万年筆の各部位の名称とは? これさえ知っていれば万年筆を語れる!

万年筆の魅力を語るためにも、まずは各部の名称をしっかり覚えておこう。パーツの数は少なくシンプルだが、ペン先や内部では毛細管現象などを活用した繊細な構造が組み込まれている。軸が一体となっている吸入式と、首軸を外してカートリッジやコンバーターを装着するカートリッジ式両用式に大別されるので、それぞれのイラストを元に見ていこう。

【ペン先】「ペン体」と「ペン芯」で構成されるペン先。先端は「ペンポイント」と呼ぶ。

万年筆の先端にある「ペン先(ニブ)」は、金属製のペン先と、樹脂製(旧来のエボナイト製なども希少ながらある)のペン芯の、主に2つのパーツが組み合わされて、首軸にセットされている。ペン先の先端には、硬いイリドスミン製のペンポイントが溶接してある。

【回転吸入式】キャップのトップは「天冠」。軸は「胴軸」「尻軸」に分かれている。

回転吸入式の万年筆は、インクを吸入するときに回転させる尻軸がある。胴軸と首軸の間にはインク残量を見るための窓(インク窓/インクビュー)が付いているモデルもある。

【カートリッジ式/両用式】カートリッジを入れるため「首軸」と「胴軸」の2つに分かれている。

カートリッジインクやコンバーターを首軸に挿し込むために、首軸と胴軸が回転して外れる構造になっている。キャップの構造は原則として吸入式と変わらない。

万年筆の仕組みに関する用語も押さえておこう!

万年筆は約200年前にこの世に登場した。その後、試行錯誤が繰り返され、約130年前に毛細管現象を活用した基本構造が確立され、進化しながら現在に至っている。そこで、万年筆の各部位の名称ではないが万年筆を語る上で外せない、その内部構造や仕組みにまつわる用語をここでは押さえておこう。

万年筆のペン先の構造

「インクを引き出す」仕組みと「空気を引き込む」仕組みが万年筆のペン芯の主な機能だ。図の内部構造は一般的な例で、各社によって細かい構造はかなり違っている

万年筆のペン先は、紙面に触れた瞬間に流れるようにインクが出てくる。この仕組みは、毛細管現象気液交換作用を利用した内部の構造にある。

胴軸の内部に蓄えたインクを毛細管現象を使ってペン先へと導き、ペン先と紙が接触すると紙の繊維にインクが引かれることで文字が書ける。インクをスムーズに紙面に導くには、出たインクと同じ量の空気を胴軸の内部に入れる必要がある。このためペン芯にはインクが通るインク溝と空気を取り入れる空気溝がある。

毛細管現象とは?

液体中に細い管(毛細管)を立てると、管内の液面が管外の液面より上がる(または下がる)現象。万年筆は液体が、管や繊維などの空間へ重力に関係なくより細い方へ移行する現象を利用している

気液交換作用とは?

スムーズにインクを出すには、出たインクと同じ容量の空気を交換する必要がある。各社はペン芯に巧妙に空気溝を設計することで、最上のインクフローを実現させている。

(出典/「趣味の文具箱特別編集 万年筆とインク入門」)