て街へ出た。 100年を超えて今日もいつもの日常着 朝、玄関を出るときに手が伸びて、休日にもつ...

FINE CREEKを世界でいちばん熱く語る男。

  • 2026.10.07

この男恐るべし、である。北海道・帯広にあるセレクトショップ、...Dannyオーナー、河合裕介さん。彼のセレクトスタイルは一貫している。自分の愛せるものしか、ショップに置かないのだ。「売れるモノ」をセレクトするのではなく、「自分の売りたいモノ」のみを並べる。この時代にあって、その姿勢はまさに「愚直」...