今夏は腕時計とメガネのコーディネイトにこだわりたい

腕時計とアイウエアの共通項は、ファッションの前に道具であることだ。この2つをうまくリンクさせることで、グッと洒落た印象を与えることができる。そんなコツをアンティークウォッチとアイウエアの専門店であるアフタの牧野さんに聞く。

シンプルな視点で楽しみたい、眼鏡と腕時計のコーディネイト。

「アフタ」代表・牧野弘生さん|1981年生まれ。アイヴァンの直営店でショップマネージャーを経て、昨年にアフタをオープン。アンティークウォッチの愛好家でもあり、20代からコツコツと収集していた

2023年に中目黒にオープンし、各所で話題となっているアフタ。もともとアイヴァンの直営店で店長を勤めた牧野さんが手掛けるアイウエアショップで、アイヴァン7285、10アイヴァンからアンティークのフレームフランスに加えて、ロレックスを中心とした通なアンティークウォッチが並ぶ。

アイウエアは言わずもがな、アンティークウォッチ好きだからこそ体現できる、痒いところに手が届いたセレクトが最大の魅力。そんな牧野さんに腕時計とアイウエアを合わせる際のコツを聞いた。

「もっともわかりやすいのが、文字盤とフレームのカラーリングを合わせることですね。これだけでグッと相性がよくなります。また時計の素材に合わせて、シルバーやゴールドの金属フレームを合わせるのも王道だと思います。

ショップのセレクトにも通ずるのですが、デザインが全面に出ないことをともに意識しています。あくまでも着用する方の脇役であることが大切だと思いますね。

あとはアンティークに引っ張られないこと。もちろんアンティークウォッチに、ヴィンテージフレームも相性が良いのですが、道具として使いにくければ、もったいないと思いますね。現行でも素晴らしいデザインや機能美はありますし、調整がしやすい。国や時代にとらわれず、良い眼鏡と良い時計というシンプルな視点で選ぶのが、一番の正解だと思います」

牧野さんのセレクトするアイウエアと時計は、タイムレスな魅力を持つデザインながらも、どこか個性的なプロダクツばかり。良い時計と良いメガネを探すなら、まず訪れてほしい名店である。

ロレックスやカルティエのアンティークドレスウォッチを中心としたラインナップ。よく見つけたなと感心するくらいデザインやディテールを擁する個体ばかり
店内には検眼機があり、レンズまで製作してくれるので安心。時計に関しても丁寧なオーバーホールが施されており、コンディションも抜群だ
アンティークのアイウエアは、フレームフランスを中心としている。コンディションとデザインを厳選しており、デッドストックとミントを中心としたラインナップである

通なエクスプローラーダイヤルにブラックフレームのサングラス!

EYEVAN 7285 1000

エクスプローラーダイヤルに合わせたのは、ボストンとアビエイターを掛け合わせたようなシェイプが際立つメタルフレーム。文字盤のブラックに合わせて、強度のあるβチタンの同色をチョイス。金属の粒子などを混ぜ合わせて調色し、溶解後に一枚ずつ成形して製作するガラス製のアイヴァンカーブレンズを採用。7万2600円

1968 ROLEX EXPLORER Ref.5500

ロレックスがスポーツモデルのエクスプローラー1を販促するために製作されたエアキング用のリファレンスナンバーを用いたエクスプローラーバージョン。本家は36㎜ケースであるが、当作は34㎜ケースとなっている。ミラーダイヤルも存在するが、マットダイヤルは1968年のみの生産なので、極少量である。258万円

個性的なスポーツモデルにはスポーティなセルフレーム!

EYEVAN 7285 770

オーセンティックなレンズシェイプに、唐草ヨロイパーツを組み合わせた一癖あるデザインが、個性的なレンジャーにマッチするコーディネイト。ヨロイ裏側に表と同じ形の台座を設置し、カシメピンとマイナスネジのWロックで強度を上げた7285独自の構造もポイント。46サイズなので、日本人の顔型によく合う。6万9300円

1967 TUDOR RANGER Ref.7966/0

チューダーのエクスプローラーモデルとなるレンジャーは、3、6、9のアラビア数字インデックスと矢印型の針を擁する個性的なデザイン。アンティークでは圧倒的に数が少ない上に、このデイト付きの仕様はさらに球数がない。現行でも復刻されているが、39㎜と大きいので、コンパクトさを求めるならアンティークだ。118万円

