革靴のアイビー必携のデザインはこの6つ
1.ペニーローファー
特徴は甲の部分につく切れ込みの入ったベルト。1950年代、アメリカ東海岸の学生たちがその切れ込みに1セントコイン(別名ペニー)を挟んでいたことからペニーローファーと呼ばれるように。
2.プレーントゥ
つま先に装飾のない最もシンプルな短靴。それゆえに、シルエットやディテールが印象を大きく左右するアイテムでもある。ドレスからカジュアルまでどんなスタイルにも合う汎用性の高さが特徴。
3.タッセルローファー
甲の部分に房飾り(タッセル)のつくスリッポン。1950年代に弁護士の間で流行していたため「弁護士の靴」とも呼ばれる。上品な見た目、アクセントのあるタッセルはスーツとの相性も良い。
4.バックス
バックスとはバック(鹿)とスキン(皮)のふたつの単語から由来する。スウェードと似ているが裏面ではなく銀面を起毛させることで毛足が短く整っておりスウェードよりも上品な見た目となる。
5.ロングウィングチップ
横から見るとウィングと呼ばれる飾り穴がつま先から踵まで一周するものを、ウィングチップの中でもロングウィングチップと呼ぶ。主に米国の革靴ブランドの代表的なデザインとして知られる。
6.サドルシューズ
甲の部分に馬につける鞍(サドル)のような形のレザーがあしらわれることからサドルシューズと呼ばれる。コンビカラーが主流のカジュアルな短靴。カラーによってはドレススタイルのハズしにも。
アイビーシューズの起源とは?
靴自体の歴史は遡ると5000年ほど前のことになってしまうため割愛するが、それぞれのデザインに対して出自となる説が存在する。例えばタッセルローファーは、本来貴族のための室内履きだったとされているが、現デザインになったのは俳優のポール・ルーカスがオールデンに作らせたのが始まりとされている。
一方ペニーローファーは、もともとノルウェーの漁師が、海での作業をしていない時に履くものだったそうだ。ウィングチップはスコットランドの部族が履いていた靴。象徴的なデザインである穴飾りは、例え濡れても早く乾くよう水切りの役割があった。
次にバックス。これはあくまで一説であるが、最大の特徴であるバックスキン(鹿の革)は1870〜80年ごろ雨靴として使われていたらしい……などなど、いずれも出自には諸説あるが、革靴ごとにそれぞれのストーリーがあって実に興味深い。
昔はペニーを挟む学生もいたらしい?
1950年、まだアメリカでリアルアイビーリーガーたちが構内を闊歩していた頃、ローファーのサドルの切れ込み部分に1セント硬貨(= ペニー)を挟むことが、学生の間で流行ったという。 “ペニーローファー” という愛称で呼ばれるにはこんな背景があったのだ。
ビーフロールはアイビーなのか?
ビーフロールと言えば、サドルの両端がローストビーフのように糸で巻かれたディテール。これ、結構アメリカンなイメージがあるのでアイビーと結びつけてしまいがちだが、かのジョン・F・ケネディや、ポール・ニューマンらもビーフロールの無いタイプを履いており、どちらがよりアイビーかという基準ではない。
押さえておきたいアイビーシューズのTPO
和製アイビーの神〈VAN〉の石津謙介氏が創り出した言葉、TPOについて考えてみる。まず、ローファーは“怠け者”との異名を持つ通り、最もカジュアルな部類に入る。房飾りの付いたタッセルの方がまだドレッシーだ。そして色の切り替えがある分、カジュアルな印象のサドルシューズ。これとバックスは知人が催す小さなパーティであれば問題なさそう。
ウィングチップは、穴飾りのおかげで幾分かカジュアルだが、ビジネススーツとの相性はいい。最後にプレーントゥ。外羽根式である以上、冠婚葬祭は難しいが、それ以外であれば様々なTPOに対応できる。
写真は上から、カジュアルからドレスの順に掲載しているので確認してみよう。
アイビーシューズの製法で押さえるべきはこの2つ!
