レーシングマシンを市販化した史上最も高価なマスタング。
マスタングGTDは実際のレーシングマシンであるマスタングGT3をベースに公道走行が可能な市販モデルへと落とし込んだモデル。
そのスタイリングはノーマルのマスタングをより凶暴化したルックスになっていて、見た目同様、そのスペックも市販車とは思えないほどハイパフォーマンスに仕上がっている。
エンジンは5.2リッターのV8エンジンにスーパーチャージャーを搭載することで凶暴化。もちろん、それにともなって足周りも強化され、ボディのグランドエフェクトキットによってノーマルのマスタングとは明らかに違うスーパーカーへと転生した。
今回発表されたのは内装の写真だけでなく、カーボンシリーズというパッケージ。これはその名の通り、ノーマルのGTDよりもオプション設定によってカーボン素材をさらにボディに採用することで軽量化が図られているという。
フォードの発表では2025年と2026年に合計1400台程度の生産を予定していると言うけれど、北米では生産数を上回るオーダーが早くも入っているというから驚く。そしてヨーロッパでも先行予約が始まった。
気になる価格はオプションを付けなくても30万ドルオーバー(日本円で約5000万円近くなる)というモデルなので、もはやこれまでのマスタングの歴史からは想像もできないほど高額。
フォードは市販車でニュルブルクリンクを7分以下で走行ができるマシンを目指したと言っているところをみると、もはやライバルはフェラーリやランボルギーニ、それにメルセデスAMGになる。
ちなみにニュルブルクリンクとはドイツにあるサーキットで、スポーツカー開発の聖地と呼ばれるサーキット。ここの北コースを使って各社がそのモデルの性能を計測しているってわけだ。アメリカ車の記録ではダッジ・バイパーACRが2017年に7分01.3秒というタイムをたたき出している。
実際にフォードも「欧州製スーパーカーをぶっちぎるマスタング」という思いを表明しているので、そう考えるとこの価格も納得なのかもしれない。
超富裕層にはかなりの前評判なだけに、もはや納車されたとたんにプレミア価格で取り引きされることは間違いないな、こりゃ。
ディテールの詳細が少しずつわかってきた。
じつはこのマスタングGTD。一気にその全貌が発表されていない。もともと限定的なモデルであることや、一部の富裕層にしか刺さらないモデルということもあってか、情報が小出しに出てきている。今回もカーボンパッケージなるオプションの存在が判明したというのが朗報。
今回発表されたモデルも、実際に生産されるモデルには変更される部分はあるよというアナウンスはされているけれど。その詳細を見ていこう。
張り出したオーバーフェンダーに高くそびえるウィングで明らかに通常のマスタングとは違う戦闘的なスタイリング。公道走行可能だが、オーバースペックであることは間違いなし。趣味でサーキット走行を楽しむセレブでなければマシンの本領は体感できないだろうな。
リップスポイラーが張り出したサイドビュー。マグネシウム製の専用ホイールの中に見える巨大なブレーキが特徴的。800馬力のモンスターを扱うにはここまで大きなブレーキが必要なんだと再確認。ローターにはGTDのロゴが入っている。
強烈なダウンフォースを生んでくれることは間違いない出で立ちのリアウイングは可動式。トランクドアにもエアスクープが配されて、リアスタイルだけでもかなり戦闘的なイメージ。デザインはレーシングカーのマスタングGT3に準拠している。
エンジン周りやフロントの足周りの熱を逃がすため、オーバーフェンダーはベンチレーション機能も同居させたデザインになっている。走りを犠牲にする装備はいっさい省くという振り切ったデザインが逆にカッコいい。
シートはレカロ製でGTDのロゴが入る専用設計。リアシートは無い完全2シーターというスタイルになる。実際のレーシングカーがその起源なので、助手席があるだけ親切だと思った方がいいのかも(笑)。
本来リアシートになる部分にはリアサスペンションにアクセスできるようになっている。もちろん、レースでの細かいサスペンションのセッティングがしやすいように考案されているが、一般人は触らないだろうと思われる部分。ただ、見た目はメカメカしくてカッコいい。
インテリアのデザインは通常のマスタングがベース。フラットボトムのステアリングにはチタン製のパドルシフトが装備される。内装にはカーボンパネルがたっぷりと使われていて、このモデルが通常のマスタングとは違うモデルであることを教えてくれているけれど、そこまでレースカーに振り切ったデザインではなく快適そう。
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