鹿の角複数本を重ね合わせた巨大なインテリアやスカルオブジェなどを生み出す、異色のブランド「DEER HORN SMITH’S」。

  • 2022.10.20

ディアホーン、ディアスカル、ディアスキン。これらを素材に新たなプロダクツを生み出すDEER HORN SMITH’S。鹿の角複数本を重ね合わせた巨大なインテリアやスカルオブジェなど、インテリアから、クラシカルなレザージャケットまで、ファッションとライフスタイルを鹿で繋ぐ 異色のブランド。しかも道産の蝦夷鹿のみを使うこだわり。本誌は本拠地である北海道・帯広へと飛びディレクターである森井氏のアトリエへ向かった。

「DEER HORN SMITH’S」代表・森井英敏さん

23歳で地元である帯広にウエスコやバンソンなど、ヘビーなアイテムを揃えるアメカジショップ「GOLDRUSH」をオープン。2003年に自身のレーベルDEER HORN SMITH’Sを設立。

北の大地が生んだ和製ディアホーンシャンデリア。

全面を天然木で囲まれたどこか暖かみのあるログハウスが、DEER HORN SMITH’Sのアトリエ。高い天井か ら心地よい灯りで部屋を照らすのは、もちろんディアホーンシャンデリア。2010年に初めてシャンデリアのプロトタイプを完成させたその初号機がこの部屋に置かれている

初めてDEER HORN SMITH’Sのシャンデリアを目にしたのは、東京・恵比寿(現在は神宮前)にあったHummingbirds’hill Shopだった。その芸術性の高さ、もはやアートというべきシャンデリア。聞くと北海道の蝦夷鹿の角で組み上げたという。日本の住宅事情では、考えられないようなスケールであったことと、素材となる鹿の角が身近であることなんて考えもしなかったため、そのときの強烈なインパクトは忘れられない。

DEER HORN SMITH’Sが創業したのは2003年。豪華絢爛な鹿角シャンデリアのプロトタイプが出来上がったのが2010年。約7年を要した超大作だ。その7年間、創業者でありクラフトマンでもある森井英敏氏は試行錯誤をしながら黙々と手を動かしていたわけだ。

「メキシコで作られたイミテーションのエルクのツノのシャンデリアが気に入って自分用に買ったんです。練り物の樹脂系で作られたものなんですけど、見た目の良さにグッときてしまって。当時、店で仕入れようと5台くらいメキシコ経由で輸入して。イミテーションと言っても1台25万円前後。5台仕入れて、なんだかんだ売れてたんですけど、ボクと同じように良いと思ってくれる人がいたことが単純に嬉しかったですね。あるとき店番をしていたときショップで使っていたシャンデリアを下から覗きながら、こんな作りをしているんだ。ふと、これ北海道の蝦夷鹿で作ってみたら?」

素材集めから設計、組み上げまで試行錯誤を繰り返し、5パターンほど作ったという。友人たちの反応は上々。周りの10人くらいから、「これはすごい!」との反響もあったというが、「でも誰が使うの?」、「家に入らないでしょ!」。サイズ的にも金額的にも厳しい意見がある中で、森井氏は、自分の好きなことをやって、ダメなら諦めようと、シャンデリア作りにますます傾倒していく。

「東京や大阪などから、徐々にシャンデリアのオーダーの話をいただくようになって。現在は嬉しいことにオーダーが詰まっている状況で、できればストックを少しずつ手掛けながら、販売していくような形態にしていきたいのですが、なんせ仕入れから仕込みまでほぼ1人でやっていますから、そこまで手が回っていない状況。もう少し余裕を持って進めることができたらなと思っています」

北の大地が生んだ和製シャンデリア。異国の地から運ばれてきた感満載の強烈なインパクトとラグジュアリーな姿は、アメイジング! なシャンデリアとして、いつか日本を代表するプロダクツへと認知されていくに違いない。

鹿角の仕入れから、作品となるまで、一貫して手作業で行われる。

アトリエ横のストレージには、これから作品となるだろう丁寧な下処理が施されたディアホーンが約300本ストックされている。デザインや設計は、すべて森井氏自身が行うため、需要と供給のバランスを考えながら仕入れを行い、また下処理に掛かる日数などを計算しながら最終の仕上げまで、すべてこの場所で完結する。

地元のハンターたちから仕入れた蝦夷鹿のスカルをひとつずつ丁寧に洗浄し、毛や肉片などを綺麗に取り除く。その後、数日間、細部までしっかりと乾燥するまで天日干し。

アトリエの横に併設あれたディアホーン専用のストレージの入り口に飾られた蝦夷鹿のスカル。迫力のある雄鹿のスカルが、ずらりと飾られる。

現在、DEER HORN SMITH’Sのアトリエにて、鋭意製作中のフロアランプ。製品となる前のディアホーンにエアブラシで繊細な塗装を施していく。

森井さんのマスターピースであるWranglerのジーンズ。1930年代に活躍したカウボーイファニチャーの巨匠トーマス・モールスワースの世界観に憧れて、カウボーイデニムの代名詞Wranglerをこよなく愛する。

