今季注目のスカジャンを2人が解説!
“JAPAN MAP” × “GOLD DRAGON” Early 1950s Style Acetate Souvenir Jacket
松島親方(以下親)/このジャパンマップ。構図がすごく濃縮された密度になっていますね。松山達朗さん(以下松)/元となるヴィンテージの刺繍も密度がすごく、素晴らしい色遣いなんです。この黒いボディにゴールドの袖や、赤白のパイピング、そして緑のリブ。元となるヴィンテージを所有しているからこそ、こういう絶妙な色味を再現できるんです。この刺繍をよく見ていただくと、この黒いベースに対して、日本列島は白を基調に刺繍されてるんですよ。それに対して、この五重の塔や鳥居なんかはカラフルな刺繍糸を使っているんですよね。
親/桜なんかもね、アクセントとしてすごい効いてますね。
松/雪が積もった富士山、あと松と桜。日本の情緒を感じさせるモチーフが盛り沢山なんです。
親/日本らしさを全部入れちゃったみたいな感じですね。この鳥居、海の中に立っている?
松/そうなんです、広島にある厳島神社です。刺繍に呉(KURE)とありますので、恐らく広島の米軍基地内もしくはその周辺で販売されていたものと予想されます。
親/広島のシンボルですもんね。いや、素晴らしいですね。あと五重の塔の色遣いも、こんな鮮やかなもの見たことないです。
松/あとジャパンの文字がブロック体というのも珍しいんです。胸側もよく出来ていて、デフォルメされた龍と虎が描かれています。
親/ちょっと可愛らしい感じ。
松/こういったデフォルメというのは、刺繍職人のセンスが一番出てるものなんです。愛嬌のある龍と虎が向かい合って吠え合うのも珍しいですよ。
“DRAGON & TIGER” × “EAGLE” Mid 1950s Style Acetate Souvenir Jacket
親/こんな色味見たことない!松/ライトブラウンという新色なんですけど、ヴィンテージにも実は存在するんですよね。
親/ヴィンテージを元にテーラー東洋として初めて作ったと?
松/初めてです。私も1、2度ぐらいしか見たことないんですけど、ちゃんと存在するんですよ。
親/刺繍が全部黒って珍しい?
松/ブラックタイガーとブラックドラゴンが向かい合い、リブはラインが入ってない黒単色なんです。パイピングも黒と白となっています。身頃と袖下がこのライトブラウンで、この袖のラインは黒となっています。しかも胸側が鷲なんですよ。背中が龍と虎なので、スカジャンの三大モチーフが揃っているんですよ。
親/全部揃っちゃったわけだ。
松/注目は針足ですね。虎の縞模様を黒一色で表現しているのにも関わらず、しっかり虎斑(トラフ)が刺繍で再現されてます。
親/同じ黒糸なのに針足だけで虎斑を表現できるんだ!
松/生地を見る角度を変えるだけで虎斑が浮かび上がってくるんですよ。レーヨン糸の光沢をうまく利用して、針足の角度を変えて刺繍しているんです。
親/遠くから見るとスカジャンを着ているとは思えないぐらい、色で雰囲気が変わりますね。
松/ヴィンテージでも珍しい配色のため一般的なスカジャンと雰囲気が異なるので、新鮮な着こなしを楽しんでもらえると思います。
親/松山さんの今日の着こなしもいいですね。刺繍に合わせた黒いハットとシャツで大人な雰囲気!
松/リバーシブル面は王道の配色なので両面楽しんでください!
スカジャンクロニクルはこちら。
https://www.youtube.com/playlist?list=PLmZVYWnD-B0dApNsvPN0vjwXGp-jUi6Py
【DATA】
テーラー東洋(東洋エンタープライズ)
TEL03-3632-2321
http://www.tailortoyo.jp
(出典/「Lightning 2024年10月号 Vol.366」)
Photo/K.Torii 鳥居健次郎
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