ブラック×ゴールドの文字盤とアイウエアを合わせた通なコンビ。

EYEVAN 7285 648

アイヴァン7285のファーストコレクションから展開するアイコニックな1PINカシメを用いたブロータイプ。いわゆるサーモント型とは異なるアセテートとチタンのコンビで、クラシカルな楕円形のシェイプとミニマルな1PINカシメでマイルドな印象に。文字盤のブラック×ゴールドに合わせたのが、なんとも通な印象。7万7000円

1957 ROLEX OYSTER DATE Ref.6494

コンディション抜群のミラーダイヤルに、ゴールドのクサビ型インデックス、アルファハンド、赤のデイト表記など、アンティークロレックスならではの意匠が組み合わされた手巻きムーブメントのオイスター。ベーシックながらも個性的という牧野さんの審美眼が光る個体。サイクロップレンズなしの風防に交換。99万円

文字盤や秒針のアクセントになったレッドをアイウエアでも拾う!

1940s Frame France

一際強い存在感を放つロレックスのミルガウスだと、アイウエアも個性を求めたいところ。そこで選んだのが、パリジャンのセル巻きというスペシャルピース。パリジャンとは、フランス版のウエリントンとも言えるベーシックな形だが、セル巻きで一癖ある印象に。しかもセルはレッドを基調としているのもポイント。11万円

1970 ROLEX MILGAUSS Ref.1019

数あるロレックスのラインナップの中で、唯一の耐磁性に特化した機能を持つミルガウス。その特殊すぎる立ち位置から極端に数が少なく、独自の意匠からアンティークマーケットではコレクターズアイテムとして知られる。こちらはセカンドモデルで、針の形状や秒針の先端が赤くなった意匠などが実に個性的である。ASK

風格のある金無垢モデルには美しきゴールドフレームで!

10 EYEVAN No.5

“美しい道具は美しいパーツの集合体である”という考えの基、10種の特別なパーツで作られたライン。金無垢とは一味違った上品な光沢感のあるゴールドのラウンドメタル。六芒星の形をしたβチタン製トルクネジや天然素材のシェルを用いたノーズパット、925シルバーのエンドチップなど、美しいパーツで構成。8万4700円

1964 ROLEX DATEJUST Ref.1601/8

近年、高騰しているロレックスの金無垢の中でも、指折りの人気を誇るミラーダイヤルのデイトジャスト。コンディションも抜群で、’60年代らしいアルファハンドの針や立体的なインデックスが、なんともクラシックな印象。さらに貴重な20㎜のリベットブレスが装備されており、コレクターズアイテムである。価格未定

アメリカのアーティストを彷彿とさせるゴールド×ピンクのクリアフレーム!

1950s Frame France

クリアフレームのアイウエアにカルティエの時計を着けていたアンディ・ウォーホルをイメージしたスタイリング。フレームフランスらしいピンクのクリアフレームはデッドストック。ヴィンテージらしい小振りなサイズと丸みのあるフォルムがマッチしたデザイン。同じフランス同士という組み合わせが、より深みのある印象に。9万9000円

1970s Cartier Santos-Dumont

1904年にブラジル人飛行家のアルベルト・サントス=デュモンのために、ルイ・ジョゼ・カルティエが考案したメンズウォッチの名作。1973年よりルイ・カルティエコレクションで復刻されたサントスデュモンとなる。飛行機の外装を彷彿とさせるビスモチーフのデザインや上品なホワイトローマンダイヤルが特徴だ。220万円

【DATA】
AFTER
東京都目黒区青葉台1-29-6
営業/12:00~19:00
休み/不定休
Instagram@after.llc

※情報は取材当時のものです。

(出典/「Lightning 2024年8月号 Vol.364」)

この記事を書いた人
Lightning 編集部
この記事を書いた人

Lightning 編集部

アメリカンカルチャーマガジン

ファッション、クルマ、遊びなど、こだわる大人たちに向けたアメリカンカルチャーマガジン。縦横無尽なアンテナでピックアップしたスタイルを、遊び心あるページでお届けする。
SHARE:

Pick Up おすすめ記事

着用者にさりげなく“スタイル”をもたらす、“機能美”が凝縮された「アイヴァン 7285」のメガネ

  • 2025.11.21

技巧的かつ理にかなった意匠には、自然とデザインとしての美しさが宿る。「アイヴァン 7285」のアイウエアは、そんな“機能美”が小さな1本に凝縮されており着用者にさりげなくも揺るぎのないスタイルをもたらす。 “着るメガネ”の真骨頂はアイヴァン 7285の機能に宿る シンプリシティのなかに宿るディテール...

