本誌が推す業界人の愛用品を紹介。 その理由やセレクトの基準から、最近ハマっているものも聞いた。クラシカルなデザインに定評のあるORUGUEILのディレクターである西嶋さんは、こんなアイテムを愛用していた。
大量生産になる以前の丁寧なものづくり。
1900年代初頭をブランド背景とするORUGUEILのディレクターを務める西嶋さん。自身がデザインを手掛けるプロダクツ同様、クラシカルで趣のある愛用品ばかり。それはヴィンテージへのリスペクトの象徴であり、彼のライフスタイルの一部となっていることを感じさせてくれる。
「大量生産のチープなカッコ良さも理解できるのですが、やはり戦前に作られたヨーロッパの流れを汲んだクラシックなアメリカのデザインや、ひと目で丁寧に作られたものであると分かるアイテムが好きですね。もちろん旧い素材ならではの良さもあります。ただ長く着られるアイテムは、昔ながらに愛されてきた定番的なデザインなのだと思います」
「ORGUEIL」西嶋秀浩さんの愛用品。
1.COAT / 1930s French Work
ナチュラルカラーのコートは1930年代のフレンチワークもの。「フレンチリネンらしい生地のネップの風合いが好き。カットソーの上から軽く羽織るのに適しています」
2.BAG/ORGUEIL
1950年代のヴィンテージのマネーバッグをベースに8年ほど前に作ったもの。「レザーもキャンバスもとても肉厚なんですけど、キャンバスが破けるほどヘビーユースしています」
3.WATCH/GUINAND
ドイツの時計メーカーで知られるSinnのデザイナー、ヘルムート・ジンが趣味で製作していた希少な時計。「13年ほど前、結婚記念として妻からプレゼントされました」
4.PANTS/ORGUEIL
ブランド設立、10周年となるORGUEIL の周年記念モデル。「アニバーサリーパッチがつけられていますが、ブランド設立時に1920~1930年代を時代背景に作ったデニムを再考しました」
5.JACKET/1930s Montgomery Ward
マテリアルにポニーを使用したヴィンテージのスポーツジャケット。「ストアブランドなので、よく見ると作りもディテールもテキトーなんですけど、アメリカンヴィンテージっぽくて好きですね」
最近買ったもの、ハマっているもの
1939年のサンフランシスコ万博の際にLEVI'Sが作ったジャケット。1度、リプロダクツされたこともあるという歴史的価値のある希少な逸品は知人から譲ってもらったもの。
(出典/「CLUTCH2022年8月号 Vol.86」)
Photo by Hiroto Yorifuji 依藤寛人 Text by Tamaki Itakura 板倉環