【グッドイヤーウェルテッド製法】アメリカらしい武骨なスタイル
ヴァンプとウエルト、インソールリブを一緒にすくい縫いすることでイン&アウトソールの間にコルクなどの緩衝材を挟み込むことが可能に。プレーントゥやウイングチップなどの米国靴に多く採用されたことから、この製法特有の大きなコバの張り出しはアメトラやアイビーの定番スタイルとして確立された。
【マッケイ製法】スマートな足元を演出する
ヴァンプの内側でインソールのアウトラインに沿うようにアッパーとアウトソールが直接縫い付けられるこの製法は、コバの張り出しを極力抑えられるため、主に華奢でスマートなデザインのローファーに用いられる。最小限のパーツで作られるため素足感覚の足馴染みと反り返りのいい点が特徴。
2nd編集部がおすすめする、アイビーシューズ8選
1.G.H.BASS(ジーエイチ バス)
Category: Penny Loafers
Construction: Mackay
Outsole: Leather Sole
旧モデルのクッション性を大幅に向上させた新仕様。レザーソールもやや厚くし、強度を向上。3万3000円(ジーエイチ バス トウキョウTEL03-5843-0777)
2.Arch Kerry(アーチケリー)
Category: Tassel Loafers
Construction: Goodyear Welted
Outsole: Leather Sole
1950〜60年代のアメリカ靴に多用されていたカーフを復刻させて使用。8万8000円(ワールド フットウェア ギャラリー 銀座店TEL03-3572-6811)
3.JOSEPH CHEANEY(ジョセフ チーニー)
Category: Tassel Loafers
Construction: Goodyear Welted
Outsole: Leather Sole
甲革のエッジ部分の曲線が美しいブランドの定番。足元からコーディネートを引き締める。8万8000円(ブリティッシュメイド 銀座店TEL03-6263-9955)
4.WHEELROBE(ウィールローブ)
Category: Plain Toe
Construction: Goodyear Welted
Outsole: Half Rubber
指先から甲にかけてボリュームを抑えたシャープな印象のプレーントゥ。肉厚ながらも柔軟性に優れる。4万8400円(トライ・アップTEL03-5824-3190)
5.Trading Post(トレーディングポスト)
Category: Long Wing Tip
Construction: Goodyear Welted
Outsole: Leather Sole
凹凸感のあるブラウンカーフがクラシック。防水性の高いストームウェルト仕様。5万9400円(トレーディングポスト青山本店TEL03-5474-8725)
6.REGAL Shoe&Co.(リーガルシュー&カンパニ)
Category: Saddle Shoes
Construction: Goodyear Welted
Outsole: Leather Sole
アッパーとトゥの切り替えが特徴的なサドルシューズ。ブランドの定番中の定番。4万6200円(リーガルシューアンドカンパニーTEL03-5459-3135)
7.FLORSHEIM IMPERIAL(フローシャイム インペリアル)
Category: Long Wing Tip
Construction: Goodyear Welted
Outsole: Leather Sole
アメリカ・シカゴ創業の名門シューズブランド。きめ細やかなシボ感のカシミアスコッチレザーを使用。3万9960円(セプティズTEL03-5481-8651)
8.SANDERS × Southwick(サンダース×サウスウィック)
Category: Buck Skin
Construction: Goodyear Welted
Outsole: Rubber Sole
英国軍のサービスシューズがベース。ホワイトはヌバック、ネイビーはスウェードと、革はカラーによって異なる。5万5000円(シップス 銀座店TEL03-3564-5547)
※情報は取材当時のものです。現在取り扱っていない場合があります。
(出典/「2nd 2023年11月号 Vol.199」)
Photo/Yuco Nakamura, Yoshika Amino Styling/Shogo Yoshimura, Shun Iizuka Text/2nd Magazine Hair&Make/Daisuke Yamada
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