1.ちょっとイナたいのがブラックの利点。|「サンカッケー」デザイナー・尾崎雄飛さん
小学6年の頃から古着に開眼したという早熟な尾崎さん。
「中学に入って501って黒もあるんだ! と気づいて、フリマで購入したのが初ブラック。レッド・ウィングのアイリッシュセッターのスーパーソールと合わせたいな! なんて思ってたものの、当時の自分には高値の花で購入できるはずもなく、悔しかったのを覚えています」
それから今に至るまで、クローゼットには絶えずブラックデニムが鎮座し、その数も徐々に増え続けているんだとか。
「自分が理想とする色合いの個体になかなか巡り会えなくて、かれこれ20年以上はベストな1本を探し続けてますね。懇意の古着屋さんに行ったら100%ブラックの棚はチェックします。ブラックってちょっとイナたい感じがするのがいいんですよね。スマートになりすぎないというか。でも色自体はシュッとしてるから、野暮ったくも見えない。そのバランス感が絶妙だなって。
だからジャケットを合わせることが多いんですけど、できるだけカッコよくなりすぎないように、アイテム選びやサイズ感には気を配ってます」
JACKET/古着
VEST/古着
PANTS/リーバイス 550
SHOES/J.M.ウエストン
2.モノトーンセットアップに大好物のミリタリーをミックス。|ファッションデザイナー/ディレクター・梶村武弘さん
「アメカジにどっぷりだった20代前半に買ったリーバイスの501が、初のブラックデニム」という梶村さん。それから20年以上離れていたそうだが、「5年くらい前に某セレクトショップで、よりテーパード気味にリメイクされてる黒の501を見たら、なんだか久しぶりに穿きたくなって」。
以来ブラックもブルーも隔てなく愛用しているそうで、
「好みの服装は昔とほとんど変わっていないんですが、基本的にブラックデニムの時はトップスもモノトーンに。ただロックとかモードに見えるのは嫌だから、そこに自分の軸であるミリタリーとかワークなどのテイストを加えるようにしています。真っ黒なデニムよりチャコールグレーくらいの色合いの方が好きで、今も理想の一本を探し続けてますね」
M-65/古着
JACKET/エンジニアド ガーメンツ
KNIT/ウィリアム ロッキー
PANTS/リーバイス 501(リメイク)
SHOES/オールデン
CAP/ペンギン バイ マンシングウェア
3.フロアのどこに立っていても成立する装いに。|「シップス 有楽町店」店長・佐藤 知さん
「高校の頃はブランキージェットシティーをはじめ、ロックにハマッてたこともあって、黒の505をビタビタに穿いて、ジョージコックスなんかを合わせてました(苦笑)」。
トラッドを軸とする今の佐藤さんからは想像できないブラックデニム遍歴だが、やはり年月を経て穿きこなし方は変化したそう。
「今はとにかくクセがなく、クリーンな装いのキーアイテムとして使うことが多いですね。店舗全体を見渡さなくてはならない立場なので、ドレスやカジュアル、場合によってはレディースまで、どこのフロアに立って接客しても違和感のない装いを心がけてます。
その点ブラックデニムはジャケットや革靴と合わせれば、適度なユルさを感じさせつつもしっかり品よくまとめられるので、かなり重宝してますね」
JACKET/マルセル・ラサンス
KNIT/アラン・ペイン
SHIRT/シップス バイ アイク ベーハー
PANTS/レッドカード×シップス
SHOES/フローシャイム
4.デニムという意識は捨てて完全にスラックスとして穿く。|「髙島屋」バイヤー・大森貴登さん
大学入学後に古着に目覚め、ブラックデニムも複数購入していたという大森さん。
「ただ学生時代は今のようなドレススタイルとは無縁だったので、当時買った古着はほぼ譲ってしまいました。残った物のうち着用頻度が高いのがこの551です」
髙島屋に勤め、ドレスの領域に軸を置くようになってもこのデニムを手放さなかった理由はいくつかある。
「まず自分が生まれたのと同じ94年製なので、思い入れがあるというのがひとつ(笑)。あとは純粋にこのワイドテーパードシルエットが凄くキレイなんですよね。今は“サロン ル シック”という髙島屋内のショップでバイイングを担当しているんですが、自分としてはそこでに扱っているイタリア物にアメトラなど、他のテイストをミックスするのが好み。
ただいずれにしろ織り目正しく装いたい。その点この551は完全にスラックス感覚で穿けるのに、しっかり抜け感も演出できる。休日でも仕事の日でも、かなりの頻度で活躍してくれていますね」
洗濯時は裏返してネットに入れ、弱洗いモードを選択するなど、アタリが ですぎないように配慮している点も、さすがに黒デニム巧者だ。
JACKET/スティーレ ラティーノ
VEST/アラン·ペイン
SHIRT/ビスポーク
PANT/リーバイス
SHOES/ボードイン&ランジ
GLASSES/ジャック·マリー·マージュ
SKARF/アット ヴァンヌッチ