頭部から切り取られたディアホーンは根元に体毛がついているため、専用のヘラで削ぎ落とす。

アトリエ奥には、2代目として修業中の森井亨氏が角の加工を担当。

森井氏が作業時に愛用しているレザー製のエプロンとグローブ、そしてオリジナルのロゴ入りメッシュキャップの3点セットは相棒。

DEER HORN SMITH’Sのプロダクツ。

DEER HORN BUTTON

ジャケットやシャツなど、ウエア類のボタンに使われるホーンボタンもハンドメイド。皿型 藍染¥2200_、皿型 ナチュラル¥1,760_

DEER HORN CONCHO BUTTON

チマヨラグのコートのボタンとして製作中。裏にはレザーの紐が付けられ、ネイティブ感たっぷりのボタンに仕上がっている。ロゼットベース¥9,900_(シルバーコンチョ別)

DEER HORN CHANDELIER 6LAMPS

DEER HORN SMITH’Sを設立するきっかけともなり、ブランドを代表するプロダクツ。サイズ、ランプ数、段数などオーダーも可能。6灯式 W850㎜~¥342,980_(送料・梱包別)

DEER HORN SKULL OBJECT/PAINT

スカル本来の自然な色を活かしたハンドペイントの壁掛けオブジェ。上段比べ下段はの作品は頭部以外にホーンまで細かなペイントが施される。各¥74,800_

DEER HORN SKULL OBJECT/PAINT

ブラックアウトしたスカルの中央にネイティブ柄をペイント。角にも模様が描かれる。オールペイント+フェザー装飾¥151,800_

DEER HORN SKULL OBJECT/PAINT

立派なホーン付きのスカルをキャンバスと見立てて、月夜に吠えるオオカミをエアブラシで描いた。エアブラシアート¥69,300_

DEERSKIN JACKET

原材料は塩と水のみの日本古来の手法で鞣された白鞣しレザーを使用した特別なモデル。ピークド・ラペルとナチュラルカラーが上品かつ知的な印象で、やや綺麗めなカジュアルドレススタイルにも相性良し。¥528,000_

DEERSKIN JACKET

Hummingbirs’hillの別注で製作した1stタイプのGジャンモデル。ディアスキンをインディゴ染めした革をメインマテリアルに片ポケットスタイルの通称ファーストモデル。ボタンまでインディゴ染め。¥214,500_

DEER HORN TABLE LAMP (M)

10周年アニバーサリーモデル。ハンドペイント、シルバーコンチョ、レザー製フェザー装飾など豪華仕様。¥272,800_

IRON POLE FLOOR LAMP

8灯のランプが付けられた2段のフロアランプ。支柱となっているのはアイアン製でアンティークを思わせる佇まい。¥718,000_

DEERSKIN SHIRT JACKET

軽くしなやかな革は肌触りも抜群。定番的な1ポケットスタイルでボタンには小ぶりのホーンボタンが付けられる。¥198,000_

DEER HORN HANGER

角の自然なフォルムを活かし、2本の角で製作。左右対称で美しいフォルムの角を選ぶ必要がある。スタンダード ¥33,000_ T型¥39,600_

【DATA】
GR COMPANY
Tel.0155-61-3165
https://deerhornsmiths.com

※情報は取材当時のものです。現在取り扱っていない場合があります。

(出典/「CLUTCH2022年10月号 Vol.87」)

LiLiCo

昭和45年女

人生を自分から楽しくするプロフェッショナル

LiLiCo

松島親方

CLUTCH Magazine, Lightning, 2nd(セカンド)

買い物番長

松島親方

モヒカン小川

Lightning, CLUTCH Magazine

革ジャンの伝道師

モヒカン小川

ランボルギーニ三浦

Lightning, CLUTCH Magazine

ヴィンテージ古着の目利き

ランボルギーニ三浦

ラーメン小池

Lightning

アメリカンカルチャー仕事人

ラーメン小池

上田カズキ

2nd(セカンド)

アメリカントラッド命

上田カズキ

パピー高野

2nd(セカンド)

断然革靴派

パピー高野

村上タクタ

ThunderVolt

おせっかいデジタル案内人

村上タクタ

竹部吉晃

昭和40年男, 昭和45年女

ビートルデイズな編集長

竹部吉晃

清水茂樹

趣味の文具箱

編集長兼文具バカ

清水茂樹

中川原 勝也

Dig-it

民俗と地域文化の案内人

中川原 勝也

金丸公貴

昭和50年男

スタンダードな昭和49年男

金丸公貴

岡部隆志

英国在住ファッション特派員

岡部隆志

おすぎ村

2nd(セカンド), Lightning, CLUTCH Magazine

ブランドディレクター

おすぎ村

2nd 編集部

2nd(セカンド)

休日服を楽しむためのマガジン

2nd 編集部

CLUTCH Magazine 編集部

CLUTCH Magazine

世界基準のカルチャーマガジン

CLUTCH Magazine 編集部

趣味の文具箱 編集部

趣味の文具箱

文房具の魅力を伝える季刊誌

趣味の文具箱 編集部

タンデムスタイル編集部

Dig-it

初心者にも優しいバイクの指南書

タンデムスタイル編集部

CLUB HARLEY 編集部

Dig-it, CLUB HARLEY

ハーレー好きのためのマガジン

CLUB HARLEY 編集部

昭和40年男 編集部

昭和40年男

1965年生まれの男たちのバイブル

昭和40年男 編集部

昭和45年女 編集部

昭和45年女

“昭和カルチャー”偏愛雑誌女子版

昭和45年女 編集部

昭和50年男 編集部

昭和50年男

昭和50年生まれの男性向け年齢限定マガジン

昭和50年男 編集部