物によっては、7~8種類もある万年筆の字幅。
万年筆の字幅の基本はF(細字)、M(中字)、B(太字)の3種類。ブランドによってEF(極細)、MF(中細)、BB(極太)があり、さらに細いUEF(超極細)や太いC(特太字)を作っているものもある。しかしボールペンと異なり、万年筆の字幅には規格がない。海外ブランドに比べて国産万年筆の字幅は細く、国産のMと海外のFがほぼ同じという場合もある。
筆記線は筆圧や筆記角度によっても変わるため、書き方によっては目指す字幅にならないこともある。表記だけを判断材料にせず、実際に試し書きして目的の筆記線かを確認するようにしよう。
字幅はペンポイントのサイズで決まる。
ペン先の先端にある球体がペンポイント。このペンポイントのサイズによって字幅のベースが決まり、同じ字幅でも仕上げの仕方で筆記線の太さが微妙に異なる。さらに切り割りの寄せ具合やペン芯の添い方も影響し、インクフローが潤沢なら太く、絞れば細くなる。使い込めば筆記角度に合わせて小さな面ができ、線が太くなる傾向がある。
国産万年筆の字幅と筆記線の太さの目安。
字幅によって異なる筆記線の太さの目安一覧。国産万年筆は細めに設定されている。
字幅 | 筆記線の太さ |
UEF 超極細 | 0.18~0.24 mm |
EF 極細 | 0.24~0.28 mm |
F 細 | 0.28~0.34 mm |
MF 中細 | 0.32~0.38 mm |
M 中 | 0.34~0.44 mm |
B 太 | 0.44~0.54 mm |
BB 極太 | 0.66~0.86 mm |
※中屋万年筆のデータを参照。筆記圧50g・筆記角度60度の場合。
字幅別の適した用途とは?
一般的に言われている、字幅ごとの適した用途は下記の表のとおり。だが、あくまでも目安なので好みで自由に選べばいいだろう。
超極細・極細・細 |
・ 手帳に予定を細かく書く
・ 授業や講義のノート ・ 会議中に資料などに追記する |
中細・中 |
・ 契約書、稟議書などのサイン
・ 日記帳に出来事や思い出を書く ・ 会議中などにアイデアをノートに書く ・ 履歴書、公式書類などの清書(細字も) ・ 原稿用紙に書く |
太・極太 |
・ 年賀状、郵便の宛名書き
・ アイデアなどを乱雑に書き出す ・ 便箋に便りを書く |
海外ブランドと国産ブランドのペン先を比較してみた!
海外の万年筆のペンポイントは丸いものが多く、筆記線は太め。国産万年筆のペンポイントは細長い傾向で筆記線は細め。比べてみると違いが分かる。同じ字幅でも印象は異なるので、選ぶ際の目安にするといいだろう。
◆
一般的な中太・中軸に慣れてくると、いつしか自分の好みの文字を書きたくなるもの。国産と海外ブランドでは同じ字幅表記でも書いてみるとだいぶ印象が異なる。いろいろ試して理想の一本との出会いを目指してもらいたい。
(出典/「趣味の文具箱特別編集 万年筆とインク入門」)
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