名著『チープ・シック』に学ぶグッドセンスの心得。チープシックなレディに学ぶ「ボロをデラックスに着る」とは?

ビビッドな黄色のカバーが目を引く、特集のきっかけとなった名著『チープ・シック』。「ベーシックを持つこと」、「一生モノにはお金をかけること」、「価格や流行に捉われないこと」。同著からは、これらのような“良いモノを選ぶために大切なこと”が学べるほか、センスの良いレディの着こなしや世界の民族衣装など、非常に興味深いトピックスが登場する。今回取り上げるのは、チープシックなレディに学ぶ「ボロをデラックスに着る」とは。同書には、スタイルを確立した女性が男性以上に多く登場。性別に関わらず、かつ現代に活かせる哲学を、レディスとメンズ、どちらの服も知り尽くす「ビームス ボーイ」バイヤー・川相健太郎さんに聞いた。

『チープ・シック』カテリーヌ・ミリネア著 キャロル・トロイ著 片岡義男訳/草思社 1977年刊|ベーシック、クラシック、スポーツウエアの着こなしから個性的な組み合わせまで、たくさんの写真を添えて解説。「ベーシックという、とても大事なもの」「ボロをデラックスに着る」など、現代にこそ通用する内容も多い。全国の一部書店にて販売中。2420円

ミックス感が表すスタイル

『チープ・シック』を愛読しているひとりであり、「ビームス ボーイ」のバイヤーを務める川相さん。同書の魅力をいくつか伺ったところ、特に写真家エワ・ラドリング(※)の哲学に深く共感しているそう。

「本の中で、一見美しくない服で華やかに装う彼女に“ボロをデラックスに着る”というタイトルがついていますが、これは僕自身のスタイルを表す言葉でもあると感じています。お金がなかった学生時代、安い古着を買っては工夫して身につけていました。今は『グッチ』などのハイブランドも少しずつ買うようになりましたが、そういった“デラックス”なアイテムで全身を固めてしまうのは好きじゃない。

天邪鬼な性格で、どうしても他人と違うことがしたくなる。だから、ハイブランドやデコラティブなものと褪色やダメージの強い“ボロ”のアイテムをあえて合わせるのが好きなんです。そういったミックスの感覚にこそ、その人なりのスタイルや生きざまが表れると思います。エワ自身も金銭的に恵まれない時期があってこういったスタイルに辿り着いたようですが、田舎の古着店の服で試行錯誤していた10代の自分が重なりました。境遇が似ているところも、彼女に惹かれた理由かもしれません」。

※エワ・ラドリング|1936年生まれ。生前、写真家としてイヴ・サンローランやアンディ・ウォーホルのポートレートなどを撮影。24年没

Tシャツ1万2980円/ウエアハウス×ビームス ボーイ、中に着たロンT 9680円、靴下3630円、ウエストポーチ5390円/すべてビームス ボーイ(ビームス ボーイ 原宿 TEL03-5770-5550)、パンツ2万9480円/ビームス ジャパン(ビームス ジャパンTEL03- 5368-7300)、その他すべて本人私物

「ビームス ボーイ」バイヤー・川相健太郎さん|家族の影響もあり10代の頃から服に興味を持つように。地元岡山でのアルバイトを経て、2018年に「ビームス」に入社

川相さんが再現するなら……?

レイヤードしたボーダーTに大ぶりなインディアンジュエリーを取り入れる。ヴィンテージを再現したというデニムの大胆なブリーチ加工が目を惹くコーディネイト。一見ちぐはぐな組み合わせが、相反する要素を引き立て合う。

(出典/「2nd 2026年5月号 Vol.217」)

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なまため
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I LOVE クラシックアウトドア

1996年生まれ、編集部に入る前は植木屋という異色の経歴を持ち、小さめの重機なら運転可。植物を学ぶために上京したはずが、田舎には無かった古着にハマる。アメカジ、トラッド様々なスタイルを経てアウトドア古着に落ち着いた。腰痛持ちということもあり革靴は苦手、持っている靴の9割がスニーカーという断然スニーカー派。
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