市販モデルで1000馬力超え! ヤバすぎるコルベット「ZR1」が誕生。スプリットウィンドーも復活しZR1の歴史は新ステージへ。

現在の自動車業界といえば環境性能を前面に打ち出したハイブリッドやEV開発などばかりが目立っているようだけど、昔ながらのガソリンエンジン車もまだ開発は終わったわけではない。とくにアメリカではいまだにガソリンのV8エンジン信仰者が数多く、普段はハイブリッドやEV車に乗っていても、ここぞというときには大排気量のV8エンジン搭載車を走らせるという愛好者は少なくないのだ。シーンによってクルマを選ぶのもクルマ大国アメリカならでは。そんな人たちにまたも強烈なモデルが発表された。それがシボレー・コルベットZR1だ。

速くて力持ちなコルベットの最強バージョンの現在における最終到達地点。

「The King of the Hillが帰ってきた」という見出しとともに情報が解禁されたコルベットの最強バージョンであるZR1。じつはこのZR1というグレード名、かつてC3(3代目コルベット)だった1970年に生まれ、シボレーの名機と言われるLT1エンジン(5700cc V8)を搭載し、細部まで走りのパフォーマンスをアップデートしたモデルとして誕生。

さらに1989年のC4コルベット、2009年のC6、2018年のC7(7代目)にも存在。つまりこの「ZR1」という響きは、往年のコルベットファンだけでなく、アメリカ車ファンにとっても「おおっ、ついに来たー」となるわけ。そんな歴史的な名前を踏襲して発表された新生ZR1はミッドシップモデルとなったC8(8代目コルベット)の2025年モデルとして生まれた。もちろんその内容はハンパではなかった。

当然特筆すべきはエンジン。今回はLT7と呼ばれる5500ccのDOHCのV8エンジンを搭載。これはLT-6と呼ばれるNA(自然吸気)エンジンをツインターボ化したというコルベット史上初のツインターボエンジンになった。

といってもただターボをポン付けしたわけではなく、すべてのパーツをツインターボに最適化するべく設計され、ケンタッキー州ボーリンググリーンで熟練のビルダーによってハンドメイドされるという特別な強心臓に。なんとその出力は1064馬力を叩き出すというからもはや「やりすぎ」にもほどがある。

さらに注目すべきはボディスタイルはクーペとコンバーチブルが用意され、クーペモデルには1963年式にしか採用されていなかったリアのスプリットウィンドーがデザインされるというのも大ニュースだ。

とにかくそのスペックから見た目まで、話題性たっぷりのコルベットになることは間違いない。ただしまだ価格やデリバリー時期などの詳細は未定。いずれにしてもプレミアムモデルになることはほぼ決定だろうな。

リップスポイラーはカーボン製。最強モデルなだけに惜しげも無くカーボンパーツが使われている。フロントフードは多くの空気をリアのエンジンルームやインタークーラーに取り入れるためのデザインになっている。

クーペモデルはリアウィンドーが二分割されるスプリットウィンドーが1963年式以来の復活を遂げる。ただしこのモデルはカーボン製で、デザインも1963年モデルとは大きく違う進化形となっている。これはオプションで設定できるZTKパフォーマンスパッケージで巨大なリアウイングを装備する。

エンジンがキャビン後方に置かれるミッドシップのため、エンジンやリアのブレーキを冷却するためのインテークがリアタイヤの前方にセットされる。そのエッジはカーボン製パーツになりデザインのアクセントにもなっている。タイヤはフロントが20インチ、リアが21インチになる。

上下がフラットにデザインされた異形のステアリングにもカーボンパーツを使用。ステアリング下部にはZR1のエンブレムがセットされる。インパネにはターボ車であるこのモデルのみに必要なブースト計が表示される。

ボディ中央後方に鎮座するエンジンからコクピットを眺めることができるのがミッドシップならでは。コルベット伝統の2本の旗が交差する「クロスフラッグス」のエンブレムが誇らしげ。そのスペックは欧州のスーパーカーも舌を巻くほど。

これが搭載されるV8ツインターボエンジン。ついにコルベットも市販モデルで1000馬力を超えるパワーを手に入れた。エンジンは熟練の職人によって組まれ、ネームプレートが付けられる。アメリカのクラフトマンシップがここにあるってわけだ。

ZR1の歴史もおさらいしてみる。

シボレー・コルベットのなかでも最強のパフォーマンスを発揮するZR1。じつはその歴史は長く1970年代までさかのぼる。アメリカのナンバー1スポーツカーであるコルベットは常に速いクルマでなければいけないというアイデンティティが数々の世代でZR1を生んでいった。もちろん、各世代でそれぞれの特徴があり、新たに生まれるほど馬力も上がっていることにも注目。というわけで、その歴史をでおさらいしてみる。

1970 Chevrolet Corvette ZR1 Package

ZR1の名前が生まれたのはグレード名ではなくオプションパッケージの名前。C3(第3世代)コルベットの1970年式に登場したパッケージで、LT1と呼ばれる名機5700cc V8エンジン(370馬力)に、ヘビーデューティ仕様のトランスミッション、ハイパフォーマンスブレーキ、ハンドリングをアップデートしたサスペンションなどがその内容で1972年式モデルまでチョイスできた。写真は1972年式モデル。

1989 Chevrolet Corvette ZR1

C4(第3世代)コルベットのハイパフォーマンスなグレードとして登場したZR1は、それまでOHV V8を固持してきたコルベットに、当時GM傘下だったロータスが設計したオールアルミ製DIOHC V8エンジン(375馬力)に6速マニュアルを搭載。C4で生まれたエアロダイナミクスボディも手伝って、最高速は時速約290kmと、当時のスーパーカー並みのスペックに。そのスポーツ性能を限界まで高めたモデルとして君臨したハイエンドモデルだった。

2009年 Chevrolet Corvette ZR1

C6コルベットで久々に誕生したZR1はLS9と呼ばれるスーパーチャージャー付きV8エンジンを搭載。638馬力という市販車とは思えないスーパーなスペックで、ついに最高速度も約320kmを叩き出し、ゼロヨンは11秒で走り抜けるというもはやレーシングカー並みの市販車へと進化した。現代モデルらしくカーボン製パーツも数多く使用され、その走りのポテンシャルはフェラーリをも凌駕すると言われた。

2019年 Chevrolet Corvette ZR1

C7(7代目)にも存在したZR1。これがFRコルベットの最終ZR1となったモデル。そのスペックはLT5と呼ばれる6.2リッターV8エンジンにスーパーチャージャーで過給し、755馬力というモンスターに仕上がっている。それに対応するため、ボディパーツやブレーキなどの足周りも強化され、もはや公道ではそのフルパワーを体験することは厳しいほどに。もはやサーキットでなくてはもて余すほど凶暴なモデルに進化した。

この記事を書いた人
ラーメン小池
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ラーメン小池

アメリカンカルチャー仕事人

Lightning編集部、CLUTCH magazine編集部などを渡り歩いて雑誌編集者歴も30年近く。アメリカンカルチャーに精通し、渡米歴は100回以上。とくに旧きよきアメリカ文化が大好物。愛車はアメリカ旧車をこよなく愛し、洋服から雑貨にも食らいつくオールドアメリカンカルチャー評論家。
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