庭木としての歴史は安土桃山時代からとも。日本でも身近な品種のグリーンインテリア

その奇妙で愛らしいフォルムやインテリアとしても存在感があることから、塊根植物の愛好家は急増中。そんな塊根植物の魅力にずいぶん前から傾倒し、自身のセレクトショップを立ち上げたときに、趣味が高じて塊根植物も販売し始めてしまったというオーナーが、すでに塊根植物の「沼」にハマッてしまった人や、初心者で塊根植物を育ててみたいと思っている人にもやさしくお届け! 今回は身近な品種である蘇鉄(ソテツ)にスポットを当ててみる。

南国気分を味わえる蘇鉄はグリーンインテリアとしてもオススメの植物。

日本でも庭木や観葉植物として古くから愛され続けている蘇鉄。蘇鉄の仲間は世界中に分布しており、ソテツ科やザミア科など300種ほどが存在しています。その中でも九州南部や沖縄など、日本に唯一自生するCycas revolta(サイカス・レボルタ)が日本人にとっては最も身近なソテツとして知られています。

ヤシの木のような見た目をしていますが、ヤシの木とは全く別の植物です。全く別の植物ですが、属名のCycas(サイカス)はギリシャ語でヤシ科を意味するKykasに由来するそうです。ちなみに英名ではJapanese sago palmという名称を持ちます。

これらの名前からも分かる通り、ヤシの木に似た見た目が特徴であり、いかにも南国的な雰囲気を持った植物です。

基本的に、沖縄などの温かい地域に自生している植物なので寒さは苦手ですが温暖な地域であれば、本州でも庭木として植えられた蘇鉄を目にすることがあります。

庭木としての歴史も古く、丈夫で育てやすい性質を持つ。

蘇鉄は丈夫な植物としても知られています。高温や乾燥にも強く丈夫な蘇鉄は、地植えされている場合であれば雨水だけで十分育つため、水やりもほとんど必要ありません。

鉢植えの場合も、日当りと風通しの良い場所で管理し、用土がしっかりと乾いたら適度に水遣りをする感じです。逆に過度な水遣りは根腐れの原因になるため、多湿になり過ぎないように管理します。

寒冷地では地植えでの冬越しは難しいため、基本的に鉢植えでの育成となりますが冬期は室内で管理するのが理想です。日当りと風通しの良い環境、多湿になり過ぎない事、冬の寒さ対策を注意すれば初心者の人でも育てやすい植物だと思います。

蘇鉄は非常に長寿な植物であり、その寿命は500年以上とも言われていますが、実際に日本には推定樹齢1100年と言われる国指定天然記念物の蘇鉄も存在します。庭木としての歴史も古く、安土桃山時代から江戸時代頃にかけて広まったとされています。

アメリカンフェンスにもマッチします。

ヤシの木に似た雰囲気を持つ蘇鉄は、アメリカンフェンスなどの外構にもマッチします。アメリカンフェンスと組み合わせて、芝生の庭やウッドデッキ、ガレージ周りに鉢植えの蘇鉄を置き、西海岸っぽい雰囲気を演出できます。

芝生の庭はハードルが高めですが、そんな場合は手頃な人工芝を使うのもオススメです。

青空と蘇鉄、見ているだけで気分も上がります。

BIZARRE GREENでも、最低気温が10℃以上になる頃から蘇鉄を店の外に出しています。寒い冬は店内で管理していた蘇鉄も、日当りの良い屋外に出してあげるとなんとなく気持ちよさそうに見えます。やはり蘇鉄には晴れた日の青空が良く似合いますね。

【DATA】
BIZARRE GREEN
長野県長野市篠ノ井布施高田879-1
TEL026-247-8160
営業時間 11時~20時 火曜定休
https://www.bizarre-green.com

この記事を書いた人
傳田達朗
この記事を書いた人

傳田達朗

塊根植物案内人

セレクトショップ 「BIZARRE GREEN」オーナー。約20年勤務したアパレルメーカーで商品企画やプレスを担当。2019年に独立し、地元である長野市にアパレルをメインに趣味の延長で植物も扱うセレクトショップBIZARRE GREEN(ビザールグリーン)をオープン。植物以外の趣味はヴィンテージ雑貨の収集など。
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