世界最小!? M5のシステム手帳って知ってる?

手のひらサイズ、「エムゴ」とか「マイクロファイブ」などと呼ばれる5穴の105×61mmサイズのリフィルを挟むためのミニ手帳が、いま大人気だという。「いやいや小さすぎるでしょ!」「何を書くために?」など、多くの疑問が浮かぶのが当然……と思っていたが、先日行われた「趣味文CLUBの文具バザール」にお邪魔したところ、「文具沼の住人」から思いもよらない意見をもらったことから、私のM5ライフがはじまった。

「手帳はひとりひとつ」が大間違い!

先入観に縛られていたなぁと恥じる思いでいっぱいだが、そもそも「手帳はひとりひとつ」と思っていたことそのものが間違っていたようだ。文具沼の住人からは以下の手厳しい意見を頂戴した。

  • 手帳は1冊で完結する必要はない。
  • そもそも小さくてかわいい。
  • M5は何冊持っていてもいい。
  • 用途によって使い分けるべき。

などなど。

実際にM5が飛ぶように売れていくのを見ていると、前述の疑問が浮かんでいた私の私見が間違っていたのでは?とうろたえる。まずはモノは試しにとばかりに、購入を決意。

選んだのは服好き、レザー好きの本領を発揮し、いきなり「コードバン」。デニムを彷彿させる少し薄めのブルーコードバンを選んでみた。うーん、確かにかわいい……。愛用しているヤード・オ・レッドのペンシルがジャストサイズ! まずは相棒となる文具が決まったところで、リフィル選び……と行きたいところだが、使用前のシーズニングとばかりに、レザーのケアから試してみた。

いきなりコードバン! 手帳もレザーグッズなのでエイジングを楽しむ。

手帳と言っても、レザーグッズであることに変わりなく、私にとってはエイジングを楽しむ対象。モウブレィの皮革用ローションを試してみることに。普段からシューケアに使っているものだが、「汚れ落とし」「栄養」「ツヤ出し」が一気にできるという優れもの。基礎化粧品でいえばオールインワンのような便利なもの。塗り込みはネルドリップ用のフィルターの使い古し。これが実に使いやすく、以前から愛用しているのだが、塗り込んだ後はブラッシング。ブラシの先端で磨くと言うよりは、ブラシの線を押し付けるような磨き方が良いとか。

向かって右側だけローションを塗り込み、ブラッシングをしてみた。さすがに新品を磨いたのであまり差は感じないが、少しだけ色が濃くなっている。

そして次はクリーム。ツヤ出しと保革のためのクリームなので無色を選べば問題ないと思うが、靴ならまだしも手帳がベタつくのは困る。クリームを含ませすぎないようにうっすらと塗布、そしてブラッシングしてみたところうまくツヤが出てきた。革とシューケアグッズの相性は良さそうなので、中面もケアを行って使用前の準備は万端!

鏡面磨きやハイシャインとまでは行かないまでも、ピースした指がうっすら映るくらいまでケアを行ったのがお分かりいただけるだろうか。そしてやっとリフィル選び。ここは初心者ゆえに、『趣味の文具箱』編集部にもご協力いただき、いわゆる定番のリフィル類を紹介してもらった。

使い方は十人十色。リフィル選びの妄想が止まらない!

ひと口にリフィルと言っても罫線の幅や有無、色など様々だ。罫線がないものは自由にアイデアを書き留めたりするメモ代わりに、罫線アリの白はTo Doかな。色によって買い物リストにしたり、仕事用・家族用など内容を書き分けてもいい。Googleカレンダーで大方のことは賄っていたが、書き留めることそのものが楽しく、もっともっと使いこなしたい欲求に駆られる。また、この用紙が非常によくできている。穴のサイズは3.5mm。穴が大きすぎると用紙が動いてしまって書きづらいなどの現象が起こるため、アシュフォードは手帳とリング径、リフィルの相性を考え抜いた最適なサイズでリリースしている。さらに、穴にはよくみるとスリットが入っていて、書いた後に取り出しやすいように設計されている。さらにさらに、角が落とされているのは、M5より大きいサイズのシステム手帳にM5用のリフィルを入れた際に、穴とリフィルが干渉しないように計算されているもの。「バイブルサイズにはバイブルサイズ」、「M5にはM5のリフィル」と思い込んでいた自分の頭の硬さを思い知る。いやー、この沼、奥が深い! 実際に使わないと分からない、小さなディテールにこだわりが満載。

ポケットには名刺を入れてみた。暫定的な使い方だが、ここには定期券などのICカードでもいいかも。そしていま必要と思われるのが、

  • 名刺入れリフィル
  • カレンダー
  • ペンホルダーリフィル
  • M5専用のミニミニボールペン

M5に使いやすいサイズのボールペンとなると候補は以下だ。

  • カランダッシュ エクリドール
  • モンブラン モーツァルト
  • カヴェコ リリプット
  • アントウ ボールペンC
  • 伊東屋 No.3ミニ

当然、予算との戦いもあるし、アントウは1cmほど長い、カヴェコはクリップが付属しない……など、いざ実際に選ぶとなると小さな差が気になって仕方がない!

M5の沼にどっぷりハマる日も近い!?

