脱サラし2015年にオープンした、京都の洋品店「東商店」は懐かしくって今っぽい。

  • 2023.10.18

アイビーが一世を風靡した時代、日本にはたくさんの洋品店があった。時が経つにつれ店舗数は減っているが、そんな時代に全国で見つけた”あの頃に戻れる”洋品店を捜索。京都・東野駅にある「東商店」は、脱サラした店主が好きなものを集めてオープン。店内には新品から古着、トラッドなアイテムから、アウトドア用品まで幅広いアイテムが所狭しと並んでいる。

地元愛に溢れる店主の好きが詰まった店

京都駅から電車で10分の東野駅から徒歩5分ほどの位置にある「東商店」。店主の東健一さんは2015年に一念発起、脱サラし店舗をオープン。店内には新品から古着、トラッドなアイテムから、アウトドア用品まで幅広いアイテムが所狭しと並んでいる。店舗で販売をしているアイテムには創業時から変わらないこだわりがあるという。

東さんが若い頃にも履いていたという「スペリー トップサイダ」の[キャンバスオックスフォード]はトラッドに合うクラシックなスニーカー。取材当日も白を着用していた。7480円

「店で販売しているアイテムの基準は、まず私が好きかどうかですね。お客さんにものを売る時に自分で着て、本当に良いと思ったものでないと上手く伝えられないし、やっぱり売れません。それと、私は洋服の業界で働いてきた人間でもないので店を始めた時点で本当の意味で0からのスタートだったんです。それもあってアイテムの情報などは自分が体感したことをお客さんには伝えるようにしています。恥ずかしい話なんですけど、始めたばかりの頃に服の畳み方をお客さんから教わったこともありました」

日本のベルトメーカー「ノムラベルト」が製作しているリボンベルト。色と革、ステッチの色などはここでしか買えない東商店の別注仕様となっている。価格もリーズナブル。4840円

店をオープンしてから8年だというが、店内に入るとどこか懐かしい気持ちになる。そう感じる理由が話を聞いていく中で見えてきた。

「全部ではないのですが、私が20歳くらいの時に着ていたものを選んだりもしているんですよ。「ガンホー」のパンツだったり、「ヘインズ」のTシャツだったり。なんてことのないアイテムなのですが、シンプルで流行に流されていないアイテムが好きなんですよね。もちろん全く一緒というわけではないのですが、他にも当時の私が店で見たものも多く並んでいますね」

東商店のある京都府の山科区は店主の地元。京都の中心地からは少し離れた静かな場所だ。それでもこの場所にオープンしたのには東さんなりの理由があるという。

「私がまだ若かった頃、この山科にもたくさんの衣料品店があったんですよ。それこそ今私がやっているようなインポート品などを扱ったお店だったり。もちろん私もその当時、色々なお店に通っていたのですが、年月が経つにつれて少しずつお店がなくなっていって、そんな背景もあるんです。だから山科に昔みたいに気軽に行けるような衣料品店があったらいいなって思って場所はここに決めました。私が若い頃通っていた、頼れる衣料品店のようなお店にしていきたいですね」

店名の隣に書いてあるシンプルなアメリカ衣料品の文字と、窓ガラスからのぞくアイテムがぎっしり詰まった内観との相性がより一層期待感を高める。もちろん期待は裏切らない
レジ奥の壁にはヴィンテージのネクタイや帽子、天井に掛かるフィッシングベストなど幅広いアイテムが並んでいる。360度好きなものに囲まれるとはこのことを意味するのだろう
腕時計にリボンベルト、釣り用のルアーが陳列されている。普通の店であればともに並ぶことはないであろうアイテムのレイアウトは店主の趣味趣向が反映された同店の特徴だ
アメリカを中心に警備やレストランなどの制服を手掛けるメーカー「エドワーズ」のワークパンツ。カジュアルにもネクタイスタイルにも使える万能な2タック仕様。9350円
革靴の奥に並ぶバス釣り用のオールドタックルも必見。小学生の頃からバス釣りを趣味としている店主の東さんが選ぶクラシックな釣り道具はお客さんからも好評だという

【DATA】
東商店
京都府京都市山科区音羽乙出町1-5
TEL075-748-7274
営業/12:00〜19:00
休み/水曜

※情報は取材当時のものです。現在取り扱っていない場合があります。

(出典/「2nd 2023年11月号 Vol.199」

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