5.好みのカントリーテイストを黒で締める。|「ビームス プラス」バイヤー・柳井純一さん
「ヒップホップ好きでアメトラっぽさは微塵もなかった(笑)」と、大学時代を振り返る柳井さん。卒業後に同社の立川の店に配属され、ビームス プラスに造詣が深い先輩と交流を深めるうち、自身も40年代~60年代までのアメリカンファッションに傾倒。デニム選びの指標も、穿きこなし方も変化したそう。
「スポーツコート(ジャケット)の着用率が高くなったけど、かしこまりすぎるのは苦手。カントリー調というか、どこかオジサンくさい装いが好みなんです。ただそこにインディゴデニムを合わせてしまうと、個人的には少しベタな感じがするので、黒で締めたいなと」
合わせる靴にもこだわりがあるそうで、
「黒を履く時はほぼ黒の短靴しか履かない。それとあえてロールアップせず、もっさりした雰囲気を演出することも多いかもしれません」
JACKET/ビームス プラス テーラーライン
VEST/アラン ペイン×ビームス プラス
SHIRT/ビームス プラス
PANT/ビームス プラス
SHOES/オールデン×ビームス プラス
CAP/ビームス プラス
TIE/ケネスフィールド
6.黒とグレーだけに絞って統一感を。|「TF」バイヤー・鈴木雄介さん
「ブラックデビューは高校の頃。当時はエディ・スリマンの影響からかスリム全盛時代で、僕もその波にのってチープマンデイのスリムジーンズを穿いてましたね」
古着も大好きで、それから501や505のブラックなども愛用してきたという鈴木さん。自身はブラックデニムをグレーパンツの延長と捉えているそうで、
「やっぱりグレーのパンツって何かと便利。どんなコーディネートも成立させてくれるというか。だけどスウェットパンツはどうも苦手。となるとどうしてもスラックス一本槍になってしまうんですよね。
ブラックデニムはその打開策として穿くことが多いです。頭のてっぺんからつま先まで、黒やグレーのアイテムに絞ってモノトーンのグラデーションをつけて、統一感を出すのが定石ですね」
JACKET/コモリ
PANTS/シオタ
SHOES/ニューバランス
GLASSES/バディ オプティカル
HEADPHONE/ソニー
7.目立たせたいアイテムの黒子に徹してくれる名脇役。|「ジラフ ワークト ショップ 千駄ヶ谷」渡邉幸雪さん
「20代前半に古着店で勤めていた頃に買った80年代製のリーバイスが、初めてのブラックデニム」という渡邉さん。当初はカジュアルな装いが好みだったそうだが、徐々にベーシックでトラッドなスタイリングへの憧憬が芽生え、現職に就くと、自然と穿き方も変化してきたとか。
「やっぱり基本的にタイドアップするので、ある程度品よく見せたい。けれど個人的に一番心掛けているのは“人と違うのを楽しむ”ということ。タイを締めても固くは見せず、個性はしっかり主張したいなと。
その点ブラックデニムはコーディネイトが締まるのに、ブルーデニムよりも変化がつけられるオールラウンダー。コートやジャケットなどの、一番目立たせたい主役を引き立てる黒子に徹してくれる。迷った時に頼りになる名脇役として、欠かせない存在です」
JACKET/カーハート×ジュンヤワタナベ コム デ ギャルソン
SHIRT/ポロ ラルフ ローレン
PANTS/リーバイス メイド&クラフテッド
SHOES/カルヴェン
GLASSES/白山眼鏡
TIE/ジラフ×カリタ
8.ブレザーと合わせても 背筋が伸びすぎないのが黒の魅力。|フリーセールス&PR・柳 雅幸さん
ブラックデニムに関しては選びの段階で一家言あるという柳さん。
「真っ黒なデニムは少し苦手。そのせいか自然と緯糸に白糸を使っている、グレーがかったデニムを選んでいます。個人的にはヴィンテージとしての価値がどうこうよりも、色やシルエットが大事。今日穿いているのも90年代のトルコ製の501で、絶妙なフェード感が気に入ってます」
ブレザーに合わせる上では、サイズ感にも気を配っているそうで、
「正直ワイドなパンツはもうお腹いっぱいで、今はグレーのスラックス感覚でジャストで穿きたいなと。トラッドな装いに外しを利かせたい時も、インディゴデニムだとカジュアルダウンしすぎてしまう気がするので、グレーがかったジャストサイズのデニムが、品はいいけど背筋も伸びすぎなくてちょうどいいんです」
JACKET/ブルックス ブラザーズ
VEST/ウィリス&ガイガー
SHIRT/モヒート×インディビジュアライズド シャツ
PANTS/リーバイス 501
SHOES/ジェイエムウエストン
CAP/ブルースセントリック
GLASSES/白山眼鏡
▼そもそもブラックデニムってどんなデニムか知っている?
(出典/「2nd 2023年4月号 Vol.193」)
Photo/Kazuo Yoshioka(BURONICA),Yoshika Amino Text/Masato Kurosawa
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