手帳の使い方は人それぞれ。特にM5はメモ帳やTo Doリスト代わりに使う人も多いので、あまり詰め込みすぎてもいけない気がする……。どんな機能を持たせたいかによってリフィルの内容は変わるし、収納物や添わせたいペンも変わる。ペンは添わせない方がいいという人もいるくらいだ。ただ、どんな使い方をしようかと思いを巡らせ、色々試すことそのものが楽しい。いまはまだ沼の縁に立ち奥の方を望遠鏡で覗いている程度だが、M5の沼の深さを窺い知ることができた。いっそのことオリジナルのボールペンをメーカーとコラボして作りたい衝動にすら駆られている。これから始まるM5ライフにワクワクが止まらない。

この記事を書いた人
おすぎ村
この記事を書いた人

おすぎ村

ブランドディレクター

『2nd』のECサイト「CLUB-2nd」にて商品企画・開発を担当。貴重なヴィンテージをサンプリングした人気ブランドへの別注などを世に送り出している。2nd、Lightningの元編集長にして現在は2ndのブランドディレクター
SHARE:

Pick Up おすすめ記事

デニムにする? コーデュロイにする? エドウインのトラウザーズを軸に作る「シン・トラッドスタイル」

  • 2025.09.19

ジャパニーズアイビーのボトムスは、太ももから裾まで太さが一定のパイプドステムが主流であった。対してタック入りのトラウザーズは、1920年代に登場したといわれる、よりクラシックなボトムス。そんな旧きよきトラウザーズを軸に、いつものトラッドスタイルを刷新してみてはいかがだろうか。 【右】トラウザーズ2万...

【BIG SMITH×2nd別注】米軍の名作バッグをデニムで再構築! 経年変化が楽しめるデニムのエプロンバッグ。

  • 2025.09.22

これまでに、有名ブランドから新進気鋭ブランドまで幅広いコラボレーションアイテムを完全受注生産で世に送り出してきた「2nd別注」。今回もまた、渾身の別注が完成! >>購入はこちらから! BIG SMITH × 2nd ワーカーズエプロンバッグ 1940年代のアメリカン・レッドクロス(米国赤十字社)が製...

レザーラバー必見! 革ジャン用に作られた薄手のスウェットをゲットせよ!

  • 2025.09.30

革ジャン専用のTシャツをリリースし、レザーラバーから絶大な支持を受けるブランド「ハイウェイナイン」。ライトニング別注の「Lightning Leather Lover Tシャツ」のボディにも使われているので、愛用している方も多いのでは? そんなハイウェイナインが、レザーラバーのために新たなアイテムを...

シルバーをアートに変える、現代の錬金術師。

  • 2025.09.24

ネイティブアメリカンの伝統技法をベースに現代的なエッセンス、そして日本独自の繊細な美意識を加えることで唯一無二の世界観を紡ぎ出すFIRST ARROW’s。一片のシルバーの塊に命を吹き込むその様は まさに現代のアルケミスト(錬金術師)という表現が相応しい。これらの作品は貴方が身に付けることで完成する...

Wranglerの走破性は本物か? オフロード体験会で徹底検証

  • 2025.10.03

筑波山の麓で開催されたジープのオフロード体験イベントは、ジープオーナーはもちろん、新規顧客にとってもジープの魅力を存分に感じられる特別な一日となった。専用のオフロードでラングラーならではの走破性を体感でき、オーナー同士の交流も見られた。今回は現地取材を通して、その模様と参加者のリアルな声をお届け。 ...

Pick Up おすすめ記事

東洋エンタープライズがこれまでに培ったノウハウや知見の集大成「モダクト」と「タフナッツ」

  • 2025.09.19

「シュガーケーン」や「バズリクソンズ」など、ヴィンテージをベースとした生地やディテールの圧倒的な作り込みで知られる東洋エンタープライズ。そんな同社が手がけるブランド、「モダクト」と「タフナッツ」は、これまでに培ったノウハウや知見の集大成でありながらどんな日常のシーンでも使いやすい実用性を備える。映画...

シルバーをアートに変える、現代の錬金術師。

  • 2025.09.24

ネイティブアメリカンの伝統技法をベースに現代的なエッセンス、そして日本独自の繊細な美意識を加えることで唯一無二の世界観を紡ぎ出すFIRST ARROW’s。一片のシルバーの塊に命を吹き込むその様は まさに現代のアルケミスト(錬金術師)という表現が相応しい。これらの作品は貴方が身に付けることで完成する...

【Willis & Geiger×2nd別注】ミリタリーとサファリが香るアーバンアウトドアウエア

  • 2025.09.17

これまでに、有名ブランドから新進気鋭ブランドまで幅広いコラボレーションアイテムを完全受注生産で世に送り出してきた「2nd別注」。今回もまた、渾身の別注が完成! >>購入はこちらから! 90年代のアーカイブをデザインソースに、上品さを加えてアップデート。ウールメルトンジャケット[メトロ ウォーカー] ...

レザーラバー必見! 革ジャン用に作られた薄手のスウェットをゲットせよ!

  • 2025.09.30

革ジャン専用のTシャツをリリースし、レザーラバーから絶大な支持を受けるブランド「ハイウェイナイン」。ライトニング別注の「Lightning Leather Lover Tシャツ」のボディにも使われているので、愛用している方も多いのでは? そんなハイウェイナインが、レザーラバーのために新たなアイテムを...

デニムにする? コーデュロイにする? エドウインのトラウザーズを軸に作る「シン・トラッドスタイル」

  • 2025.09.19

ジャパニーズアイビーのボトムスは、太ももから裾まで太さが一定のパイプドステムが主流であった。対してタック入りのトラウザーズは、1920年代に登場したといわれる、よりクラシックなボトムス。そんな旧きよきトラウザーズを軸に、いつものトラッドスタイルを刷新してみてはいかがだろうか。 【右】トラウザーズ2万...