【デザイナー同士の本音対談】このバイクはちょっとしたミスマッチのあるファッションで乗りたい。

バイクは乗るときのファッションも大事。そんなトークを新しいヤマハXSR900 GPをテーマにプロダクトデザイナーとアパレルデザイナーがスペシャル対談。まずは、こんな漢心をくすぐるバイクが発売されたことを知ってほしい。そして、このノスタルジックなバイクに似合うウエアを、車両デザイナーとの対談からヒントを得たアパレルデザイナーに提案してもらうというスペシャルな企画が実現した。

プロダクトデザイナーとバイクに精通したアパレルデザイナーがヤマハXSR900 GPで語る。

写真左:清水芳朗(XSR900 GPデザイナー/GK Dynamics)|ヤマハ車両のデザインを数多く手掛けてきたGKダイナミックスのプロダクトデザイナーで、ヤマハのヘリテージブランドXSRシリーズのデザインに携わってきた。自身もライダーで当日はXJR1300Cで会場入り。 写真右:高橋生児(ROARS ORIGINAL代表)|「モーターサイクル・ファッション・アート」の融合を目指し、新しい可能性に挑戦しているブランド“ロアーズオリジナル”の代表で、二級二輪整備士国家資格を持つ異色のアパレルデザイナー。

YAMAHA XSR900 GP

ヤマハのヘリテージブランドXSRシリーズに今年新たに加わったXSR900 GP。そのネーミングからもわかるとおり、80年代のグランプリレーサーを彷彿させるカウルやセパレートハンドルが特徴となっている。そのレーシーななスタイリングとは裏腹にライディングポジションは意外とキツくない。価格は143万円。

ライダーが跨がってバイクは完成する。だからファッションも大事なんです。

過去に高橋さんが企画するイベント「Motor!! Motor!!」の対談に清水さんが登壇したことがあったりと旧知の仲のお二人。取材が始まる前から世間話で盛り上がり、終始和やかな雰囲気の中、トークは進んでいった。

今回は、’80年代のレースマシンを彷彿させるスタイリングで発売前から大きな話題になっていた、ヤマハ・XSR900 GPにマッチするウエアの提案。とはいえ二人ともバイクが大好きだから、車体を目の当たりにすると、小さなライトがカッコいいとか、アンダーカウルがないのがいいとかバイクのスタイリングについての話が止まらない。

そんな中、清水さんの「バイクのデザインをする際には、ライダーが跨ってトータルでどう見えるとカッコいいかを毎回考えるし、ファッションやテイストに合わせてバイクを改造した時に、ノーマルがどうなっているとカッコいいのかも考えます。

ただ、ユーザーが一番わからないのって、どんな服装で乗ればいいの? というところなので、今回は高橋さんにぜひその辺りを提案していただけると」というパスを受けて、「バイクにバッチリと合わせすぎちゃうと面白くないなと。おしゃれだね、カッコいいねっていうのは、どこかしらちょっとしたミスマッチが発生した方が、出るんじゃないかと思います」と高橋さんがピックアップしたのが下記に紹介するアイテムだ。選んだポイントも添えたのでぜひ参考にしてほしい。

そして、提案後もデザインをテーマにした話は尽きることはなかった。特に「作り手の想い」が込められていることがこれからの時代さらに大事になってくるという話は心に響くだろうから、そのやりとりを載せておこう。

清水 最近、エンジニアやデザイナーが苦労して作り上げたところを何の説明もしていないのに「ここすごいですね」とユーザーさんによく言われるんです。わかるんだなぁと思って。
高橋 服も同じで、“今こういうの流行ってるんだ”と追っていると、流行りを作った人のは売れるけれど、追ってる側は売れない。“こういうのが自分は好きなんだよな、誰か好きな人いるかな”の方が意外と売れて、作っている人が本当に好きで楽しいと思っている方が伝わるんです。
清水 目立つアパレルメーカーって、他と違うし本当に好きでそれをやってますよね。
高橋 そうなんですよ。作る側がこういうのが好きで、楽しいんだよと作っていると、値段の違いもあるのにこっち側に向いてくれるんです。
清水 ちょっと高いなと思って普通手を出さないものも、作り手の思いが見えちゃったりすると、お金払っちゃいますよね。
高橋 それはある。このXSR900 GPにもそれは詰まっている気がします。それが人を惹きつけて、人気につながっているんじゃないかな。

この先、AIがもっと発達して、バイクは今までのカスタム車両の要素も含めて、服も今までの売れたものの要素を含めて、AIを使って製品を作ったとしても、作る人が感じたところやものに買う人が感じる要素ってあって、コンビニで安くお酒買えるのを、わざわざスナックで飲む感覚っていうんですかね(笑)、そこに人の雰囲気があって、空気感があって、そういうのがいいんじゃないかと思うんです。

清水 ほぼ同じ話を会社でしたんだけど、今AIでスケッチを書くと、ある意味ブワッとたくさん絵が描けるわけ。そのどれもがカッコいいんですよ。ただ作っている時にデザイナーがこの形しかないと思えるくらい書き込んでない絵がカッコよく見えちゃうんですね。その絵の説明を求められた時、そのデザイナーは「ここがすごいんですよ」と言えるのかなとずっーと思っていて。確かにAIで視野を広げたバリエーションをいっぱい作れるんですけど、魂を込めたものづくりはできないんじゃないかなと思うんです。

高橋 そうですよね!
こんなニ人が手がけたバイクとウエアからは、強い想いが確かに伝わってくる。

YAMAHA XSR900 GPに乗るならこんなファッションがいい。

このバイクを見て、その生まれた背景やデザインから高橋さんがいくつかのアイテムをピックアップ。「ちょっとしたミスマッチ感」をあえて加えたセレクトは参考になる。

LIGHT RIDERS JACKET

バイクに定番のライダースジャケットは、車体がモノトーンだと、定番の黒じゃなくて、あえて主張するような色に変えてみるというのもありかな。14万円。

RIP STOP PUNCHING MESH SHIRTS

夏はメッシュで風を通すけど、プロテクターが付けられてちょっとミリタリー要素もあって、バイクを降りれば、「今日バイクですか?」と聞かれるようなラフな感じ。4万8000円(プロテクターなし)、5万3000円(肘・肩・背中・胸メッシュプロテクター付き)。

W.W.PARKA

XSR900 GPは思ったよりコンパクトで軽い。そうなると服の選び方も変わってきて、パーカなんだけど防風のフィルムが挟まっている、そんな意外性があるのも面白い。3万8000円。

BODY BAG

バッグ自体がファッションの要素になったらいいんじゃないかなと。上体の上の方に持ってくると、レーシングスーツの背中のコブを連想させて、走っている感を演出できる。2万9000円。

CHEST BAG

ジャケットの下にプロテクターが一般的ですが、プロテクターを入れられるベストを、あえてパーカーの外に羽織る。そうすることでSFっぽさを出してみるのもいいかも。2万8000円。

PADDED RIDER JACKET & 2D CARGOPANTS

バイクにあるミリタリー的な要素をパンツに入れてみてはどうかと。全部が迷彩だと引かれちゃうかもなので、跨った時に腰回りだけ見えるという遊び心がいいかな。ライダースジャケット13万9000円、パンツ3万2000円(プロテクターなし)、3万4000円
(メッシュプロテクター付き)

詳しくは動画もチェック!

【DATA】
ヤマハ発動機カスタマーコミュニケーションセンター
TEL0120-090-819
https://www.yamaha-motor.co.jp/mc/

ROARS ORIGINAL
TEL03-6434-0961
https://www.roars.jp

この記事を書いた人
Lightning 編集部
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