ついに手に入れた盤と連載に込めた思い。
不気味くん えーっと、2nd読者の方にここでひとつご報告が。実はこの連載、今回が最終回でして、これまで37回の長きにわたりお世話になった感謝の気持ちということで、矢島さんがずっと欲しいといっていた『プリーズ・プリーズ・ミー』のUKオリジナル〈ゴールドパーロフォン〉モノラル盤をプレゼントさせてもらいました!
矢島さん ありがとう! いやぁ、ホントに嬉しいなぁ。死ぬまでに手に入れられるかわからないけど、ずっと欲しいと思っていたレコードがこれなんだよ。検盤するときに手が震えたね。状態もめちゃくちゃいいんだこれ。しかも今年でちょうど発売から60年だからね。しかもこれ最初の半年くらいしか売られていないんだけど、それが今ここにあるってすごいことだよね。
不気味くん そう考えると震えますよね。早速聴いてみましょう!
一同 (低い声で)うぉー!!
矢島さん なんだか鮮度があって高音質だなぁ……。サイコーだよ!
不気味くん 喜んでもらえて嬉しいです。この連載、最初はコロナ禍でおうち時間を楽しむ企画のひとつとしてスタートしたんですよね。短期連載の予定でしたが、気づけば3年。色々なミュージシャンにゲスト出演もしていただきましたね。澤部くん(スカート)、柴田聡子さんなどなど。
矢島さん 連載を通じて会いたい人に会うことができたね。
不気味くん もちろん僕がココナッツでバイトしていたというのもあるんですけど、何より矢島さんが書いていたブログが自分にとっては一番のディスクガイドだったので、ああいったものを誌面でやったら絶対に面白いと確信していました。そんなふうに始まった連載が昨年10月号ではセカンドではじめての音楽特集にまでなっちゃったわけですから、すごいことですよね。
矢島さん あれは最高だったね。
不気味くん その時は大好きなカジヒデキさんに3日間にも及んで取材したり、憧れの小西康陽さんにコメントを頂いたりして、完全に音楽に振り切りました。そんなことができたのも矢島さんと連載をやっていた下地があったからこそだと思うんです。
矢島さん 確かにファッション誌にしては、ありえない濃い内容だったと思うなこの連載は。
不気味くん 当初のコンセプトは「音楽誌以上にマニアックな音楽ページ」ということでしたもんね。
矢島さん 僕が80年代末から90年代半ばにかけて読んでいた雑誌って音楽誌以上にマニアックなことが書かれていて、それがイメージとしてあったんだよね。この連載では新譜が出る予定もない90年代のインディーバンドのソフティーズを特集してみたりとか、普通だったらありえないことは全部やったんじゃないかな(笑)。雑誌って読み捨てられることも多いけど、セカンドは長く手元に置いておきたい内容をやっているし、そういう雑誌の性格にもこの連載は合っていたと思う。流行を追うのでなく、ちょいちょいそのときの時流を感じてもらえる内容になっていたよね。
不気味くん たとえば1年前のこの連載を読んでプレイリストを聴いても全然楽しめると思うし。
矢島さん プレイリストといえば今回のビートルズ特集は収録後に悩みながら選曲しておきます。ちなみに、毎回プレイリストがなんで14曲だったか知ってた?
不気味くん いや、わからないです。理由があったんですか?
矢島さん 実はビートルズのアルバムにちなんでる。特に初期の作品のほとんどがA面7曲B面7曲の14曲入りなんだよね。
不気味くん 確かに! 考えてみればそういうところも非常にパーソナルな思いが込められていますね。
矢島さん 自分勝手に音楽を聴いて、広げて、結びつけていく楽しみ方というのが伝わればいいなと思っていて。
不気味くん 「ひとりの音楽愛好家のごく私的な音楽の聴き方」ですね。
矢島さん 色々な人のそういうのを知りたいんだよね僕は。パーソナルなものが一番面白い。
不気味くん そうですよね。僕が矢島さんのブログに惹かれたのもまさにそこでした。その気持ちをこうして誌面に、しかも連載として実現できたのは、いち編集者として感無量です!
矢島さん 折に触れて何度も読み返してもらえたら嬉しいよね。自分が買ったレコードがこの連載でも取り上げられていたとして、それを聴きながら読むと一緒に紹介されていた、ほかのレコードにも興味が湧いてきたりするかもしれないし。そういうふうに色々結びつけて音楽を楽しんでもらえたら嬉しいです。3年にわたり、本当にありがとうございました。
これからも皆様のレコードライフが素敵でありますように!
このプレイリストはSpotifyで全曲聴けます!
1. I saw her standing there
2. Please mister postman
3. Devil in her heart
4. I’ll get you
5. If i fell
6. No reply
7. I don’t want to spoil the party
8. Girl
9. Rain
10. Fool on the hill
11. Your mother should know
12. Hello goodbye
13. Dear prudence
14. Two of us
※アーティストはすべてThe Beatles
※情報は取材当時のものです。
Text/Kenichi Aono
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