時計とベルト、組み合わせの美学。どんなコンビネーションがカッコいいか紹介します!

  • 2025.11.21

服を着る=装うことにおいて、“何を着るか”も大切だが、それ以上に重要なのが、“どのように着るか”だ。最高級のプロダクトを身につけてもほかとのバランスが悪ければ、それは実に滑稽に映ってしまう。逆に言えば、うまく組み合わせることができれば、単なる足し算ではなく、掛け算となって魅力は倍増する。それは腕時計...

この冬買うべきは、主役になるピーコートとアウターの影の立役者インナースウェット、この2つ。

  • 2025.11.15

冬の主役と言えばヘビーアウター。クラシックなピーコートがあればそれだけで様になる。そしてどんなアウターをも引き立ててくれるインナースウェット、これは必需品。この2つさえあれば今年の冬は着回しがずっと楽しく、幅広くなるはずだ。この冬をともに過ごす相棒選びの参考になれば、これ幸い。 「Golden Be...

決して真似できない新境地。18金とプラチナが交わる「合わせ金」のリング

  • 2025.11.17

本年で創業から28年を数える「市松」。創業から現在にいたるまでスタイルは変えず、一方で常に新たな手法を用いて進化を続けてきた。そしてたどり着いた新境地、「合わせ金」とは。 硬さの異なる素材を結合させるという、決して真似できない新境地 1997年の創業以来、軸となるスタイルは変えずに、様々な技術を探求...

今っぽいチノパンとは? レジェンドスタイリスト近藤昌さんの新旧トラッド考。

  • 2025.11.15

スタイリストとしてはもちろん、ブランド「ツゥールズ」を手がけるなど多方面でご活躍の近藤昌さんがゲストを迎えて対談する短期連載。第三回は吉岡レオさんとともに「今のトラッド」とは何かを考えます。 [caption id="" align="alignnone" width="1000"] スタイリスト・...

Pick Up おすすめ記事

「アイヴァン」からニューヨークに実在する通りの名前を冠した新作アイウエアコレクション登場

  • 2025.11.21

ニューヨークに実在する通りの名前を冠した「アイヴァン」の新作コレクション。クラシックな要素をサンプリングしながらも現代の空気感を絶妙に捉え服と同等か、それ以上にスタイルを左右する究極のファッショナブルアイウエア。 Allen 2023年、NYに誕生した「ビースティ・ボーイズ・スクエア」。その付近で出...

今こそマスターすべきは“重ねる”技! 「ライディングハイ」が提案するレイヤードスタイル

  • 2025.11.16

「神は細部に宿る」。細かい部分にこだわることで全体の完成度が高まるという意の格言である。糸や編み機だけでなく、綿から製作する「ライディングハイ」のプロダクトはまさにそれだ。そして、細部にまで気を配らなければならないのは、モノづくりだけではなく装いにおいても同じ。メガネと帽子を身につけることで顔周りの...

今っぽいチノパンとは? レジェンドスタイリスト近藤昌さんの新旧トラッド考。

  • 2025.11.15

スタイリストとしてはもちろん、ブランド「ツゥールズ」を手がけるなど多方面でご活躍の近藤昌さんがゲストを迎えて対談する短期連載。第三回は吉岡レオさんとともに「今のトラッド」とは何かを考えます。 [caption id="" align="alignnone" width="1000"] スタイリスト・...

スペイン発のレザーブランドが日本初上陸! 機能性、コスパ、見た目のすべてを兼ね備えた品格漂うレザーバッグに注目だ

  • 2025.11.14

2018年にスペイン南部に位置する自然豊かな都市・ムルシアにて創業した気鋭のレザーブランド「ゾイ エスパーニャ」。彼らの創る上質なレザープロダクトは、スペインらしい軽快さとファクトリーブランドらしい質実剛健を兼ね備えている。 日々の生活に寄り添う確かなる存在感 服好きがバッグに求めるものとは何か。機...

決して真似できない新境地。18金とプラチナが交わる「合わせ金」のリング

  • 2025.11.17

本年で創業から28年を数える「市松」。創業から現在にいたるまでスタイルは変えず、一方で常に新たな手法を用いて進化を続けてきた。そしてたどり着いた新境地、「合わせ金」とは。 硬さの異なる素材を結合させるという、決して真似できない新境地 1997年の創業以来、軸となるスタイルは変えずに、様々な技術を探求...